ふるさとの手帖

市町村一周の旅

西海市の旅。大崎や崎戸から、大瀬戸まで。【旧市町村一周の旅(長崎県|1月7日―276日目)】

西海市の旅。大崎や崎戸から、大瀬戸まで。【旧市町村一周の旅(長崎県|1月7日―276日目)】

1月6日は雨予報だったので、させぼ五番街のスターバックスで作業をしていた。でも、朝にパラパラと雨が降っただけで、それからは思いのほか晴れてきて。

もったいないなあ、そういう日もあるかあ、と思ったわけだけれど、正午に近づいたとき、「佐世保」とかかれた法被や制服姿の人たちが広場にゾロゾロと出てきて。これは何かあるぞと。

荷物を片付けて飛び出し、群衆の方へ行ってみると、佐世保市の消防出初式があったのだった。やがて楽器隊の演奏に合わせて行進が始まった。歩調を合わせ、来賓席の前では敬礼している。来賓には米軍の人たちもいて、佐世保の法被を着ている人もいた。出初式は全国でも行われているようだけれど、この様子は佐世保らしいなあ、って。

少し時間を置いて、一斉放水も行われた。船からも放水が行われて、これまた佐世保らしい。五番街にいたことで、地元の行事に出会うことができたのだった。

人が集まっている。

一斉放水だ。

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【81/175】

81/175
46.29%
訪れた旧市町村の数【768/2,094】
768/2094
36.68%
総計【849/2,269】
849/2269
37.42%

スーパーカブの総走行距離
21790km

旧西海町→旧大島町→旧崎戸町→旧西彼町→旧大瀬戸町、の5つ(西海市)。
朝8時40分に佐世保市を出発だ。昨日よりも北風が冷たく、佐世保でもこの寒さならと日本海側の気候が気になる。
 
針尾瀬戸がある西海橋を渡って、旧西海町(西海市)に入った。佐世保市の針尾には巨大な無線塔が聳え立っているけれど、西海市に入ってからも十分に大きく塔が見えて、存在感があった。
西海橋公園。
西海橋。
針尾の塔が大きい。
大村湾とつながる瀬戸です。
丘の上から海のそばまで、アップダウンの激しい道を進み、西海総合支所に立ち寄ったあとは、七ツ釜鍾乳洞を訪れた。
 
滝や小川の流れが印象的で、水が聞こえる鍾乳洞だった。ルートの狭いところは相当狭く、ただでさえ擦り減っているダウンジャケットの羽毛がさらに飛んでいった。洞窟を抜けると寒くなったので、ああ、洞窟の方が暖かかったのだなあと。
菜の花だ。
西海総合支所。
道中出会った。
七ツ釜鍾乳洞へ。
かなり細い鍾乳洞だった。
水の音を聞きながら。
辰年の写真を撮ったら、アメがもらえるということで、見つけた。

立派な造船所のある島。ー旧大島町(西海市)

旧西海町から、次にやってきたのは旧大島町だ。大島大橋を渡ると寺島(旧大島町)に入り、さらに寺島から寺島大橋を渡ると、大島に入る。確か長崎県の人たちは、橋で渡れる島を「島」と言い、船で渡る島を「離島」と言うと聞いたことがある。

橋を渡る手前で風速が表示されていて、「風速9m/s」とあった。カブは非常に風に弱いのです。車に抜いてもらい、後ろからしばらく車が来ないことを祈って、ゆっくり進む。

無事に橋を渡りきって、大島へ入った。やはり大島造船所の大きな建造物が印象的だ。赤と白の巨大な門のような建造物が連なっていた。大島は特に戦前から戦後にかけて、炭鉱の島だったけれど、閉山後は造船が有名な島になっている。

市街地を歩くと、島の気配をとても濃く感じた。ブロック塀、屋根、マンション……、それらひとつひとつに染み付いた時間があるようだった。橋でつながっているけれど、流れている時間は、明らかに島であると。

寺島大橋。
大島造船所。大きいなあ。

造船所とファミマの駐車場だ。
島の気配を感じる。

百合ヶ岳公園。
独特だなあ。

大島の奥にある島。ー旧崎戸町(西海市)

旧大島から旧崎戸町へやって来た。大島の西側に位置する島だ。メインの大きな島は蛎浦島(かきのうらしま)だけれど、崎戸と呼ぶ方が一般的だと感じる。例えば2021年の春の選抜高校野球に出場した大崎高校は、「大島」と「崎戸」の地名を合わせた大崎高校である。
 
さて、中心部まで行くと、海がすぐそばにあり、入江のような地形が特徴的だった。尾道と奄美大島を足し合わせたような風景だと思った。
 
それに、早朝や夕方になると町内で曲が流れることもしばしばだけれど、12時の放送が鳴って、それがオルゴール調のエーデルワイスだったので驚いた。やさしい島だなあ。
旧崎戸町へ。
アラカブのバス停だ。
わあ!
崎戸総合支所。
尾道と奄美大島を足し合わせたみたいだなと。
北緯33度線展望台。
戦争遺構でもある。
北緯33度は、バグダッドやカサブランカと同じ緯度。

大村湾を見渡す風景。ー旧西彼町(西海市)

旧崎戸町から、今度は一気に東側まで移動する。丘陵地帯の山越えで、道中はカーブのうねうね道だった。ようやく見えてきたのは大村湾だ。大島や崎戸で見ていた海は外海なので、波も荒々しい姿だったけれど、大村湾は比較的凪いでいて、同じ海でも表情がはっきり変わるなあと。
 
