はじめて「気仙沼かつお祭り」という祭りの名前を聞いたとき、ピチピチ! と体が跳ねて、「わあ、行きたいなあ」と思った。カツオ水揚げ量26年連続日本一の、気仙沼のかつお祭りだもの。先日訪れた気仙沼に、戻り鰹の旅であった。
前日は盛岡から電車に乗っての移動で、一関市の千厩(せんまや)で、“珈琲樂”のマスターにお世話になった。そしてかつお祭り当日は、快晴の祭り日和で。とびっきり新鮮な鰹も、新しいご縁も懐かしいご縁もあった。そのあと海に連れ出してもらったり、夜は民宿つなかんでほかのお客さんとワイワイ過ごしたり、翌日は岸田奈美さんも合流してまた賑やかになったり、目の前で起きたひとつひとつのできごとが、夏休みみたいに瞬間最大風速だった。うれしかったこと、たのしかったこと、いろんなシーンが幸せで、それがひるがえって、何気ない日常を進む、新しい航路になった。
一関市の千厩町へ。カブじゃなくて徒歩だから、見える景色も、聞こえてくる音も、全然違った。よく聞こえてきたのは、ヒグラシの鳴き声だった。 そして、気仙沼へ。お祭りのビッグイベントは、“鰹の藁焼き”。午前と午後に一回ずつチャンスがあって、午前の部は逃してしまった。しかもすぐに売り切れたらしい。だから午後を狙ったわけだけれど、一気に100人ぐらい並ぶ大行列だった。でも、たくさん鰹を用意してくださったみたいで、その場にいた方たちは、ほとんど食べられたんじゃないかな。藁で焼かれた表面が、香ばしく口の中で広がって、細い目がグワッと見開いた。鰹という存在と、それを獲ってくる漁師さんと、焼いて捌いてくれた方々に、心から感謝だ。藁焼きで「ああ、鰹は最高だ…」と幸せが全身に行き渡ったあと、海に連れ出してもらった。最初は子どもたちだけが入っていたけれど、すっごく楽しそうで気持ちよさそうだから、気づいたらママたちも泳いでた。ぼくは水着は持ってなかったから、ずっとその様子を見ていたけれど、だんだん、細胞が、がまんできません! と言い始めて、カメラを片付けて、最終手段の短パンに着替えて、入っちゃいました。海に。そして、ありがたいことにつなかんまで送っていただいて、初めてつなかんに宿泊した。それも2泊だ。女将の一代さんも、料理番のふみちゃんも、朝ご飯担当のみなさんも、カラッと明るくてパワフルで、最高に素敵な方たちだった。映画「ただいま、つなかん」を観て泊まりに来たお客さんとも仲良くなって、次の日は岸田奈美さんと合流するまで、一緒に観光をした。
気仙沼に住んでる緑ちゃんは、大学の同じ学部の同級生で、5年ぶりぐらいに会えた。気仙沼移住・定住支援センターのこうやさん。お釣りのやり取りで、なんと、2000円札をいただいた。旅のお供として大切にします!そして、チェックアウトはぼくたちが最後で、一代さんが最後までずーっと、大漁旗を振ってくれた。つなかんに来る人たちは、「ただいまー!」って、よく言う。それは一代さんたちの「行ってらっしゃいー!」と「おかえりー!」っていう言葉が、心に届いて、あたたかいからなんだなあ。
気仙沼でもらったご縁に、恩返しできるような大人になりたい。と、前も同じことを思ったし、住んでいるわけでもないのに、偉そうだなあ、って思ったりもする。でも、来るたびに、自分が気仙沼の方々から、パワーをもらっている。また気仙沼に来れる機会があったら、そのときにはもっとおおきな、戻り鰹に、なっていたいものです。
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