ふるさとの手帖

市町村一周の旅

福江島ぐるっと巡るのです。【旧市町村一周の旅(長崎県|1月11日―280日目)】

福江島ぐるっと巡るのです。【旧市町村一周の旅(長崎県|1月11日―280日目)】

今日は福江島を一周する。予報は昼から天気が回復するとあったけれど、朝はまだまだ風が冷たかった。

朝、昨日ご一緒した方のお見送り。

またねー!

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【81/175】

81/175
46.29%
訪れた旧市町村の数【781/2,094】
781/2094
37.30%
総計【862/2,269】
862/2269
38.00%

スーパーカブの総走行距離
21930km

旧三井楽町→旧岐宿町→(旧福江市)→旧富江町→(旧玉之浦町)
旧玉之浦町の荒川地区からスタートし、時計回りに進んでいく。最初に訪れたのは、島の北西部に位置する旧三井楽(みいらく)町だ。まずはカトリック三井楽教会へ訪れた。ひっそりと静かな雰囲気が流れ、壁に描かれた絵が印象的だった。
高浜海水浴場。
三井楽教会へ。
 
何の絵だろう。

さらに、辞本涯(じほんがい)の碑がある北側の海へ向かった。その道中、ニワトリが堂々と道端を闊歩していて、車も通過していくので明らかに人馴れしているし、地元の人もニワトリ馴れしていると思ったけれど、不思議な気持ちになった。

鶏だ。
こけこっこー!と鳴いてもいた。

辞本涯の碑。遣唐使船が、いよいよ本土の涯(はて)を辞し、唐へ向かったとされる。

カトリック水ノ浦教会へ。ー旧岐宿町(五島市)

次にやって来たのは、旧岐宿(きしく)町。カトリック水ノ浦教会を訪れた。教会内は撮影禁止だけれど、見学もできた。曇り空でもステングラスに差し込む光は明るく、聖書や椅子を見ていても温もりがあった。
 
岐宿支所にも訪れてみると、周辺は丘陵地で坂も多く、住宅が点在していた。海が見えるか見えないかによって、雰囲気も大きく変わるなあと思った。
カトリック水ノ浦教会。
近くのまちなみ。
教会内も見学した。
岐宿支所。
ダイキョーバリュー。天然ぶり切り身、むつ、きびなごなど、五島灘の魚がいろいろあった。
イカ昆布のおにぎりと、焼き鮭のおにぎりを買った。

カトリック半泊教会、堂崎天主堂キリシタン資料館。ー旧福江市(五島市)

旧福江市は昨日も訪れているけれど、あらためて行ってみたい場所を目指した。ひとつはカトリック半泊教会。島の北東のかなり奥地にある教会で、たまに離合できないほどの細い山道を進んでいった。
 
途中、「うわぁ!」と声が出た。
 
山の茂みから、黒々とした大きなイノシシが飛び出してきたのだ。10m先ぐらいだった。イノシシにもサイズがあるだろうけれど、でかかった。心臓が飛び出るかと思った。しばらく目が合ったが、イノシシが立ち去ってくれた。よかった。
 
そして、カトリック半泊教会は水色の柱と天井をした教会だった。アイルランドからの浄財が、建設資金に充てられたそうだ。水色の柱や天井にはポップさもあったけれど、木の椅子や机など全体の雰囲気はやさしい。祭壇にいけられた花もみずみずしかった。献堂100年の式典の写真があって、そこにはたくさんの人々が写っていた。
半泊を目指す。
カトリック半泊教会。
ようやく日差しだ。

椿がたくさん。

そして、堂崎天主堂にも訪れた。今では資料館になっている。撮影禁止なので、ゆっくり展示を見たわけだけれど、1935年8月25日に、堂崎での堅信式を名取洋之助が撮影していた。名取洋之助も、福江島に来ていたのだなあと思った。やはり、とてもいい写真だった。

堂崎天主堂。

今度は富江方面へ向かっていく。

富江市街地と山崎の石塁近くへ。ー旧富江町(五島市)

