今日までの旅メーター
訪れた政令指定都市の区の数 【49/175】
訪れた旧市町村の数【442/2,093】 総計【491/2,268】スーパーカブの総走行距離
12540km
90歳を超えるおばあさんとの出会い。(2023年8月31日(木)―147日目)
朝、ガラケーが壊れた。何度充電しても電源がつかなくなった。初期症状はあったので、納得ではある。いよいよ、テザリングができない。フリーのWi-Fiスポット以外では、ネット環境のない旅だ。泊まっていたライダーハウスの旅人さんに調べてもらって、帯広に携帯ショップがあることは確認した。そこで聞いてみるしかない。
今日は日高地方から、帯広方面を目指す。舞台が徐々に道東へ移っていく。中盤といったところだ。それでは振り返っていこう。
旧静内町(新ひだか町)
最初にやって来たのは、旧静内町。サンクチュアリで登場した最強の力士は「静内(しずうち)」だけれど、まちの名前は「静内(しずない)」町だ。
以前旅をしたときは、友人のお父さんが静内で働いていて、お世話になったことがあった。今日あらためて訪れてみると、まちの中心部を訪れたことがあるような、淡い記憶が蘇ってきた。
町役場のそばで喫茶店を見つけた。朝から営業中の看板が置かれている。そこに、おじいちゃんが常連さんの雰囲気で入っていくシーンを見た。居場所があることは、良いことだよなあと思う。
旧三石町(新ひだか町)
次にやって来たのは旧三石町。まずは中心部に行ってみようと、海沿いの国道235号線をずっと進んでいた。その中心部の手前でふと、セイコーマートの向かいに「みついし昆布」の看板を見つける。店舗のようで、のぼりを見ると「昆布ソフトクリーム」とあった。おお、入ってみよう。
店内で昆布ソフトクリームを注文すると、スッと出てきたおばあさんが、ソフトクリームをつくってくれた。その方の雰囲気に、品と温かさが滲み出ている。目には見えないが、優しさに包まれている。大袈裟ではなく、そう感じたのだ。思わず話し込む。
話の途中、おばあさんが、「95歳になるの」と言って、ほんとうに驚いた。95歳になる方に、ソフトクリームをつくってもらったわけだ。なんてお若いのだろう。おばあさんの持つ人柄に、惚れるばかりだった。
「自分の心を大切にすること。良い心を持つことです」
それは、まさにおばあさんの雰囲気に現れていた。言葉だけではなく、身にまとうオーラとして。
ちなみに、みついし昆布と日高昆布の違いも聞いてみた。ほとんど一緒なのだが、「みついし」はアイヌ語が語源で、先に生まれた言葉だそうだ。いただいた昆布ソフトクリームも、もうひとつ食べても良いぐらい美味しかった。ほんのり昆布香る塩気とソフトクリームの甘さが、互いにバランスを保ち合い……。
旧忠類村(幕別町)
旧三石町から日高山脈を越えて、旧忠類村を目指す。移動は約100km。途中ちょっと疲れたので、パーキングエリアで仮眠した。バイクのそばで、風呂敷を頭に敷く。地べたにそのままゴロン。それで寝てしまうのだから、笑ってしまう。おかげでその後は眠気なく進むことができた。
旧忠類村の道の駅で、特産の「ゆり根」を知る。名前の通り、ゆりの根っこのことだが、北海道で約99%生産されていると。さらに出荷まで6年もかかるそうだ。栄養価が高く、料亭などでも使われている。商品のひとつ「ゆり根大福」を食べてみた。クセもなく優しい味で、地元の特産品を食べられて嬉しかった。
幕別町
同じ幕別町でも、旧忠類村から幕別町市街地まで、40km以上離れていた。わかっているけれど、遠い。霧に包まれた一本道をひたすら進む。ようやく辿り着くと、幕別町の市街地からは、旧忠類村方面よりも、帯広市方面の方が近いのだと知った。旧忠類村とは40kmほど離れているが、帯広市は10kmと少しである。
明野ヶ丘公園の「ピラ・リ」と呼ばれる展望台に訪れた。ジブリ空間のような立体物があってドキドキ。飯能市のトーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園で出会った、北欧風の建物も思い出した。
幕別駅前や幕別町役場近くを歩いて、今日の散策をここまでとする。
と、今日の散策はここまで。このあと帯広のケータイショップへ。ガラケーのバッテリーを変えたかったのだけれど、代替品がなく、どうしようもないと。対応してくださった店員さんは諦めた方がいいと言葉にニュアンスを込めていたが、もうひとりの店員さんが、諦めずに他店の在庫を探してくれて、北海道で唯一、札幌に一店舗だけ在庫があると見つけてくれた。今は取り置きしてもらっている。札幌にたどり着くまで、テザリングや電話はできないが、札幌に着いたら、復活できるかもしれない。あと一週間ほど、このスタイルでがんばってみよう。どうやってもネットに繋がらない環境は、逆に気持ちのいいことだよ。
旅日誌も書いているのですが、担当してくださっている編集者さんがコロナに罹患してしまい、少し間が空きます。どうか快方に向かわれますように。ご自愛ください!
<旅を応援してくださる方々へ&関連ページ>
今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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旅についての心境を、週に一度日記形式で書いています。ブログにまとめきれなかったことも残せたらと思います。
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