今日までの旅メーター
訪れた政令指定都市の区の数 【86/171】
訪れた旧市町村の数【901/2,094】 総計【987/2,264】スーパーカブの総走行距離
24315km
前日まで、東シナ海に浮かぶ甑島に滞在していて、午前の船でいちき串木野市へ戻ったあと、夕方には日置市で開かれた映画上映会『ひとしずく』に伺った。
監督である山下大裕(@eigadaisuke)さんとは、前回の市町村一周の旅でお会いしたことがある。そして、4年ぶりに再会することが出来た。以前と変わらない爽やかさとエネルギーを持つ山下さんにお会いできて、すごく嬉しかったのだった。
都会からやってきた主人公が、鹿児島の大隅半島の小さなまちで奮闘する物語。ほんとうはいろいろなことが、自分にとっても他人事のようでそうではない。と感じたのでした。みなさんも是非、映画との出会いがありますように。
あったかいハンドルカバーを付けて、7時半に鹿児島市内を出発した。住宅街の奥には桜島のてっぺんが見える。噴煙が朝日に照らされ、その姿を見るとドキッとするけれど、これも鹿児島の日常だ。
まずは、旧松元町に向かった。『都市農村交流センターお茶の里』の交差点に差し掛かると、菜の花が路面沿いに咲き美しい。上伊集院駅の周辺に移動すると、大きな団地が広がっていた。団地のほかにも新しい戸建ての住宅が建っていて、ここにも暮らしがたくさんあるのだと。
戦国島津ゆかりの地。ー旧伊集院町。(日置市)
次にやって来たのは、旧伊集院町。昨日も映画の上映会で訪れたけれど、今日もあらためて歩いてみよう。
日置市は戦国島津のゆかりの地である。と、伊集院駅の垂れ幕にも書かれてある。伊集院駅前には、堂々たる島津義弘公の銅像が建っていた。
徳重神社にも訪れた。祀られているのは島津義弘公。島津義弘は、九州で腕を鳴らした戦国武将で、九州を治めた島津家は、豊臣秀吉の時代を経て、江戸時代には薩摩藩の藩主となった。
薩摩焼の里、美山と湯之元温泉へ。ー旧東市来町。(日置市)
次にやって来たのは、旧東市来町。隣には“東”ではない旧市来町(いちき串木野市)があり、現在はお互いの市が違うので、同じ「市来」でも、合併では事情があったのかなあと思う。
そして、まずは薩摩焼の里である美山地区へ訪れた。『沈壽官窯(ちんじゅかんがま)』という窯元にお邪魔してみる。ギャラリーとショップがあって、どちらも見たけれど、薩摩焼の特徴である「白もん」の焼き物を見て、ほんとうにすごいと思った。シンプルでほぼ無地なのに、器がオーラを発していて。美しかった。
穏やかな山があれば、東シナ海もある。ー旧日吉町。(日置市)
海沿いの道を南へ進み、旧日吉町を目指した。途中、江口蓬莱館という海沿いの物産館に休憩で立ち寄ったけれど、バイクも車もたくさん停まっていて賑わいがあった。建物の奥は青い海で気持ち良くて。
そして、日吉支所まで着くと、今度は山が身近にある穏やかなまちなみが広がっていた。小さな盆地で見晴らしもよく、空も広い。海だけではないと感じられる。
その後、吹上浜という砂浜まで行ってみると、堂々たる東シナ海が広がっていたのだった。聞こえるのは波の音とウグイスの鳴き声。遠くでは釣りをしている人も多かった。
見事な大汝牟遅神社の千本楠。ー旧吹上町。(日置市)
次にやってきたのは、旧吹上町。まずは大汝牟遅(おおなむち)神社という神社へ向かってみる。楠木が有名みたいで、どんな場所なのだろうと駐車場に着くと、車が満車状態でびっくり。すごい人気だ……。
さらに、境内へ向かう途中、「42番!」
と聞こえて、近くにお蕎麦屋さんがあって呼ばれているのかなと思ったら、神社の境内からの声で、春の大祭の抽選会が行われていたのだった。そうか、駐車場に停まっていた車は、おまつりで集まった車なんだ。子どもたちもたくさんいて、とても優しい空気が境内を満たしいていた。
神社の参道にある大きな楠は「千本楠」と呼ばれている。周囲の木々も含めた緑の空間が良くて、森のような気配になっていた。これまたすごかった。
広い空の下、流れる時間。ー旧金峰町。(南さつま市)
旧吹上町から5kmほど南へ下って、南さつま市の旧金峰町へ入った。まずは主要道路沿いにある「道の駅 きんぽう木花館」まで向かう。
着いたときに、「あっ!」と思った。ここ、来たことあるなあと。
道の駅の向こう側には、低丘陵の木々が見えるだけ。広い青空と、手前の水田風景が抜群で、前回の旅でもここで写真を撮ったことを思い出したのだ。とても懐かしい気持ちになった。
平穏な暮らしと、万世特攻平和祈念館。ー旧加世田市。(南さつま市)
最後にやってきたのは、旧加世田市だ。今まで、南さつま市のイメージはぼんやり持っていたけれど、元々は「加世田」というまちで、しかも「市」であったことを意識したことがなかった。
そして、まずは海に向かって進み、吹上浜海浜公園を散策した。駐車場はとてつもなく広く、大型のショッピングモール以上じゃないかというぐらい、車が停まっていた。公園ではローラースケートをしている家族、自転車の練習をしている子ども、数コートで行われている少年たちのサッカーの試合、ほかにもあらゆる日常が溢れていて、こんなにも平和な時間はないと感じられた。
その後、万世特攻平和記念館へ向かう。鹿児島には知覧だけではなく、加世田にも特攻平和記念館があるのだ。展示されている20歳前後の若者の写真を見て、その眼差しにショックを受ける。なんて澄んだ目だろう。彼らは平和な世の中を願っていたはずだ。さっきあまりに平和だと感じた、吹上浜海浜公園の光景がありありと浮かんだ。彼らは、この日常を、どんな眼差しで天から見ているだろう。
というわけで、今日の散策はここまで。現在は鹿児島市、日置市、南さつま市とそれぞれ成り立っているまちだけれど、解像度が少しずつ上がっていくようだった。もちろん、ほんの僅かな変化だろう。でも、そこには驚きと発見が満ちている。知らないことはいつも足元にあるようで。そんなことを感じた1日でした。
本日のひとこと
薩摩焼の「白もん」とっても好きでした。いつか買えるといいな。
薩摩焼の「白もん」とっても好きでした。いつか買えるといいな。
(終わり。次回へ続きます)
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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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