ふるさとの手帖

市町村一周の旅

糸島と唐津の景色に、心を踊らせて。【旧市町村一周の旅(福岡県・佐賀県|12月10日―248日目)】

糸島と唐津の景色に、心を踊らせて。【旧市町村一周の旅(福岡県・佐賀県|12月10日―248日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【81/175】

81/175
46.29%
訪れた旧市町村の数【708/2,094】
708/2094
33.81%
総計【789/2,269】
789/2269
34.77%

スーパーカブの総走行距離
20440km

旧志摩町→旧前原市→旧二丈町→(佐賀県に続く)
旧七山村→旧浜玉町→唐津市、の6つ。

糸島から唐津の景色に、心を踊らせて。(2023年12月10日(日)―248日目)

今朝もすごくいい天気だ。朝の光が海を照らしている。走っていると、時折それが見えて嬉しい。福岡県最後の旅を進めよう。糸島市と佐賀県唐津市へ。

旧志摩町(糸島市)

福岡市西区を北上し、「桜井二見ヶ浦の夫婦岩」を目指して進む。途中で通り過ぎた今津地域は、東に博多湾、西に今津干潟が広がっていて、左右から見える深い青色の海が美しかった。

夫婦岩がある北側の海に出てくると、リゾート色が強くなったように感じた。建物もそうだし、駐車場の多くは機械式で、休日は次々と車がやってくるのだろう。

出発して1時間ほど経ち、夫婦岩に着いた。真っ白の鳥居が朝日を浴びている。その奥で佇む夫婦岩の大きさは、ふつうぐらいかもしれない。でも、堂々たる風格があった。だから、近づいていくと徐々にオーラを纏っているようで。

桜井二見ヶ浦 夫婦岩。


もうひとつ。芥屋の大門と呼ばれる景勝地の近くへ。岬にせり出した大門の岩は、遊覧船に乗って向かうことができる。今回は時間の都合で断念して、陸地から「糸島トトロの森」なんて呼ばれている森を歩いてみる。そのトトロの森が、とっても良いのだ。狭い入り口をくぐると、木々の丸い葉の影がゆらりと風に揺られ、秘密の森に来たようで。でも、実は2回目かな。だから、その点では秘密じゃないんだけど、でも、ドキッとする森でした。

内陸の景色も好きだ。

トトロの森。左の看板の左上、縦の影になっているところが入り口だ。
ワクワクした。
奥に、芥屋の大門がある。

旧前原市(糸島市)

糸島市になる前は、前原市という市があったんだ、ということを知らなかった。市から市へと名前が変わることって、変化の度合いが大きいような気がする。それに前原(まえばる)と読むことについては、沖縄っぽい。
 
さて、まずは中心部に行ってみようと筑前前原駅に向かう。すると、駅近くにある丸田池公園で、マルシェもしくはフリーマーケットのイベントが開かれているようだ。すぐにそっちへ向かってみる。どうやら服を売っている人が多い。そして、売り手の人たちも、お客さんたちも、すごく良い雰囲気だった。知り合いも多そうで、子どもが自由に遊んでいたり、「紅茶、いらんかねー!」と売り子にもなっていたり。
 
「糸島っていいよね」という言葉を聞いたりする。訪れる場所としての良さもあれば、住んでいる人たちの居心地の良さもあるんじゃないかな、と感じたのだった。
おしゃれで明るい雰囲気。
筑前前原駅。前原は、かつての唐津街道の宿場町だと知った。

そして、福岡のうどん界の大御所である、「牧のうどん」の加布里本店にも訪れた。博識なずみちゃん(@zumichans)が、牧のうどんのダシは、すべて加布里本店でつくられていることと、そのダシに使われている“利尻昆布”の、国内総消費量の約7%は牧のうどんが消費していることを事前に教えてくれていたのだ。ちなみに、利尻昆布の収穫に関する記事が、ポケットマルシェ(雨風太陽)さんから出ていた。記事を読んで、今回の旅でも北海道を巡ったときに昆布が干されていたなあ、と思い出した。
 
