今日までの旅メーター
訪れた政令指定都市の区の数 【49/175】
訪れた旧市町村の数【327/2,091】 総計【376/2,266】スーパーカブの総走行距離
8070km
2023年7月11日(火)快晴も土砂降りも全身で浴びよう。(日本一周96日目)
昨日から石巻市の「Active Life Lab」という環境優先型のゲストハウスに泊まっている。身近な環境問題について考えるヒントが、館内にも点在していて、ぼくも考えさせられる。
旧牡鹿町(石巻市)
そして、今日は石巻市の7つのまちを巡った。ひとつの市の中をぐるぐる巡っただけだけれど、今日だけでも180km走った。
ゲストハウスを出発して、最初に向かったのは旧牡鹿町。牡鹿半島って名前は聞いたことあるけれど、どんな場所なのだろうと。
半島の先端付近にある鮎川港を目指し、環境省によるビジターセンターに寄って、御番所公園から、金華山をはじめとする景色を見た。
金華山は霊山と呼ばれていて、船で渡ることしかできない。遠目から見ただけだけれど、いつか機会があったら、と思うぐらい、風格も感じられた。
旧雄勝町(石巻市)
次にやって来たのは旧雄勝町だ。「おがつ」と読む。
牡鹿半島から、ここまで50kmかかった。雄勝が遠いというよりも、牡鹿半島が長細いという地形を感じたのだった。
雄勝はリアス式海岸の入江であり、静かな空間に海鳥の大合唱が響き渡っていた。そして、道の駅「硯上の里 おがつ」では昼食も食べた。
道の駅付近は、ナビの道とまるで違う道を走った。10年前の道と、今の道は、もしかしたら全然違うのかもしれないということを考えた。
旧河北町(石巻市)
次に訪れたのは旧河北町。震災遺構の大川小学校と、先に旧北上町を巡ったあと、道の駅「上品の郷」を訪れた。
今回、すでに震災遺構の小学校を宮城県で2つ訪れた。山元町の中浜小学校と、仙台市の荒浜小学校。
いずれも、「津波からどうやって助かったか」に触れる場であった。
けれど、大川小学校は、違う。性質的には逆で、「なぜ助からなかったのか」。
全校児童108名のうち74名が、教職員11名のうち10名が命を落とした。
やがて学校は遺族と行政の裁判の場となり、命を巡る議論が、長く繰り広げられた。命は簡単に答えの出ない、しかしもっとも尊い問いだ。
いろいろと感じることはあるけれど、パネルに書かれた平和な日常への言葉を読んだとき、広島や長崎、沖縄が浮かんだ。
「奇跡の少年」として生き残った方が、その立場に苦しみながらも感じてきたことが、新聞記事になっていて、その中でも、広島への訪問が転機になったと書かれていた。
命への向き合い方は、もたらされたものによって、変わる。
どんな立場でも、大切な命を、大切にできるように。
旧北上町(石巻市)
岩手県には「北上市」があるけれど、宮城県にも「北上町」がある。旧北上町沿いを流れる北上川は川幅が広くて、太平洋が近く感じられた。
北上町の総合支所は台地の上に建っていた。小学校や中学校も。
そして、ここらで遠雷が鳴りはじめて、気づいたら、土砂降りだったわけである。
旧桃生町(石巻市)
「桃生」って、どうやって読むんだ?
「ももいき」「ももき」「ももお」
いろいろ考えたが、全部外れた。
正解は「ものう」だ。
内陸のまちで登米市や涌谷町も近く、ゆったりした田園風景が広がっていた。
旧河南町(石巻市)
旧河南町も海には面していないので、やっぱり雰囲気は内陸だ。
旭山という山から展望の景色を見ようかなと思ってもいたけれど、駐車場に着いたときに、コロコロと遠雷が絶えず鳴っていて、嫌な予感がしたので、展望台には向かわずに下山した。
石巻市
昨日から石巻市に滞在しているけれど、大きなまちだなあと感じられる。石巻駅や、旧北上川近くの雰囲気はすごく味があって、海の近くも港町らしさがある。
また、津波の被害も受けている。通りにはボランティアの方々の取り組みが紹介されていたり、シャッターに「ありがとう、石巻人もがんばるよ!」と書かれてあったり、そうした出来事が、たくさんあったのだと感じられた。
泊まっているゲストハウスのオーナーさんが、環境問題を意識するようになったのも、震災がきっかけだと仰っていた。
というわけで、今日の散策はここまで。これから先、石巻市の小さな町について会話する機会は、日常的にあるわけではないと思う。
でも、旧市町村というテーマのおかげで、実は内陸の町もあったり、長細い牡鹿半島があったり、プラスアルファで新しい景色を教えてもらうことができた。
ここ最近、地元の方と話す機会があると、「雨、大丈夫?」と聞かれることが多い。ぼくが岡山県出身だと言ったあとに。
もしかしたら西日本を、丸ごと同じような地域だと思っている節もあるけれど、それよりも、東北でも九州や山陰の雨を、心配してくださっているのだなあと思う。
ぼくは何もできていないけれど。でも、そうした心に、ただ触れている。
旧北上町の郵便局で、読み終えた本を数冊実家に送った。対応してくださったおじさんが、住所を見て「岡山から来たの」と。そして、「役に立つかわからないですけれど」とポケットティッシュをくれた。
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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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