ふるさとの手帖

市町村一周の旅

福井県の若狭国へ。宿場町、年縞博物館、滝…。そして、お城に泊まらせてもらう。【旧市町村一周の旅(福井県)|8月23日―504日目)】

福井県の若狭国へ。宿場町、年縞博物館、滝…。そして、お城に泊まらせてもらう。【旧市町村一周の旅(福井県)|8月23日―504日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【87/171】

87/171
50.88%
訪れた旧市町村の数【1358/2,097】
1358/2097
64.76%
総計【1445/2,268】
1445/2268
63.71%

スーパーカブの総走行距離
34817km

旧上中町→旧三方町→旧大飯町→旧名田庄村、の4つ。
今日の旅先のこと
昨日は作業日とさせてもらい、一日間隔が空いての出発です。滋賀県高島市から、向かった先は鯖街道を北に越えた福井県。若狭町とおおい町を進み、最後にはおおい町の名田庄村でお城に泊まらせてもらうという特別な体験も。それでは振り返っていきましょう。
上中町かみなかちょう若狭町わかさちょう(1/4)
朝8時35分に滋賀県高島市を出発しました。宿舎の外に出ると、むわっとした空気と暑さが。晴れているけれど、もしかしたら入道雲が湧くのかなあと思いつつ。
さて、高島市の今津町から北西へ、鯖街道を進んでいきました。どれぐらいの峠越えなのかなあと思っていたけれど、比較的緩やかな峠越えで、山に囲まれていながらも、空の広さを感じます。
県境に近づいてきてからは、対向車線を走る車も福井ナンバーが増えはじめました。そして、トンネルを抜けて下る途中で「福井県」の看板を通り、いよいよ福井県へ。それから1km足らずのところで、若狭熊川宿の道の駅へ辿り着きました。
道の駅も宿場町風で、掲示された地図を見て、徒歩で往復2km弱かなあということで、道の駅から熊川宿へ歩いていきます。
町並みには電柱がないので空も広く、水路から聞こえてくるサラサラとした音も心地良い。壁の色も新しく塗り替えられたものと、古くから変わらないものどちらもあり、その変化に時間の流れを感じます。喫茶店や器店、鰻屋、お寺など、もっと時間をかけて巡ってみたい場所ばかり。熊川宿はとっても好きな場所になりました。

また、道の駅に戻って展示資料を見ると、近世にかけて海のない京の都にとって、若狭湾の海の幸はとても貴重だったそうで、鯖街道はすごく重要な街道だったのだなあということも感じられたのでした。「京は遠ても十八里」と、多くの人々が鯖街道の土を踏んできたこと。
若狭熊川宿へ。
良い雰囲気だ。
手裏剣打ち…。日本刀抜刀体験…。
若狭湾が果たした役割は大きいと。
さらに、三方町を巡ったあと、「瓜割の滝」を訪れました。売店を抜けて天徳寺というお寺の境内を進んでいきます。木々が茂り、水の流れも清らかです。
滝というと、ごおごおと鳴り響く豪快な滝や、一本の白糸のように細く美しく流れ落ちる滝を思い浮かべることが多いですが、「瓜割の滝」は高さがなく、滝幅も広くない。それでも鳥居の下をサラサラと静かに、そして美しく流れ出る滝でした。思い出したのは、秋田県にかほ市の「元滝伏流水」です。静けさの中にもはっきりした美しさのある水の流れで。
天徳寺の境内を進む。
瓜割の滝。見事だ。
三方町みかたちょう(若狭町)(2/4)
若狭熊川宿を訪れたのち、三方町へ進んでいきました。まずは三方駅の周辺へ向かいます。道中、福井県らしい山と田んぼの近い風景が広がっていたのですが、すでに稲刈りをしている田んぼもありました。それも、一箇所ではなかった。台風が近づいていることもあるし、8月だけれど、稲刈りを迎えられた田んぼは、ひと安心ですよね。
道の駅三方五湖に立ち寄ったのですが、ここは前回の旅でも訪れた場所なので懐かしい。三方五湖は日本海近くでありながら、豊かな山に囲まれた風光明媚な湖たちで、いくつかの著名な絶景ポイントもあります。その中で、店内のポスターを見て良いなと感じた展望台があったのですが、徒歩1時間歩くとのことで、そこは断念しました。
三方駅へ。
駅周辺を歩きます。
道の駅三方五湖。三方湖を眺める。
スタンプ。
そして、最も行きたかった場所は、福井県年縞博物館でした。「年縞?」とクエスチョンマークもあったけれど、直接行ってみて確かめようと。
入口から建物がカッコよく、ドキドキしながら入ります。受付をして、5分間の映像を見ました。円形の小さなホールで、足元にも映像が映ります。年縞とは、「長い年月の間に湖沼などに堆積した層が描く特徴的な縞模様の湖底堆積物」のこと。落ち葉が溜まり、季節によって積もるものも色も違います。そして、三方五湖のひとつである水月湖では、必ず一年に0.7mmの縞がつくられる。この水月湖の年縞が世界一と呼ばれています。それは、水月湖の年縞が一年も欠けることなく、7万年にもおよぶ年縞を有しているから。0.7mmの縞が7万年続くと、厚さは45mになるそうです。それを研究者たちが見事に調査し、世界基準の年縞になったと。世界基準だからこそ、世界中の出土品でこれまで正確な年代がわからなかったものでも、この年縞と照らし合わせ、正確な年代がわかるようになったそうです。すごいなあ。
映像を見たあと、係の男性に「この建物は年縞の45mmを展示するために、横長になっています」と教えてもらい、展示もゆっくり見学していきました。
年縞博物館の隣には、若狭三方縄文博物館もある。
福井県年縞博物館。
美しい建物だ。
採取された年縞が標本になっている。
縞模様の堆積物。すごいなあ。
火山灰が日本列島のほぼ全域を覆ったという噴火。