西彼総合支所に立ち寄ってみる。閉村したオランダ村の一部が活用されていて、支所なのに風車が建っており、いかにもオンリーワンな場所だ。
 
四本堂公園も訪れたけれど、展望台から下を見るとキャンプ場にテントが張ってあった。冬にキャンプかあ、やったことないなあ。
山道を越えて、川内(旧西海町)へ。
旧西彼町へ。バス停と大村湾。
四本堂公園。
展望台へ。
風はあるけれど、大島や崎戸よりは大人しく感じる。
オランダっぽい、西彼総合支所。

音浴博物館と雪浦ゲストハウス森田屋。ー旧大瀬戸町(西海市)

旧大瀬戸町に、謎めいた施設があり、気になっていた。その名を「音浴博物館」という。山の中の廃校を利用した博物館で、音で浴する安らぎの場所であると。
 
ゲストハウスのチェックインに間に合うか微妙なところだったけれど、思い切って行ってみた。不安になるぐらいひたすら山奥で、木々に囲まれた細い道をずっと進み、たまに出てくる博物館の看板に励まされながら。
 
ようやく駐車場に着くと、関東のプレートナンバーの車も停まっていた。正面の写真を撮って、カメラをしまって博物館に入る。受付をしてくれたのはおじさんとおばさんで、館内の説明をひと通りしてもらった。とにかくレコードがたくさんあって、好きなレコードをかけても良いのだと。じりじりっ! と針の擦れる音に痺れるわけです。夢のような空間だ。
 
受付のおじさんに、「どこから来たの?」「どうして大瀬戸に?」と結構聞かれて、受け身気味だったけれど、この博物館の創設者が同郷の倉敷の方ということだった。
 
館内がとてもいい空間なので、写真は撮らなかった。じっくり、みんな曲を聴いてるので、ぼくもそうありたかった。年配の方だけではなくて、若いカップルもいた。時代を問わず「良いものは良い」ってわけだなあ。男性が小田和正の曲をかけているのを椅子に座って一緒に聞いて、最高だった。
ぜひ、行ってみてください。

そして、ゲストハウスに移動した。泊まったのは、旧大瀬戸町にある「雪浦ゲストハウス森田屋」。雪浦は地名で、森田屋は建物の元々の家主の名前だという。

中年の女性二人も同じタイミングで泊まっていて、いろいろと話をした。ひとりは地元のスーパーのオーナーさんで、ぼくもついさっきそこに立ち寄って、晩御飯を買ったのだった。新しくて明るいスーパーだなと感じていた。

そのオーナーさんは、東京で10年主婦をしていたけれど、旦那さんたちと一緒に大瀬戸へ戻ってきて、スーパーをひらくことになり、もうすぐ1年経つのだと。主婦からオーナーに転身したわけだ。お話を伺っていると、スーパーという役割だけではなくて、地域にとっていろいろな役割を果たせるようなひらかれた場にしたいという強い思いがあった。それが使命のようなものだと感じてもいると。もちろん、少しずつ、一歩ずつ進みたいと。

その土地に住む人たちが思いを持っていると、その土地には鼓動がある。このゲストハウスも、雪浦の人々と雪浦を訪れる人々が出会う場所になってほしいとNPO法人が運営する宿だ。良い出会いに恵まれたなあと思う。

大瀬戸の市街地。

雪浦ゲストハウス森田屋さんに宿泊。

素敵なご縁をありがとうございました。

というわけで、今日の散策はここまで。西海市は西側と東側でエリアが大きく分かれているように感じました。外にひらかれた海か、大村湾かによって、海がそばにある暮らしも、印象が異なるなあと。

本日のひとこと
島で鉄アレイを持って散歩している人を見ました。
(終わり。次回へ続きます)

<旅を応援してくださる方々へ&関連ページ>

「どこで暮らしても」の商品ページに飛びます。

今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
写真集の商品ページはこちら

二見書房編集部noteにて連載中です。

二見書房編集部noteのページはこちら
旅についての心境を、週に一度日記形式で書いています。ブログにまとめきれなかったことも残せたらと思います。

日本加除出版noteにて連載中です。

日本加除出版noteのページはこちら
旧市町村で気になったまちのことについて、月に一度まとめています。本文は『戸籍時報』でも連載中です。

ストレートプレスにて連載中です。

ストレートプレスのページはこちら
トレンドニュースサイトのSTRAIGHT PRESS(ストレートプレス )にて、旧市町村をひとつずつまとめた記事を連載中です。

 

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

RECENT ARTICLES

いったん、鹿児島県も最後の旅。志布志市、曽於市へ。【旧市町村一周の旅(鹿児島県|4月2日―362日目)】

いったん、鹿児島県も最後の旅。志布志市、曽於市へ。【旧市町村一周の旅(鹿児島県|4月2日―362日目)】

いったん、鹿児島県の旅も今日で最後になります。いったんというのは奄美大島が残っているからで、屋久島には訪れることができたものの、奄美大島はタイミングを逃してしまいました。ただ、沖縄県もまだ残っているので、どこかのタイミン...
佐多岬、雄川滝、内之浦……本州最南端の壮大さ。【旧市町村一周の旅(鹿児島県|4月1日―361日目)】

佐多岬、雄川滝、内之浦……本州最南端の壮大さ。【旧市町村一周の旅(鹿児島県|4月1日―361日目)】

さて、4月1日。鹿児島県最南端のまちを進んでいきます。佐多岬まで行くか迷いましたが(遠いので)、行かなきゃ後悔しそうだなあと思って、行ってきました。それでは振り返りましょう。今日までの旅メーター訪れた政令指定都市の区の数...

Follow me