
今日までの旅メーター
訪れた政令指定都市の区の数 【49/175】
訪れた旧市町村の数【414/2,093】 総計【463/2,268】スーパーカブの総走行距離
11090km


堂々と鎮座する下北半島だった。(2023年8月22日(火)―138日目)
昨日青森に戻ってきて、一週間旅をしていないだけで、日が短くなったように感じた。
今日は朝6時に出発した。空に薄い雲が広がっていたが、雲ではなく霧だ。北海道の根室や羅臼で見た低い霧を思い出す。今まで青森は爽やかな晴れか、単純な曇り空の二択だった。



むつ市
青森県の旅で最後に残っていた、むつ市の旧市町村。
むつ市、旧川内町、旧脇野沢村、旧大畑町、の4つが今日の目的地になる。
4つだけれど、青森市からの出発だと1日がかりになることは想定していた。青森市からむつ市の市街地まで、いきなり100kmの移動になるから。青森市から反対方面、津軽半島の最北端である龍飛崎までは70kmほど。むつ市の方が龍飛崎より遠い。前回の旅で、下北半島の広さも痛感していた。
とはいえ、むつ市では「霊場恐山」しか訪れたことがなかった。だからこそ、今回はほかの地域も巡ってみたかった。むつ市でもまずは恐山ではなく、市街地を巡った。川も美しく、暮らしのそばに立派な釜臥山(かまふせやま)があり、陸奥湾沿いを進んで行くと集落と海の景色に心躍った。今までに自分が見たと感じたことのない景色だった。





旧川内町(むつ市)
むつ市から陸奥湾沿いに西進すると、旧川内町と旧脇野沢村がある。最初に着いたのは旧川内町。とても広くて、内陸部の渓谷が織りなす自然が魅力だれど、かなり距離もあるので、今回は陸奥湾沿いのまちを歩いた。
今日、陸奥湾沿いの道はほんとうに気持ちがよかった。一面海なのに、海と空の境界線が曖昧で、吸い込まれそうだった。






旧脇野沢村(むつ市)
下北半島の南西部に、ひっそり佇んでいた村がある。旧脇野沢村だ。2005年に合併によりむつ市になるまで、約116年続いた村。2100年ごろ、日本のまちがどうなっているかなんてわからない。だから、大局的に見れば、土地の歴史が100年同じように続いているのは、とてもすごいことだ。
旧脇野沢村の中心部でカーブを曲がった瞬間、「わあ」と声が出た。昔のままだ、と思ったのだ。地面から建物、電柱、空まで、目の前に見えているものすべてに、昔の面影が残っている。そして、無駄なものがない。必要だからつくられ、不必要だからといって壊されなかったものが、目の前にあった。旧市町村の旅をしてよかったと思った瞬間だった。
中心部からさらに西へ7km進んだ先にある「九艘泊(くそうどまり)」も、今まで出会ったことのない漁村だった。真新しいコンクリートの道の先に、タイル調の古い道路がつなぎ合わさっている。これほどまでに、変わらない時間の流れがあるのか…。長居するべきではないと思って、スッと出発した。最果ての先にも、人々の暮らしがあることを知った。







(番外編)恐山
恐山へ訪れるかどうか、迷いもあったけれど、行ってみることにした。2回目の訪問で、見方や感じ方が変わるのか、気になったから。
旧脇野沢村から恐山までの道のりは約50km。やはり、下北半島は広いのだ。同じむつ市内の移動なのに。
霊場の門をくぐってしばらくすると、強い硫黄の匂いがした。そうだ、確かに硫黄の匂いがしたっけな、と思っていると、三途の川を通過して駐車場へ着いた。前回来たときは、三途の川を見て鳥肌が立った気がするけれど、今日はしない。
午後の日差しはとても強かったけれど、駐車場でサングラスを外して、境内を巡った。灰と白が混ざったゴツゴツした岩の地面が眩しい。賽の河原と刺さった風車を崩さないように進む。それに前回来たときよりも夏の盛りだから、緑が多い。宇曽利湖に近づくと、岩石がいつの間にかサラサラとした砂に変わった。同じ境内の中で砂と岩、天国と地獄が体現されていることは、やはり稀有な場である。

帰り際、蝉が一匹も鳴いていないと思った。その代わり、風車が蝉の1/10ぐらいの音で、ジリリリと鳴いていた。
旧大畑町(むつ市)
最後にやって来たのは、旧大畑町だ。まちの中心部が唯一、下北半島の陸奥湾側ではなく、日本海(津軽海峡)側にある。
着いたのは夕刻で、子どもたちが元気な放課後を過ごしていた。じいちゃんの軽トラの助手席に乗って帰る小学生もいた。
陸奥湾側とは違う雰囲気の落ち着きがあって、商店街の通りもしっかりまとまりがある。まちの中心部を流れる大畑川に、まっすぐ西日が差し込んだ。旧大畑町も、この旅で来ることができてよかったまちだ。







というわけで、今日の散策はここまで。
そして、今日で青森県内の旧市町村をすべて巡ることができました。

時間もかかりましたが、無事に巡ることができてありがたいです。
青森では八戸市のお祭りに加えて、青森市、五所川原市、弘前市と青森三大ねぶた祭りも見ることができました。奥入瀬渓流や青池の自然、津軽半島や下北半島の人々の暮らし。知らない景色がたくさんありました。
この機会を活かせるように、これからも旅を進めます。ありがとうございました。
夜に、大きな流れ星を2つ見ました。
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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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