ふるさとの手帖

市町村一周の旅

五島列島の最北端、宇久島へ。【旧市町村一周の旅(長崎県|12月29日―267日目)】

五島列島の最北端、宇久島へ。【旧市町村一周の旅(長崎県|12月29日―267日目)】

早起きが好きだとしても、体に残っているエネルギーで明日は起きれるなとかまずいなとか、みなさんも体感でわかりますよね。

そして、明日はちょっとまずいなと思って寝たのでした。
意識しないと寝坊するぞと。

で、船は6時40分発のところ、目が覚めたのは6時5分。
しまった! だから言ったのに(誰も言っていない)。

こんなこともあろうかと、荷物の整理は済んでいたので、6時13分には宿を飛び出し、
こんなこともあろうかと、港の近くに泊まっていたので、6時24分に乗船券を購入できました。

券を買った1分後にはアナウンスが鳴って乗船開始。
何にせよ、よかったよかった。

高速船は小値賀島を経由し、宇久島へ着いた後は佐世保まで向かいます。
ぼくはその途中の宇久島での下船。初めて訪れる宇久島へ。

港はまだ暗い。
高速船に乗る。
シークイーンへ。

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【81/175】

81/175
46.29%
訪れた旧市町村の数【752/2,094】
752/2094
35.91%
総計【833/2,269】
833/2269
36.71%

スーパーカブの総走行距離
21355km

宇久島へ。

旧宇久町(佐世保市)
船が出港した。まだ暗がりだけれど、うっすらと上五島の島影だけが見える。

7時15分には小値賀港を経由し、7時半を過ぎた頃には、野崎島の西の海で大きな朝日が昇ってきた。
水平線に近い太陽はとても大きく感じられる。
標準レンズで撮るよりも肉眼の方がずっと大きく見えて美しかった。
夜が明ける。
野崎島。
船から朝日を見る。

7時40分、宇久平港に入った。
宇久島で降りたのはぼく一人だった。
一方で、宇久島からは数十人ほど乗船していく。
みんな佐世保へ向かうのだなあと思った。

島に上陸したあとは、港に差し込む朝日がやはり美しかった。

宇久島へ。
佐世保へ行ってらっしゃい。
朝日が港へ差し込む。
宇久島は2005年に、佐世保市と合併しました。
五島列島ですし、宇久島が佐世保市だという感覚はちょっと不思議かもしれない。
でも、平成の大合併で繰り広げられた分水嶺をぼくが評論することなんてできない。
その狭間を知りたくてこの旅をしているし、だからこそ宇久島に訪れることができてとても嬉しい。
 
まずは港の周辺を歩きました。
朝日を浴びて。
平家の里。兵乱の京を逃れた平家盛が、居住した歴史を持つ。

どのように島を巡るか、いくつかプランを持っていました。
ひとつはカブといっしょに上陸して島を巡ること。
この方法は、高速船で移動したのでむずかしい(フェリーでなければ積載できません)。

もうひとつは島で自転車をレンタルすること。
このプランを本命にしていました。
行きたい場所もピックアップできていたし、帰りの便にも自転車があれば十分間に合うはずだと。

ただ、時期が時期で。
12月29日。年末も年末です。
レンタサイクルを借りれるのかどうか、情報をうまく見つけられなくて。
時刻はまだ朝8時。

待てばお店が開くのかもしれないけれど、この時期にひとりで自転車を借りるというのも申し訳ない。気を使うじゃないですか。

みたいなことを思い巡らせて、レンタサイクルは時短営業だったとあとでわかったのですが、徒歩で島を散策することにしました。

とはいえ、車なら数分でたどり着くような距離も、徒歩なら時間がかかる。
結果的に、港から大浜海岸という東のビーチへ訪れ、それから北にある集落まで着いた後は、その先の灯台には行かずにUターンし、城ヶ岳展望所への訪問も諦めて、周回して戻ってきたのでした。

歩いた距離は10kmほど。
それぐらいは余裕だと言われて同然かもしれないけど、朝から何も食べてなかったのでだいぶヘトヘトになりました。

歩いて散策する。小学校だ。
ダイナミックな景色だなあ。
ん、鶏?

