ふるさとの手帖

市町村一周の旅

広大な釧路市を東へ北へ。【旧市町村一周の旅(北海道|9月2日―149日目)】

広大な釧路市を東へ北へ。【旧市町村一周の旅(北海道|9月2日―149日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【49/175】

49/175
28.00%
訪れた旧市町村の数【445/2,093】
445/2093
21.26%
総計【494/2,268】
494/2268
21.78%

スーパーカブの総走行距離
12820km

旧音別町→釧路市→旧阿寒町、の3つ。

広大な釧路市を東へ北へ。(2023年9月2日(土)―149日目)

朝8時過ぎまで、雨が止むのを待つ。外に出ると十分に涼しくて、空は霧が混じったような分厚い雲で覆われている。

道中、生い茂る木々に囲まれていたり、広大な畑が広がっていたり、牛が放牧されていたり、ほとんどウインカーを出すこともなく、一本の国道をさまざまな景色が流れていく。

最初は帯広から音別まで、約80キロの旅だった。

旧音別町(釧路市)

旧音別(おんべつ)町は釧路市の飛び地のまち。あいだに白糠町を挟んで、釧路市の市街地まで40kmほど離れている。釧路市ではあるけれど、旧音別町で独立している形だ。

丘の上から市街地を見てみると、低い丘が長細く広がっていた。その手前に広がる集落の姿は、景色もあいまって違う国に来たようにも感じる。

観光交流施設の「ルート38 音別館おんぽーと」で、富貴紙の存在を知った。富貴紙は蕗の皮を原料につくる、音別地域の和紙。展示された紙を見ると、蕗の繊維が紙の中に残っていて、若干の凹凸もあり、独特の味を感じた。

市街地の中心を流れる音別川の写真を撮ろうと思って、橋を訪れる。そこに、ひとりのおじいさんが自転車を停めて、川の上流を眺めていた。目が合ったので、何を見ているのですかと尋ねたら、「ツルだよ」と。

えっ、ツルが川上にいる? 目を凝らすと300mほど上流に、タンチョウヅルと思われる姿が3羽いた。すごい! おじいさんがいなければ、まったく気が付かなかっただろう。それに、9月でもツルがいるんだ。もっと厳冬期の頃だと思っていた。「おん、たまにいるんだよ」とおじいさんは言った。

旧音別町へ。
根室本線。
交流館のおんぽーと。

音別の和紙、富貴紙。
技の名前みたい。

肌寒い。

野球場の外も、天然芝みたいな感じ。
おじいさんが、ツルを見ていた。
ツルだ!

釧路市

釧路市に入ってから、霧がいっそう濃くなった。もちろん晴れた姿も見たいけれど、濃霧の姿もそれはそれで、嘘のない景色なんじゃないかと思えてくる。

工場と多くすれ違う。煙突から煙がもくもくとと出ている。「大きなまちだな…」と素直に思った。北海道の東に、これだけ立派なまちがあることに、やはり驚いてしまう。

釧路市立博物館で、どうやって釧路のまちが発展したのか、道東の動植物やアイヌの方々の歴史についてなど、いろんな展示をちょっと時間をかけて見た。

昆虫は、寒冷地だと成長できる期間が短いので、全般的にサイズが小さいと知った。イトウやサーモン、魚は大きいイメージだったので、昆虫は逆なんだな、と思う。

明治時代、釧路は漁村だけではなくて、釧路炭田の石炭や、松材をつかった製紙業も盛んになりながら発展した。鉄道も敷かれて利便性が良くなれば、人口も増加する。

カブで走っているとき、「鳥取」の地名を見かけて、鳥取? と思っていた。すると展示の中で、旧鳥取藩士が移住していたことが紹介されていた。明治30年以降、各県の農村から、団体で移住が行われていたそうだ。

釧路市へ。
すんごい名前だな。

幣舞橋(ぬさまいばし)。ヨーロッパ風の橋だ。
杖が、野生の杖。
釧路市立博物館へ。
道東で採れる昆布はサイズがとても大きかった。

幣舞橋とまちなみを幣舞公園から。
ここを走ったけど、ちょっと怖かった。

旧阿寒町(釧路市)

釧路市の市街地から、同じく釧路市である阿寒湖まで、なんと80km弱ある。さすがに遠いし、心が折れそうにもなったけれど、行かなきゃダメでしょうと自分を奮い立たせる。

