ふるさとの手帖

市町村一周の旅

北の大地の旅がはじまった。遠回りの函館旅。【旧市町村一周の旅(北海道|8月23日―139日目)】

北の大地の旅がはじまった。遠回りの函館旅。【旧市町村一周の旅(北海道|8月23日―139日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【49/175】

49/175
28.00%
訪れた旧市町村の数【419/2,093】
419/2093
20.02%
総計【468/2,268】
468/2268
20.63%

スーパーカブの総走行距離
11240km

(上)旧戸井町→旧恵山町→旧椴法華村→旧南茅部町→函館市、の5つ。

北の大地の旅がはじまった。遠回りの函館旅。(2023年8月23日(水)―139日目)

青森県の旅が終わったら、次にどうするかのプランは2パターンあった。秋田県に行くか、北海道に行くかだ。秋田県に行く場合、北海道は後回しになる。どんどん寒くなるので、来年にする可能性も生じる。北海道に行く場合、秋田へのフェリー航路もあるので、北海道→秋田とおそらくロスなく進むことができる。

うーん。まだ、北海道も寒すぎないだろう。行けそうだ。

というわけで、北海道へ行くことにした。

青森から北海道への行き方は主に2パターン(実際は3航路)で、青森市から行くか、大間町から行くかだ。前日は下北半島を回っていたので、大間から翌日(今日)の朝7時の便に乗ることにした。

朝6時半にフェリー乗り場に着いたらバイクも車もすでに並んでいて、大汗でチケットを買ってかろうじて間に合った。ぼくがバイクを船に乗せるころ、チャリ海外ニキが焦った様子で来ていたが、彼も船内にいたので、無事に乗れたようだ。

津軽海峡フェリーの「大函丸」は想像以上に大きな船舶で、需要があるのだなあと考えてみる。物資の運搬としても確かに必要な航路だし、乗客もぼくみたいなツーリングや旅行者は、案外毎日いるものだ。

1時間半の航海、写真も撮らずに原稿の整理をしていたら、あっという間に着いたのだった。

朝、大間の岬から。見えるのは北海道。
ここ本州最北端の地。
フェリーに乗った。
下船。車やバイクが出発するとき、少しボルテージが上がる。
あの橋のようなやつが、ウィーンって降りる瞬間、すごくいいですよね。
函館に着いた。大間は霧で曇っていたが、函館は快晴だ。

さて、ここから今日は、函館市の旧市町村を進んで行く。函館の市街地から東側の地域は、今まで地図で見ていて、行ったことないなあと思う機会が何度かあった。函館はしっかりと観光地なので、中心部だけでいつも終わってしまいがちだけれど、市としても大きいんだよなあと。その大きくて行けていなかった部分に、今日行けるわけで、それがすごくたのしみだった。まずは津軽海峡沿いに、東へ進んで行く。

旧戸井町(函館市)

最初にやって来たのは、旧戸井町。近いようで案外遠くて、戸井支所に着いたとき、思わず休んでしまった。

津軽海峡沿いに広がる集落は海の雰囲気が充満していて、あちこちで昆布が干されていた。最初に昆布が干されている家を見たときはびっくりしたけれど、徐々に目が慣れてしまうほど、ほんとうにたくさんの場所で干されていたのだった。よくみると、昆布が干されている家の地面は砂ではなくて、丸い石だ。砂が付かないからなのかなあと思った。石が庭に広がっている風景も、案外なかなか見られないはずだ。

暮らしと海が近い。
戸井支所庁舎へ。

あちこちで昆布が干されていた。

ずらずらずらーっ。

暑い中おつかれさまです。

旧恵山町(函館市)

次にやって来たのは旧恵山町だ。名前の通り、恵山がシンボルマーク。恵山と検索するだけで山の写真も出てくるけれど、緑の木々に包まれた周囲から浮かび上がるように、岩肌が露出している。

向かっている道中、明らかに浮いた山が目に入った。「どう見ても、あれが恵山やろ」と。

中央奥に、恵山がそびえる。
海とカラス。

道の駅の眺めも良かった。
恵山支所庁舎。

時間があったら恵山を登ることもできたけれど、今日は暑いし体力も落ちていたので、やめにした。登山は山の準備をして、しっかり気合い入れて登らなきゃね。

旧椴法華村(函館市)

クイズ番組の難読漢字で、たまに北海道の地名が登場する。興部、標茶、弟子屈、音威子府、足寄…。とにかくぼくの場合は単純で、「行ったことのある地名は読めるし、行ったことのない地名は読めない」

なので、「椴法華」もなんじゃこりゃって感じで、「とどほっけ」と読むとわかってからも、「ほとどっけ」「とほどほっけ」と習得までに時間がかかった。

今はようやく、「とどほっけ」と覚えたかな。

着いたときは晴れていたが、大きな低い雲がバサァーっとやって来て、みるみるうちに霧に包まれた。雨雲ではなくて霧の集合体のような雲だったが、北海道はほんとうに一瞬で天気が変わるなと思う。癖を掴んでおかなきゃ。

