今日は福江島を一周する。予報は昼から天気が回復するとあったけれど、朝はまだまだ風が冷たかった。
今日までの旅メーター
訪れた政令指定都市の区の数 【81/175】
訪れた旧市町村の数【781/2,094】 総計【862/2,269】スーパーカブの総走行距離
21930km
目次
カトリック三井楽教会から、辞本涯の碑へ。ー旧三井楽町(五島市)
さらに、辞本涯(じほんがい)の碑がある北側の海へ向かった。その道中、ニワトリが堂々と道端を闊歩していて、車も通過していくので明らかに人馴れしているし、地元の人もニワトリ馴れしていると思ったけれど、不思議な気持ちになった。
カトリック水ノ浦教会へ。ー旧岐宿町(五島市)
カトリック半泊教会、堂崎天主堂キリシタン資料館。ー旧福江市(五島市)
そして、堂崎天主堂にも訪れた。今では資料館になっている。撮影禁止なので、ゆっくり展示を見たわけだけれど、1935年8月25日に、堂崎での堅信式を名取洋之助が撮影していた。名取洋之助も、福江島に来ていたのだなあと思った。やはり、とてもいい写真だった。
富江市街地と山崎の石塁近くへ。ー旧富江町(五島市)
玉之浦湾と、大瀬埼灯台。ー旧玉之浦町(五島市)
昨日から宿泊させてもらっているノラさんは、旧玉之浦町の荒川地区にある。でも、旧玉之浦町全体はとても広い。まず、玉之浦支所の立地を調べたときに驚いた。「そんな端にあるのか!」と。島の南西部の海岸線、玉之浦湾のそばにある。玉之浦湾は屈曲著しい溺れ谷で、多くの入江を形成している。
でも、その地形と支所の場所を見たときに、漁師町であり、かつては船移動が主だったはずだと思った。船ならこの複雑な地形でも苦ではないはずだし、そこに支所があるのも頷けると。あとで話を聞いたら、「船なら近いんだよね」と言われた。
壮大な断崖絶壁というものを、今まで何度も見てきた。でも、大瀬埼灯台はやはりすごかった。一定の「すごい」という基準を超えると、比較するまでもなく、ただひたすらに言葉が不必要になってくる。景色を見ていると、脳が、置いてけぼりになる。自然の壮大さに、体が引っ張られる。
ここから、急いでノラさんを目指して帰る。宿のそばに温泉センターがあって、18時30分に閉まるのだ。
宿に着いたのは18時10分だった。どっどっど、と階段を這って上り、荷物からタオルを掘り出し、5分後には温泉センターに駆け込んだ。断られても仕方ないと覚悟していた。
「ごめんなさい……。お、お風呂間に合いますかあ!」枯れた声で番台のおじいちゃんと目を合わせた。
おじいちゃんは驚いた表情を見せた。君は地元の人ではないな。ふむふむ、今からお風呂ですか……。一瞬のうちに思考を巡らせたに違いない。そして、どのような裁定をくだすかは、おじいちゃんに権限がある。心臓が鳴る。おじいちゃん、おじいちゃん……!
「よかよ、よかよ。ゆっくりあったまり」
すんごく、すんごくやさしい声だった。おじいちゃんが菩薩のように見えた。ありがたさで弾け飛びそうだった。
「18時45分くらいまで、いていいからね」
と、脱衣所でも声をかけてくれた。見せかけではない、裏表のないおじいちゃんの声に、心底救われた。
今日は1日を通してすごく寒かったから、体はとても冷えていたのだ。こういうときの温泉は、予定調和の気持ち良さではなかった。体力ゲージを一気に回復してくれる、起死回生の気持ち良さだった。
明日は五島列島の旅も最後で、奈留島を目指します。
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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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