とはいえ、旧阿寒町の市街地は阿寒湖よりも40kmほど南に位置している。セイコーマートを見つけて、午後の良い時間だが朝食から何も食べていなかったので、せめて何か食べようとカブを止めた。そのとき偶然、隣に「牧場のソフト」と書かれた看板のソフトクリーム屋さんがあった。どうやら、並んでいる人たちは観光客ではない。車のナンバーを見ても、地元の人たちだ。地元の人たちが並んで食べるソフトクリーム、それは食べたい。元々セイコーマートに行くつもりだったが、先にソフトクリームをいただいたのだった。(そのあとおにぎりも食べた)。

阿寒湖のアイヌコタンを訪れるのは2回目になる。ぎゅっと左右に並ぶお店の雰囲気に、今回も圧倒される。お店で木彫作家さんと、直接話をすることもできた。その方の作品は、細かな彫りが加えられた木が、掛け時計として針も動いていた。すごい。

「26歳で阿寒湖にやってきて、かれこれ15年以上です」

27歳なので、ぼくもがんばりますと言ったら、大丈夫だよと笑ってくれた。

もうひとつ、阿寒湖のエコミュージアムセンターで、マリモの展示紹介があった。直径30cmを超える大型球状体のマリモになるのは、世界でも阿寒湖だけ。展示の中にマリモの湖底での様子を捉えた動画があって、それがすごく面白かった。

マリモがどうやって丸い形で成長すると考えられているか。阿寒湖には強い南風が吹きおろしてくる。風域の長さ(強さ)が一定の基準に届くと、湖面のマリモを回転させる。マリモは光合成で成長するので、回転することで均等に日光を浴び、丸い形で成長していく。

だが、なのに、マリモは転がって回転するのではなく、その場でぐるぐると回転するのだ。それがすごく面白かった。まるで見えないローラーがあるみたいに。その様子の動画を見て、「へぇ〜!」って、思うしかなかった。

牧場のソフトだ。
ブルーベリーとラズベリーの、ベリーベリー。地元の人たちが食べる、本格ソフトクリーム。
旧阿寒町。

アイヌコタンへ。シマフクロウはヒグマと同じく、大切な存在。
手彫りによる作品。時計の針も動いていて、凄かった。
緻密だなあ。

そのまま、だ。
エコミュージアムセンターへ。
マリモさんこんにちは。

阿寒湖畔。ようやく晴れてきた。

雄阿寒岳。

弟子屈町の旅人宿昭栄さんへ。

阿寒湖を訪れたあと、弟子屈町にある旅人宿昭栄さんで宿泊した。2018年、2020年とお世話になったことがあって、今回は3年ぶりだ。

オーナーのさだひろさんは、ちょうど3週間ほど前にお子さんが生まれていた。よかったらと会わせてもらって、抱っこもさせてもらった。わあ、3週間かあ、と、尊いだとか、命は美しいだとか、そういった感想を持つことすらできなくて、命だ、と感じるばかりだった。

宿には日本人女性ひとり、スイス人男性ふたりの3人組が宿泊していた。男女の一組はカップルで、もうひとりは友人だと。その関係性、スイス人男性の友人もすごいな、と思ったことはさておき、夕食で彼らがつくっていた「ほうとう」をお裾分けしてもらった。毎日その日の気分で料理をつくっていると。山梨県の郷土料理でも、スイス人のふたりからすれば、日本の郷土料理だからね。

ヨーロッパで流行っているアニメはいくつかあるみたいだけれど、その中でも彼らは進撃の巨人がとても好きみたいで、食事のあと、進撃の巨人のアニメを一緒に観た。なんだろう、不思議な夜であった。

弟子屈町へ。とうもろこし畑。
夕日が丘に沈む。

旅人宿昭栄さん。
さだひろさんと甘えん坊ちゃん。
おめでとうございます。
スイスからようこそ。

というわけで、今日の散策はここまで。まちは3つしか巡っていないけれど、移動距離がある中で、無事に進めることができてホッとしている。

本日のひとこと
カブで走っているとき、道路脇にもタンチョウがいた。近かった。そのまま通過したけれど、こうした風景があたりまえにあって、すごい。
(終わり。次回へ続きます)

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