今日までの旅メーター
訪れた政令指定都市の区の数 【49/175】
訪れた旧市町村の数【456/2,093】 総計【505/2,268】スーパーカブの総走行距離
13300km
サロマ湖の恵みと、山奥の暮らしと。(2023年9月4日(月)―151日目)
薄い雲の上から差し込んだ太陽の光は、カーテンのレースを通り抜けたように、やさしい。これから曇が増えるのか、晴れていくのか、天気予報を見たところでわからない。自然に身を任せて、湧別町へ進んでいく。
湧別町
湧別町の東側には、サロマ湖が広がっている。昨日、常呂町のワッカ原生花園を訪れたときのサロマ湖とは反対側だ。龍宮街道と呼ばれる砂洲の上にできた道を進んでいくと、サロマ湖畔に集落がひろがっていた。どの家も漁業をベースにした暮らしに見える。家並みの目の前にはサロマ湖があって、漁港と変わらない形で、せわしく人々が働いている。女性の姿もたくさん見かけた。サロマ湖に浮かんでいた漁船はなんだったのかなとそのときは思ったけれど、おそらく、ホタテ漁船だった。
オホーツク湧鮮館に行くと、つぶ貝にえび、新鮮な海鮮物がズラリ。地元のお客さんがホタテを7キロ分買って行った。すごいな、なんだか、見えている世界が違う。
旧上湧別町(湧別町)
湧別町の市街地から一本の道を進むとまもなく、旧上湧別町に入る。道の駅で美味しそうなうどん屋さんの看板を見つけて、行ってみることにした。お店は地元の人たちで賑わっていたけれど、9月末には店主が高齢につき、閉店してしまうと。小麦粉をはじめ北海道産の材料にこだわったうどんは、とてもおいしかった。思うに、北海道産の材料を大切に使ったうどんって、無敵じゃないかと。
遠軽町
遠軽町の町役場を訪れたあと、瞰望岩と呼ばれる岩がそびえる、太陽の丘えんがる公園を訪れた。瞰望岩は市街地から見ることもできて、高さも大きさもあるので迫力満点だ。
昨今、展望台に行くと、安全性の観点から柵が設けられている。ここから先に入らないでください、と。それはそうだなと思いつつ、一方で、「景観を損ねてしまっているけれど、仕方なく柵を作った」と感じられるような場所もある。
太陽の丘えんがる公園の展望台、すなわち瞰望岩の上は、柵が設けられていない。「崖に近寄らないでください」と但し書きはあるけれど、柵はないのだ。瞰望岩はアイヌ語で「インカルシ」、「見晴らしの良いところ」の意味を持つ。その意味に対するリスペクトにも感じた。そのおかげで、自然のままの断崖絶壁の姿であり、見える景色は凄まじい。本来高いところから見える景色は、自然の恐怖がそばにあると、思い出させてくれるような。
旧丸瀬布町(遠軽町)
相変わらず、行ったことのあるまちの名前は記憶できるけれど、そうでないまちは、読み方がわからない。今日は初めて、「丸瀬布(まるせっぷ)」の地名を覚えた。
「SLと昆虫の町」のスローガンを持っている丸瀬布。今回は「丸瀬布昆虫館」を訪れてみる。標本の昆虫だけではなくて、クワガタにカブトムシ、蝶々…。いろんな生き物が実際に飼育されていた。
途中、ジリリリ、ジリリリ…と、BGMのような、鳴き声のような、昆虫の秋の鳴き声が聞こえることに気づいた。従業員さんに、「この鳴き声って、昆虫のBGMですか?」と尋ねたら、「いえいえ、ここで鳴いている虫ですよ」と。BGMかと思うぐらい、音質も響きも良かったものだから、ちょっと驚いた。
旧白滝村(遠軽町)
旧白滝村で、遠軽町埋蔵文化センターを訪れた。白滝は「黒曜石」の日本最大の産地。火山活動によってその大地ができるまでに、果てしない時間が流れている。軌跡をたどる映像も見たけれど、噴火によってカルデラ湖が生まれて、さらに噴火によってドロドロの溶岩が流れ出し、黒曜石が生まれていったと。
旧生田原町(遠軽町)
最後に訪れた旧生田原町に、おもちゃの博物館「ちゃちゃワールド」がある。大人ひとりで入っても大丈夫そうだったので、見学した。スイスの「ネフ社」の積み木玩具や、井内法子さんのミニチュア作品、日本中のおもちゃなど、いろんな楽しい、小さな、奇妙な世界が広がっていた。
同じ館内に、撮影禁止ではあるけれど、コロポックル影絵美術館がある。作品を手掛けたのは、影絵の巨匠・藤城清治さん。この美術館がほんとうに、すごかった。とても巨大な作品もあって、作り上げるのに、どれだけの熱量が必要かと…。生き方というか、生き方の姿勢を見せられたようだった。
というわけで、今日の散策はここまで。オホーツク海やサロマ湖の湧別町から、内陸の遠軽町まで、とても広いと感じたエリアだが、旧市町村の単位で巡って、ようやく、まち全体の姿が感じられたような気がした。まだまだ、だけどね。
ふと、走行距離だけなら、日本一周の旅は終わったかなあと、思ったりもしました。
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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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