年縞から知ることのできたことのひとつに、気候の変化がありました。過去に地球が寒冷化や温暖化を繰り返してきたこと。そこには火山の噴火、農耕の誕生、太陽の影響、たくさんの要因が考えられ、現代の私たちの感覚を超えた気候が眼前にあったと。
それらを読んでいくと、地球温暖化の温暖化とは、何に対しての温暖化なのだろうと考えさせられました。日本ならば、今、私たちが暮らす気候には豊かな四季が存在し、その移ろいの中にさまざまな美が詰まっています。その移ろいの大切さを知っているからこそ、温暖化、になるのかなあと。ただし、地球史の大局から見れば、温暖化が温暖化なのかはほんとうはわからないような気もします。ただし、それを言い分にして、人間の欲するままに地球の美しさを蔑ろにしてしまうことが、最も良くないことだけは、確かだと感じます。地球は何億年と生きてきたわけですから。

大飯町おおいちょう(おおい町)(3/4)
上中町の瓜割の滝を訪れたあと、小浜市を通り、大飯町を目指して進んでいきます。旧大飯町は漢字で表記され、主に日本海側の地域を指します。海水浴場を通り抜け、「道の駅 うみんぴあ大飯」に訪れると、手前にいくつか大きくて瀟洒な建物が並んでいて驚きました。海から遠くに見える青葉山も綺麗です。

それから若狭本郷駅の周辺も散策しましたが、海のある北の方角にも山が見えて、地形が少し独特だなあと。
青葉山が見える。
若狭湾の海。
うみんぴあ大飯。
若狭本郷駅。
静かな暮らし。
#OHI、かな。
名田庄村なたしょうむら(おおい町)(4/4)
大飯町から名田庄村へ向かう道は、途中から一気に山越えに変わり、急な登り坂を進んでいきました。それがしばらく続くので、大飯町と名田庄村は、地域的にはぜんぜん違うのかもしれないと思いつつ。

そして、ようやく登り坂もピークを過ぎて道も緩やかになると、山、田んぼ、点在する家のごく自然な風景がとても美しく、何度かカブを停めて進んでいきました。

名田庄納田終のたおい地区でもふと足を止めて散策しました。小さな地区だったのですが、良い雰囲気が感じられて。その後、銭湯「ご湯っくり」に向かうと番台のお母さんがすごくやさしかったです。「ほなゆっくり入ってね」と。
名田庄村へ。
実り。
道の駅の近くに、昔の建物を発見。
道の駅名田庄。
漬物や自然薯が有名なんだなあ。
納田終地区。
加茂神社の杉。
さて、今日はここで終わらず、夜には名田庄のお城で暮らしているかん太さん(@kanta_oshiro)とお会いしました。連絡を取り合ったことがあり、お城に住んでいるとは、世の中にはほんとうにいろんな方がいるのだなあとびっくりして。

大阪出身のかん太さんは快活で明るく、清々しい方でした。今晩はありがたいことに刺身も手配もしてくださっていて、美味しい魚や唐揚げを囲んで、夕食をご一緒させてもらって(お城の中は、暮らしやすい家になっています)。

振り返ってみても、楽しい時間だったなあと思うばかりです。福井県を大きく二つに分ける嶺南、嶺北の地域性の違い。音楽の話題、まちの話題。レコードもたくさんあって、良い曲を夜に聴く時間もたまらなかったです。

そして、舞鶴からかん太さんの友人である田中さん(@kanata_36d7)も来てくださり、いろんなお話をさせてもらいました。田中さんは関東から舞鶴にやってきて、宿に携わっていらっしゃるのですが、「移動できるのは、そこに住む人がいて、宿を営む人がいてくれるからだと、わかるようになった」という言葉が、特に旅をしている自分にとっても響いて。まさにその通りだ。今、自分がいろんな日本に触れることができるのは、そこで暮らしている方がいるおかげです。とてもありがたい時間でした。
お城が見えてきた。
すごいなあ。
夕方。
夜になる。
かん太さん、ありがとうございます。
ボードゲームもいっぱい。
冬の名田庄城。
サバ天です。
刺身、ほんとうに美味しかった!
レコードも聴き。
語らう。
というわけで、今日の散策はここまで。かん太さん、田中さんありがとうございました。明日は旅を休ませていただきます。明後日以降、雨と台風の様子次第で、動いていく予定です。
本日のひとこと
今日は福井県の若狭国がメインでしたが、越前国にはまた後日、伺えたらと思っています。

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(終わり。次回へ続きます)

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