10時に店内へ入る。メニューは迷った末、ごぼう天とかき揚げのトッピングにしよう。注文のとき、最後に「中めんで」と言う。これは、牧のうどんに何度か来て覚えた。麺の硬さが「柔めん」「中めん」「硬めん」と3種類あって、どれかを選ぶのだ。初めての頃は「ふつうで」と言っていたので、「キミ、観光客やな」とバレていただろう。ちなみに「中めん」の柔らかさは、讃岐うどんよりもずっと柔らかい。
 
うどんの味は文句なしである。郷に入れば郷に従え、柔らかくてどんどん汁を吸っていくうどんも、ヤカンのダシを付け足せば問題ない。「うどんは讃岐や稲庭みたいなコシがたまらない!」と思っていたはずなのに、柔らかいうどんも、ここに来ると愛おしくなっていくのだ。周りの人たちも美味しそうに食べていて幸せ。
牧のうどん本店へ。店内では写真を撮らず。ご馳走様でした。

大満足の昼食後、「白糸の滝」にも訪れた。徐々に内陸に入っていくと、険しい山々が重なり合っている。道中、似ているかもしれないと思い浮かんだ景色は、秋田県の仁賀保だった。

白糸の滝は整備された観光地だ。食事処もあって、飲食スペースの和傘が華やかで風流だ。山間部でさすがに寒かったけれど、滝の流れを聞きながら、ここに来た甲斐を感じられた。

高いところまで来た。
白糸の滝。

旧二丈町(糸島市)

いよいよ福岡県の旅も最後になった。糸島市の西部に位置する、旧二丈町を散策しよう。
 
まずは中心部である、筑前深江駅に向かってみる。駅の雰囲気は普通かもしれないけれど、その周辺の雰囲気が好きだった。山が近くて迫力があったからだ。看板を見るに二丈渓谷もあるみたいだから、山に入れば大自然なのだろう。
旧二丈町へ。
山が近い。
筑前深江駅。
おお〜。

その後、姉子の浜と呼ばれるビーチへ向かった。福岡県の海は博多湾や唐津湾ともに、外海でありながら、内側に湾曲しているので波が穏やかなことが好き。姉子の浜で見た海も静かだった。凪いだ海面が空に溶けて、昼間でも朝の海を眺めているみたいで。

目の前には小さな姫島が見える。今も有人島で、150人ほどが暮らしているのだと。日本もつくづく広いな……。

道中の海。左の島は姫島。
姉子の浜へ。
砂浜もきれいだった。

旧七山村(唐津市)

さあ、ここからは佐賀県だ。福岡県ありがとう! 佐賀県よろしく! どちらの気持ちも混ざり合いながら、姉子の浜から西に進むとすぐに県境を越え、唐津市に入った。
 
今まで、唐津といえば唐津城や虹の松原があって、呼子のイカが有名で……、というイメージだったけれど、唐津市は合わせて9つのまちが合併している。
 
唐津市に入って玉島川を渡ったところですぐ、左折して川沿いに進んでいった。登りの山道で、海とは逆の方向に進んでいくのが新鮮だ。
 
やがて、旧七山村の市街地に入ると、市民センターに車がたくさん停まっている。遠くから、女性のMCのような方がしゃべっている声もするぞ。
 
ちょうど運よく、「産業まつり」というお祭りがひらかれていたのだった。
 
会場へ向かってみると、これまた大賑わい。グラウンドにさまざまなブースが出店していて、中央の飲食スペースでは、ワイワイガヤガヤ、宴が始まっていたり、若者たちが集まっていたり、とにかくたのしそうだ。ぼくが訪れたタイミングでは、野菜が100円というビックリな市場が行われるときで、それはもう大行列ができていた。
 