大浜海岸の近くで、木の茂みがガサガサと動いているのを見つけました。
どうやら鳥のようです。
大きそうに見えるので、もしかしたら雉かもしれない。
と思ったのですが、何かが違う。
そこで、「んっ、鶏? 野生の鶏?」
と、ようやく気づきました。
飼い主さんがいるのかと思ったが、周りには誰もいない。
ゆっくり近づくと、鶏がより鶏に見える。
とにかく食事をしているようでした。
野生なのだろうかと、わからないまま。

君たちは野生ですか?
大浜海岸へ。

大浜海岸へ着きました。
島の東に広がるビーチで、緩やかな傾斜には冬枯れの芝が一面に広がっていました。
そして、静かに波の音をききます。
誰もいない海で、ざぶーん……ざぶーん……と。

芝と海と。
その後、来た道を戻りました。
さっき鶏がいた場所も通ったけれど、彼らは姿を消していて。
まだ10分後ぐらいなのに。
鶏って飛べないよね?
どこに行ったのだろう。
……最後まで謎でした。
 
それからは次の集落に向かって歩き、集落についた後は、違う道を使って港まで戻りました。
外に目を向ければ海が、内に目を向ければ城ヶ岳が広がっていて、どちらも美しい景色で。
畑だ。
集落と。
隣の集落だ。
やっと自販機を見つけて助かった。
港のある集落に戻ってきました。
商店で、お昼ご飯を買った。
神島神社。

散策中に神島神社という神社を見つけたので立ち寄りました。
ちょうど宮司さんが出てきたのですが、「午後から新年の飾り付けをやるんで、よかったら」と声をかけてくれて。

午後に再訪すると、おじさんたちが飾り付けを担い、子どもたちが境内を掃除し、穏やかな島の時間が流れていました。

ありがとうございました。
港に戻ってきてからは、ようやく商店で食べ物を買うこともできて、もう、ゆっくり過ごそうというモードに切り替わってしまいまして。
午後の船をまったりと待ちました。
 
公園で休んでいると、隣のテニスコートでは地元の方たちがテニスをたのしんでいました。知らない日常がここにもあるのだなあと思いながら。
 
そして、15時5分の高速船で有川港に戻ります。
宇久島に来れてよかったです。
島の方たちはたくさん挨拶をしてくださいました。
とても明るい島でした。
また来れる機会があるといいな。

頭ヶ島天主堂へ、もう一度。ー旧有川町(新上五島町)

有川港に戻ったあと、日没まであと1時間あったので、頭ヶ島天主堂へ向かいました。
前回の旅でも訪れたけれど、もう一度見ておきたくて。

もちろん見たからといって、自分の中で大きく何かが変化するわけではないけれど。
空気感を味わっておきたいことってあるから。
掴めても、掴めなくても、その空気を吸っておきたいときが。
頭ヶ島へ向かう途中。
道中、赤尾の集落。
石積みの雰囲気が独特で。
頭ヶ島天主堂。
静かに、外で軽く会釈。
隠れキリシタンの歴史。
坂本龍馬ゆかりの広場にも向かいます。
坂本龍馬の像だ。

もう一箇所、坂本龍馬のゆかりの地にも向かいました。坂本龍馬の像がここにあるのは、ワィル・ウェフ号という坂本龍馬が関わった船が遭難し、ここに流れ着いたから。
その際に亡くなった人も多かったのだと。
そして、坂本龍馬が上五島へ訪れて、銅像を建ててくれと頼んだとのことです。
悲しみを忘れないように。

人は常に今という姿を見ているけれど、過去に起きたさまざまな出来事は、あらゆる糸でつながっている。そう思います。
島も、日本も世界も。
歴史は常に。

というわけで、今日の散策はここまで。
五島列島で訪れる島はまだ残っていますが、ここで一度、明日は佐世保方面へ戻る予定です。
 
本日のひとこと
泊まっている宿で、ビンゴ大会の声が聞こえてきました。年末を感じます。
(終わり。次回へ続きます)

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