青森県に入ってから、いろんなお祭りに出会うことができた。八戸市の三社大祭に始まり、青森市のねぶた、五所川原市の立佞武多(たちねぷた)。祭りごとにスタイルの違いがあって、そして、その違いも祭りに参加している方々にとっては、あまり関係ないように思われた。隣の芝は青いと言うけれど、祭りの日に隣を見ているどころじゃない。何より自分たちが盛り上がってこそなのだ。「よそはよそ、うちはうち」の状態が、祭りの良さかもしれない。
夕方から、弘前ねぷたまつりを見に行った。日程によってJR弘前駅と、弘南鉄道側の土手町の2つのコースのどちらかを進む。訪れた日は8月5日の土曜日で、JR弘前駅前のコースだった。
弘前ねぷたの山車は、主に扇型であることがいちばんの特徴だ。青森市のねぶたは立体的で、五所川原市の立佞武多は身長が高くて、弘前市は扇型というわけだ。ほかの地域の山車にも、きっと特徴があるのだろうなあと思う。そして、扇には武者絵が鮮やかに描かれていた。ねぶた(ねぷた)は肉眼で見るのがやっぱり綺麗だ。それだけはずっと共通して感じたことだった。
一気に、最後まで写真で。
弘前ねぷたの掛け声は、「やーやどー!」だ。青森の「ラッセラー!」とも、五所川原の「やってまれ!」とも違う。そして、これらの掛け声はいずれも「返事」で成り立っているのだなあと思った。行列の人たちが使う言葉だけれど、観客だって、同じ言葉でレスポンスできるのだ。行列の人たちが観客に狙いを定めて「やーやどー!」を求めたときも、その相手がノリノリだったらお互いに気持ちがいいし、そうした駆け引きを覚えた行列の子どもたちもいて、ちょっとだけ照れながら、イタズラするみたいに大人に「やーやどー!」と大声で誘って、よっしゃわかったと応える大人の構図も、いいなあとすごく思った。
あと、扇型だけじゃなくて、万華鏡がぐるぐる回転する山車や、アーティストのライブみたいに白煙が出てくる山車もあった。ぼくはそれを見て、すごいなあとか面白いなあとか、簡単な感想を持つことはできるけれど、でも地元の方々は、もっと細かく「どの山車がどうだった」と、ほんとうは見ていたりもするんじゃないのかなと思った。毎年祭りがあって、そこに「今年はどうだった」と話せる部分があって、また次のハレの日も待ち遠しくなる。ハレとケは概念だけれど、きっと生きている。
この時期に、青森県に来られたのは旅の偶然だった。ほんとうにありがたい機会をもらったなあと、つくづく感謝の気持ちでいっぱいだ。
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