七山でおまつりと出会えたことが、うれしかったな。
旧七山村へ。
おまつりの会場へ。
大賑わいだ!
野菜がぜんぶ100円だという。
ドキドキ。
賑わいを見て、まちが好きになった。

もう一箇所、「観音の滝」と呼ばれる滝にも行ってみた。近くまで行ける遊歩道は、大雨の影響で通行止めみたい。ただ、距離の離れた観音大橋からでも、轟々と音を立てて流れている様子がわかった。滝の高さは45メートルもある。大きな滝だよね。

観音大橋。
観音の滝。ここからでも音が聞こえた。
みかん畑。
まちなみ。

旧浜玉町(唐津市)

旧七山村から、行きと同じ道を戻り、次に旧浜玉町を訪れる。唐津湾に面したまちで、唐津市街地も近い。
 
最初に浜崎海岸へ行ってみると、きっと20歳を迎えたのであろう晴れ着姿の女の子と、ご家族たちが海へやってきて、記念写真を撮り始めた。地元の子で、海を見て育ったのだろうなあと想像するだけで、いいなあと思ってしまう。おばあちゃんであろう方が、お孫さんであろう女の子に何度も何度も、「かわいか〜!」と言っていた。それもかわいか〜!
 
そして、そのまま浜崎駅まで散策してみる。虹の松原もすぐそばにあって、旧浜玉町も含まれているのだなあと思った。
浜崎海岸。いい海だ。

浜崎祇園の山笠だ。

虹の松原。

唐津市

最後にやって来たのは、唐津市街地。ほんとうにいい天気だったので、王道を訪れるしかないと思った。
 
まずは、鏡山展望台まで山をぐいぐい登る。18歳のとき、ヒッチハイクの旅で乗せてくれた唐津の人が、鏡山展望台に連れて来てくださったのだけれど、9年前のことだし、記憶も薄らいでいたから、今回カブで登って、「こんなに急な坂道だったか、こんなに登るか」とようやく気付かされた。
 
ようやく着いた展望台からの景色は、ベストオブベストでしょう、と。虹の松原や唐津城が見えるのはもちろん、町並みも整っていて美しい。北向きの景色だから、海も青色が鮮やかで深く、湾の静かな様子も大パノラマで伝わってくる。誰が見ても、この景色にうっとりすると思えた。
鏡山展望台へ。
町並みと、虹の松原と、海。
唯一無二の景色だ。

その後、行ったことのない場所にも行ってみたいと思って、「久里双水古墳」まで向かってみる。想像以上に大きな古墳だった。そのてっぺんで、地元の高校生カップルが写真を撮っている。わあ、逆光で青春が眩しい。

久里双水古墳。
古墳から、住宅街。

最後はもう、唐津城に行くでしょうと。

入館料を払って、お城の最上階まで行けば、眺望が見られるとはわかっていたけれど、その前に展示をちょっとずつ見て進む。

唐津藩ってどういう藩だったのだろう。前回の市町村一周の旅では覚えてなくて。それに、旧市町村の単位で巡っている今、それなりに歴史のつながりが線で見えることもあって、それがすごく面白いので、気になったのだった。

そして、展示を見ながら、「唐津藩は、外様大名がコロコロとやって来たんだなあ」と感じたのだった。寺沢氏から、大久保、松平、土井、水野、小笠原……と、譜代大名が明治を迎えるまで続いていた。同じ家系が長く土地を治めることと、大名が変わっていくことと、どっちがいいんだろうなあ。

唐津城へ。
城内の展示は撮影禁止。
美しいなあ。
松浦川。
鳥島。
市街地。

というわけで、今日の散策はここまで。

糸島でも唐津でも、とても美しい光に囲まれて、つくづくありがたい1日でした。

本日のひとこと
福岡県の旅は、これで終わりです。現在の60市町村より多い、69のまち(旧市町村・区)を巡ることができました。ありがとうございました。
(終わり。次回へ続きます)

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