旧椴法華村へ。
雲がやって来た。
その雲の反対側は夏。
目で雲が動いているのがよくわかる。

神社があった。

恵山岬へ。
水無海浜公園。干潮時に入れる温泉がある。
椴法華郵便局。
もういっちょ龍のように。
もくもくもく。北海道は雲が全然ちがうなあ。

旧南茅部町(函館市)

旧椴法華村は、津軽海峡ではなくて日本海で、函館の市街地からも裏側にあるけれど、旧南茅部町も同じ立地だと言える。初めて函館市に来る人が、もしこっち方面を選ぶなら、けっこう渋い。

旧南茅部町には縄文時代の遺跡が残っている。垣ノ島遺跡はそのうちのひとつで、9千年前から3千年前にかけて、縄文人が暮らしていた形跡が残されている。6000年間の集落跡とサラッと書くことは簡単だが、同じ地域に、6000年…。東京に、人々は6000年暮らすのだろうか…。

ここで縄文人が定住できたのは、海と川と森の海岸段丘の地形で、自然が豊かだったこと。海の幸や山の幸を享受できたのだ。死生観や装飾にも精神性があって、縄文時代にも成熟したものがあると教えてくれた。

縄文人はすごいぜ。ほんとうにね。

旧南茅部町へ。
名前入りトラックだ。
函館市縄文文化交流センター。
垣ノ島遺跡。「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産のひとつ。世界遺産だ。
動画も見せていただいた。
300円で文化センターの展示も見た。

中空土偶。国宝だけれど、今は別の展示にお出かけ中みたい(レプリカのはず)。でも、あらためて、縄文時代にこの土偶はすごい。

調べてみたら、北海道の国宝はひとつしかなかった。つまり、この中空土偶のみだ。

南茅部支所にて。

函館市

最後に、函館市に戻ってきて散策した。南茅部から函館の市街地も、案外距離があって、何度か休みながら…(今日はほんとうに暑かったのだ)。

事前メモは以下のように付けていた。
・五稜郭
・石川啄木一族の墓
・ロープウェイ

五稜郭はとても有名だけれど、実は行ったことがなかった。石川啄木一族の墓は、啄木が愛した函館に残されていることも気になっていた。ロープウェイは夜景を見に行くかどうか、の意味。

結論として、夜景まで過ごす体力はなくて、石川啄木一族のお墓も気になるけれど、まずはせめて五稜郭に行くべきじゃないか? と、行ってみることにした。園内を歩いてみると、ジグザグして入るが、歩くときに形まではわからない。空がよくひらけていて綺麗だった。隣に立派なタワーがあったので上がってみた。展望台から五稜郭を見ると確かに五角形だったし、函館の景色もよく見えた。地形に合わせてよくできたまちだなあ。さすが函館だと、素人なりに惹きつけられて、今日の散策を終えることにした。

五稜郭へ。

中央に鎮座する箱館奉行所。

タワーの展望台から五稜郭。
緑とのバランスがいいなあ。

温泉に入って体を休める。
いい夕焼けだった。

船で北海道へ訪れるときのワクワク。今回は両手を上げて「ウォー!」と叫ぶ感じよりも、もっとじんわり内側から、広がってくるものだった。前回とは明らかに違う。しみじみ、北海道を原付で巡る機会があるって、ありがたいことだなあと。

本日のひとこと
夜ご飯は、ひっそり、ラッキーピエロでオムライスを食べました。
(終わり。次回へ続きます)

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COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 2 )
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  1. 五稜郭のほぼ隣という立地の高校に通っていたものです。
    クラスメイトには南茅部の子も椴法華の子もいて、大体の子は下宿だったりきょうだいと暮らしたりで市内に住んでいたのですが、中には南茅部から通いで来ている子もいました。
    当時は合併前で、南茅部というとぐるりと海沿いを回って山の向こうという印象で、自転車で15分ほどのところから通っていた私は遠路はるばる毎日すごいなあ…と思っていました。
    今年は函館もびっくりするほど暑いらしいですね。(母から東京より予想気温が高かった!との連絡がありました。)
    どうぞしっかり休息も取りつつ進まれてください。
    そろそろ秋の風が吹きますように!

  2. stkさま

    コメントありがとうございます!五稜郭の隣の高校に通われていらっしゃったのですね!
    そして、高校には南茅部や椴法華の方もいたとのこと、確かに昔は別のまちですし、すごいなあと…。

    おそらく今年の函館は、過去でも随一の暑さのようです。
    気をつけて進みます。うれしいコメント、ほんとうにありがとうございます!!

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