ふるさとの手帖

市町村一周の旅

堂々と鎮座する下北半島だった。【旧市町村一周の旅(青森県|8月22日―138日目)】

堂々と鎮座する下北半島だった。【旧市町村一周の旅(青森県|8月22日―138日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【49/175】

49/175
28.00%
訪れた旧市町村の数【414/2,093】
414/2093
19.78%
総計【463/2,268】
463/2268
20.41%

スーパーカブの総走行距離
11090km

むつ市→旧川内町→旧脇野沢村→旧大畑町、の4つ。

堂々と鎮座する下北半島だった。(2023年8月22日(火)―138日目)

昨日青森に戻ってきて、一週間旅をしていないだけで、日が短くなったように感じた。

今日は朝6時に出発した。空に薄い雲が広がっていたが、雲ではなく霧だ。北海道の根室や羅臼で見た低い霧を思い出す。今まで青森は爽やかな晴れか、単純な曇り空の二択だった。

青森市
踏切
陸奥湾の奥に下北半島の最高峰、釜臥山が見える(横浜町から)。

むつ市

青森県の旅で最後に残っていた、むつ市の旧市町村。

むつ市、旧川内町、旧脇野沢村、旧大畑町、の4つが今日の目的地になる。

4つだけれど、青森市からの出発だと1日がかりになることは想定していた。青森市からむつ市の市街地まで、いきなり100kmの移動になるから。青森市から反対方面、津軽半島の最北端である龍飛崎までは70kmほど。むつ市の方が龍飛崎より遠い。前回の旅で、下北半島の広さも痛感していた。

とはいえ、むつ市では「霊場恐山」しか訪れたことがなかった。だからこそ、今回はほかの地域も巡ってみたかった。むつ市でもまずは恐山ではなく、市街地を巡った。川も美しく、暮らしのそばに立派な釜臥山(かまふせやま)があり、陸奥湾沿いを進んで行くと集落と海の景色に心躍った。今までに自分が見たと感じたことのない景色だった。

田名部川。
むつ市役所。
釜臥山が徐々に近いてきた。

陸奥湾と学校。美しかった。
赤いトタン屋根の集落と凪いだ海は、下北半島の景色だ。

旧川内町(むつ市)

むつ市から陸奥湾沿いに西進すると、旧川内町と旧脇野沢村がある。最初に着いたのは旧川内町。とても広くて、内陸部の渓谷が織りなす自然が魅力だれど、かなり距離もあるので、今回は陸奥湾沿いのまちを歩いた。

今日、陸奥湾沿いの道はほんとうに気持ちがよかった。一面海なのに、海と空の境界線が曖昧で、吸い込まれそうだった。

陸奥湾沿いの道を進む。
海と空の境界線が曖昧だ。
そして海は澄んでいる。
川内庁舎。大きな建物だった。
集落へ。たしかにまちがあった。

ここもむつ市である。

旧脇野沢村(むつ市)

下北半島の南西部に、ひっそり佇んでいた村がある。旧脇野沢村だ。2005年に合併によりむつ市になるまで、約116年続いた村。2100年ごろ、日本のまちがどうなっているかなんてわからない。だから、大局的に見れば、土地の歴史が100年同じように続いているのは、とてもすごいことだ。

旧脇野沢村の中心部でカーブを曲がった瞬間、「わあ」と声が出た。昔のままだ、と思ったのだ。地面から建物、電柱、空まで、目の前に見えているものすべてに、昔の面影が残っている。そして、無駄なものがない。必要だからつくられ、不必要だからといって壊されなかったものが、目の前にあった。旧市町村の旅をしてよかったと思った瞬間だった。

中心部からさらに西へ7km進んだ先にある「九艘泊(くそうどまり)」も、今まで出会ったことのない漁村だった。真新しいコンクリートの道の先に、タイル調の古い道路がつなぎ合わさっている。これほどまでに、変わらない時間の流れがあるのか…。長居するべきではないと思って、スッと出発した。最果ての先にも、人々の暮らしがあることを知った。

脇野沢のフェリーの港。

変わらない景色だ。

脇野沢支所。
奥の山地は津軽半島。

九艘泊へやって来た。
九艘泊。

旧脇野沢村、ありがとうございました。

(番外編)恐山

恐山へ訪れるかどうか、迷いもあったけれど、行ってみることにした。2回目の訪問で、見方や感じ方が変わるのか、気になったから。

旧脇野沢村から恐山までの道のりは約50km。やはり、下北半島は広いのだ。同じむつ市内の移動なのに。

霊場の門をくぐってしばらくすると、強い硫黄の匂いがした。そうだ、確かに硫黄の匂いがしたっけな、と思っていると、三途の川を通過して駐車場へ着いた。前回来たときは、三途の川を見て鳥肌が立った気がするけれど、今日はしない。

午後の日差しはとても強かったけれど、駐車場でサングラスを外して、境内を巡った。灰と白が混ざったゴツゴツした岩の地面が眩しい。賽の河原と刺さった風車を崩さないように進む。それに前回来たときよりも夏の盛りだから、緑が多い。宇曽利湖に近づくと、岩石がいつの間にかサラサラとした砂に変わった。同じ境内の中で砂と岩、天国と地獄が体現されていることは、やはり稀有な場である。

恐山を進む。

帰り際、蝉が一匹も鳴いていないと思った。その代わり、風車が蝉の1/10ぐらいの音で、ジリリリと鳴いていた。

旧大畑町(むつ市)

最後にやって来たのは、旧大畑町だ。まちの中心部が唯一、下北半島の陸奥湾側ではなく、日本海(津軽海峡)側にある。

着いたのは夕刻で、子どもたちが元気な放課後を過ごしていた。じいちゃんの軽トラの助手席に乗って帰る小学生もいた。

陸奥湾側とは違う雰囲気の落ち着きがあって、商店街の通りもしっかりまとまりがある。まちの中心部を流れる大畑川に、まっすぐ西日が差し込んだ。旧大畑町も、この旅で来ることができてよかったまちだ。

大畑庁舎。

放課後。

アイスコーヒーを買った。

集落と津軽海峡。
渋いなあ。
大畑川にて。

日没も早くなってきた。

というわけで、今日の散策はここまで。

そして、今日で青森県内の旧市町村をすべて巡ることができました。

青森県、ありがとうございました。

時間もかかりましたが、無事に巡ることができてありがたいです。

青森では八戸市のお祭りに加えて、青森市、五所川原市、弘前市と青森三大ねぶた祭りも見ることができました。奥入瀬渓流や青池の自然、津軽半島や下北半島の人々の暮らし。知らない景色がたくさんありました。

この機会を活かせるように、これからも旅を進めます。ありがとうございました。

本日のひとこと
夜に、大きな流れ星を2つ見ました。
(終わり。次回へ続きます)

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