ふるさとの手帖

市町村一周の旅

新潟市西区から南区へ。そして、白根の大凧合戦。【旧市町村一周の旅(新潟県|10月19日―196日目)】

新潟市西区から南区へ。そして、白根の大凧合戦。【旧市町村一周の旅(新潟県|10月19日―196日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【66/175】

66/175
37.71%
訪れた旧市町村の数【571/2,093】
571/2093
27.28%
総計【637/2,268】
631/2268
28.09%

スーパーカブの総走行距離
16900km

旧黒埼町→旧味方町→旧月潟村→旧白根市、の4つ。
新潟市西区→南区、の2つ。

新潟市西区から南区へ。白根の大凧合戦。(2023年10月19日(木)―196日目)

新潟市の旅も少しずつ進み、後半戦に差し掛かったところです。西区から南区へかけて巡りました。旧白根市には大凧合戦の歴史があって、資料館に行きましたが、非常に印象的でした。それでは振り返っていきましょう。

新潟県西区

朝は中央区から西区の市街地へ、10キロほどの移動だったけれど、なかなか進みません。新潟市内はつくづく交通量が多いなあと感じます。信号待ちの間、魚の群衆が現れるように、小学生、中学生、高校生と、いろんな年代が次々と登校していました。

寺尾中央公園を訪れて、その後ラムサール条約に登録されている佐潟へ行きました。佐潟から見える角田山が良くて、山と湖のいいバランスだなあと。鴨たちは穏やかで、瓢湖で見たような餌取りの競争社会には見えません。餌やりの時間と重なったタイミングで訪れた瓢湖は、この佐潟の平和な様子を見ていると、東京のようだなと。

寺尾中央公園。

公園からは、日本海も見えた。

佐潟と角田山。
鴨たちも平和そうです。

旧黒埼町(新潟市西区の方)

次に訪れたのは、同じく西区の旧黒埼町。ただ、旧黒埼町だったエリアは半分が西区で、半分が江南区に分かれています。ややこしいところ。道の駅新潟ふるさと村と、黒埼の市街地を散策しました。道の駅には信濃川を巡る水上バスがあって、河口付近の中央区の市街地まで行けるようです。そうか、同じ信濃川だもんな、と気づかされます。市街地は落ち着いた町並みの散策でした。

新潟ふるさと村へ。大きな施設だった。
信濃川の水上バス乗り場。土日は定期便運行。

黒埼出張所。
散策。落ち着いた住宅街。

旧味方町(新潟市南区)

次は南区へ入っていきます。最初にやってきたのは旧味方町。中ノ口川の西に位置していて、川を渡ると白根の市街地もすぐ。訪れたのは、重要文化財の旧笹川家住宅。味方の地で14代300年以上にわたって続いた名家です。やはり豪農の家なわけですが、部屋に入ったときに時間が染み込んだような懐かしい日本家屋の匂いがして、ホッとしました。立派な邸宅であることは言うまでもありませんが、庭を眺めながら聞く鳥の声も、素晴らしかったです。

同じ敷地内ですが、順路に沿って庭をいちばん奥まで進むと、曽我・平澤記念館が現れました。旧味方村の名誉村民である「曽我量深(そがりょうじん)」と「平澤興(ひらさわこう)」の功績をたたえ紹介する記念館。曽我氏は真宗大谷派の僧侶で、仏教思想家だった人物。平澤氏は京都大学総長も務めた、脳神経解剖学の世界的権威者です。僧侶と医者、異なる分野の偉人が味方から誕生し活躍したのですね。

旧笹川家住宅。

曽我・平澤記念館。右が曽我量深氏、左が平澤興氏。

味方の散策。
諏訪神社。

ミニ柿。

旧月潟村(新潟県南区)

旧味方村からさらに南へ進むと、旧月潟村に入ります。かつて中ノ口川沿いには1933年から1999年まで、新潟交通電車線が通っていました。旧月潟駅はその当時の様子を保存したもので、かぼちゃの配色をした電車を見ることができます。旧月潟駅の周辺部が商店街になっていたので、駅を中心にまちも賑わったのかなあと。

この辺りはフルーツ、特に梨の栽培が盛んで、道中の景色にも梨園が多かった。「月潟の類産ナシ」は国の天然記念物にも指定されているナシの大木で、周辺は茂みになっていましたが、存在感のある木でした。