福江市街地を通り抜けて、次に旧富江町を目指した。旧富江町は、かつてサンゴ採取で栄えた時代がある。昨日、資料館でそのことを知った。男女群島沖まで採取に行っていたのだと。男女群島は無人島で、五島列島の地図に載っているときと載っていないときがあるなあと思っていた島だった。
 
旧富江町では市街地を散策した。商店街はタイルの色も違って味がある。商店で晩御飯も買った。早めに買っておかないとね。
 
そして、倭寇像のある海岸線を目指したけれど、工事中でその場所までは行けなかった。でも、その手前の海岸線に黒い岩石がいくつもあり、インパクトがあった。
旧富江町へ。鬼岳も見える。
商店街を歩く。
漁港もいい雰囲気だなあ。
海岸線沿いへ。
黒と砂浜。
内陸へ戻って。田んぼも石積みだ。
穏やかな風景。

玉之浦湾と、大瀬埼灯台。ー旧玉之浦町(五島市)

昨日から宿泊させてもらっているノラさんは、旧玉之浦町の荒川地区にある。でも、旧玉之浦町全体はとても広い。まず、玉之浦支所の立地を調べたときに驚いた。「そんな端にあるのか!」と。島の南西部の海岸線、玉之浦湾のそばにある。玉之浦湾は屈曲著しい溺れ谷で、多くの入江を形成している。

でも、その地形と支所の場所を見たときに、漁師町であり、かつては船移動が主だったはずだと思った。船ならこの複雑な地形でも苦ではないはずだし、そこに支所があるのも頷けると。あとで話を聞いたら、「船なら近いんだよね」と言われた。

ただ、原付で行くにはやはり遠くて、すでに日没も迫っており、がんばって向かった。ようやく支所に到着すると、子どもたちが遊んでいて、日常が感じられる。玉之浦も広いことをあらためて認識した。
いろんな集落があるなあと思いながら進む。
玉之浦湾の地形は複雑だ。
玉之浦支所。遠かった。
日も落ちてきた。
そして、最後に大瀬埼灯台を見に行った。島を代表する景勝地のひとつ。でも、すごくい遠いのだ。今回、灯台の足元まで歩くことは断念したけれど、大瀬埼灯台展望台から、遠目で灯台を見ることができた。
 

壮大な断崖絶壁というものを、今まで何度も見てきた。でも、大瀬埼灯台はやはりすごかった。一定の「すごい」という基準を超えると、比較するまでもなく、ただひたすらに言葉が不必要になってくる。景色を見ていると、脳が、置いてけぼりになる。自然の壮大さに、体が引っ張られる。

周囲の景色もすごい。
大瀬埼灯台だ。
圧巻だった。

ここから、急いでノラさんを目指して帰る。宿のそばに温泉センターがあって、18時30分に閉まるのだ。

宿に着いたのは18時10分だった。どっどっど、と階段を這って上り、荷物からタオルを掘り出し、5分後には温泉センターに駆け込んだ。断られても仕方ないと覚悟していた。

「ごめんなさい……。お、お風呂間に合いますかあ!」枯れた声で番台のおじいちゃんと目を合わせた。

おじいちゃんは驚いた表情を見せた。君は地元の人ではないな。ふむふむ、今からお風呂ですか……。一瞬のうちに思考を巡らせたに違いない。そして、どのような裁定をくだすかは、おじいちゃんに権限がある。心臓が鳴る。おじいちゃん、おじいちゃん……!

「よかよ、よかよ。ゆっくりあったまり」

すんごく、すんごくやさしい声だった。おじいちゃんが菩薩のように見えた。ありがたさで弾け飛びそうだった。

「18時45分くらいまで、いていいからね」

と、脱衣所でも声をかけてくれた。見せかけではない、裏表のないおじいちゃんの声に、心底救われた。

今日は1日を通してすごく寒かったから、体はとても冷えていたのだ。こういうときの温泉は、予定調和の気持ち良さではなかった。体力ゲージを一気に回復してくれる、起死回生の気持ち良さだった。

本日のひとこと
明日は五島列島の旅も最後で、奈留島を目指します。
(終わり。次回へ続きます)

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