南区は農業が盛ん。
旧月潟駅のかぼちゃ電車。

中ノ口川。

角兵衛獅子という伝統芸能も有名です。いろんなポーズの角度(舞い)があって面白い。

月潟稽古場と描かれた、「牛のコーヒー」さんでランチ。
民話の本もありました。
角田山かな。窓からとても綺麗。
スパイスカレー、届いたときの香りから、とっても美味しかった。

月潟の類産ナシ。

旧白根市(新潟県南区)

そして、最後にやってきたのは旧白根市です。「しろね大凧と歴史の館」を訪れて、白根大凧合戦について触れることができました。

館内に入ると冒頭で「それでは3Dメガネを掛けてください。10分間の3D映像となっています」と、大凧合戦についての映像を見ました。これがですねえ、面白かった。その、白根の大凧合戦は、名前の通り戦いなんですね。凧揚げが有名な地域はほかにもあるけれど、基本的には凧を揚げて、いいねと朗らかな気持ちで眺めるわけです。それが、白根では中ノ口川を挟んで揚げた凧を、対戦相手の凧と絡ませて、互いに墜落させて、絡まった綱を引っ張りあう。そして、声を荒げて「引けぇ!!」と。もう、魂がぶつかり合うバトルです。だから、ベースは凧揚げなんですが、最終的にはほぼ綱引きなんですよね。しかも、勝敗は相手の綱を切ったら勝ちという。いやあ、職員の方が丁寧に解説してくださったんですが、「1年かけて、凧を壊すために毎年つくってるんですよね。バカみたいですよね」と自虐的に笑っていました。

全体では現在13チームあるとのことで、

「13チームもあると、簡単には優勝できないですよね?」

と尋ねてみると、

「そうなんです。私のチームも40年ぐらい、優勝から遠ざかっていた時期がありました。それでも、どうしても優勝したいという熱い若者が現れて、メンバーが集まり、ついに優勝したんですね。もうね、涙、涙ですよ」

ドバドバと気持ちが溢れていました。大凧合戦に心から熱い思いと誇りを持っているわけです。素晴らしいなあ。6月上旬の開催で、「すごく見てみたいです」と言うと、「いやいや、凧を上げに来いっ!笑」と迷わず言われました。

しろね大凧と歴史の館。
合戦ですから、順位表が出るわけです。
3D映像で凧が飛んでいた。
凧が絡んだ落ちたあと、凧の背中にあるこの木が互いに引っ掛かって、あとは綱引きになると。
全国各地の凧も展示されていた。
面白かったなあ。
館を離れたあと、白根の町並みを歩きました。

中ノ口川。

 

ここで、大凧合戦がある。

いい町並みが残っているなあ。

というわけで、今日の散策はここまで。同じ新潟市でも違いがあることは、もちろん当然なわけですが、いざその違いに触れると、日本もほんとうに広いなあと、最終的にはそこに思い至るのでした。

本日のひとこと
雨の影響で、週明けまで旅を休めています。
(終わり。次回へ続きます)

<旅を応援してくださる方々へ&関連ページ>

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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 4 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. こちらのサイトでは初めましてになります(以前、Twitterでコメントさせていただきました)。
    もう何年も旅の記事を楽しみに拝見させていただいているのです、前からお聞きしたいことがありまして、
    旅の写真はどういった種類(焦点距離)のレンズで撮られているのでしょうか。
    バイクの旅だと持っていける数に限りがありそうなのですが、お写真見る限り、そういったことを感じさせないものが多く見入っています。
    差し支えなければ返信いただけますと幸いです。

  2. hiroさま

    コメントありがとうございます。今回は単焦点レンズを主に3本使用していますが、9割以上は標準画角にて撮っております。

  3. 新潟在住の者です。
    新潟に住んでいるにもかかわらず、知らないことがたくさんあり勉強させてもらいながら楽しく拝見させてもらっています。
    私も町を巡りたくなりました。

    仁科さんはにいがたぐるっとミュージアムパスポートをお持ちですか?
    新潟県内該当の美術館や博物館、資料館、記念館が無料もしくは半額になるパスポートで、1000円で購入できます。
    パスポートで行ける施設と訪れてる施設が重複してるところが多かったのでお持ちなのかなと思いました。
    もしお持ちでなければお得に施設入れますのでぜひ調べてみてください。
    旅のご武運を。

  4. yuri様

    コメントいただきありがとうございます。そして、記事を読んでいただきとても嬉しいです。
    また、ミュージアムパスポートについて、存じておりませんでした。購入場所も見つけましたので、うまく手に入ればと思います。お伝えいただきありがとうございました。

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