ふるさとの手帖

市町村一周の旅

加美郡と玉造郡の暮らしの中を進もう。【旧市町村一周の旅(宮城県・90日目)】

加美郡と玉造郡の暮らしの中を進もう。【旧市町村一周の旅(宮城県・90日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【49/175】

49/175
28.00%
訪れた旧市町村の数【292/2,091】
292/2091
13.96%
総計【341/2,266】
341/2266
15.05%

スーパーカブの総走行距離
7280km

旧中新田町→旧小野田町→旧宮崎町→旧鳴子町→旧岩出山町、の5つ。

2023年7月5日(水)加美郡と玉造郡の暮らしの中を進もう。(日本一周90日目)

朝6時半に出発した。外は曇りだ。最近は天気予報が合っている気があまりしなくて、目測で判断した方が動きやすいな、と思う。だから、空を見て「今日はフツーかなあ」という印象だった。晴れるかもしれないし、雨が降るかもしれない。実際、どっちもあった。

旧中新田町(加美町)

加美町は2003年に中新田町、小野田町、宮崎町が合併したまちだ。いずれの町も加美郡だったので、合併後の名前も「加美」を引き継いでいる。最初に訪れた旧中新田(なかにいだ)町には加美町役場があって、近くの商店街である花楽小路(からくこうじ)も散策してみた。

工事と宮城県のキャラクター、むすび丸。
加美町役場。

近くの小学校の送迎で、車の出入りも多かった。

屋根に黄金の何かがいる。
行ってらっしゃい。

茶褐色の屋根。
花楽小路。電線が地中化されていて、空が広い。

ちょっくらよってがいん♪
あゆの里中央公園。

中新田町は国道が十字路に近い形で通っている。朝は交通量も多くて、みんなどこまで行くのかなあと思った。

旧小野田町(加美町)

次にやって来たのは旧小野田町。前回の旅でも訪れた「やくらいガーデン」は、旧小野田町に位置している。ただ、オープンが10時からでまだ時間も早いし、天気も曇りというわけで、ガーデン以外を訪れた。「やくらい」というのは標高553mの薬莱(やくらい)山のことを指している。加美富士と呼ばれる地域のシンボルで、晴れた姿はとてもうつくしい(今日は曇りだった)。

旧小野田町へ。
北島兄弟コンサートだ。

松本家住宅。仙台藩に属した奥山家の住宅として用いられた。

車が一台停まっていたけれど、中に人がいるのか、いないのか、わからなかった。

とても渋い。

ごおお。
薬莱山。今日は隠れ気味だ。

晴れの日に、サイクリングなんてできたら、すっごく気持ち良いだろうな。

旧宮崎町(加美町)

次にやって来たのは、旧宮崎町。宮崎県以外にも、宮崎の地名があるって知らなかった。ここではかつて仙台藩の御用窯として、「切込焼」という陶磁器が栄えたそうだ。ただ、明治以降は生産が途絶えて、まだ歴史的な謎も多いという。それもまた、面白きかな。

旧宮崎町へ。

どどんこ館。地元の獅子舞のことを、「どどんこぱっく」と呼ばれていて、そこから取ったものらしい。
どどどど。

変わらず毎日見かけるので、この看板を作っている方たちはすごいなと思う。

陸上競技場だ。
ゲートボールが行われていた。

過去見てきたゲートボールの中でも、屈指の好環境ではないだろうか。

旧鳴子町(大崎市)

さて、ここから約1時間ほど走って、大崎市の旧鳴子町に移動した。実は鳴子には、今年の2月に初めて訪れた。

2月の鳴子温泉。
鳴子こけしが有名。

ただ、このときは電車の旅だったので、カブに乗って訪れるのは初めてだ。道中も電車とは違う景色が見えた。急な山道を進むわけでもなかったので、思いのほか電車よりも近く感じられた。

しんとろの湯へ。

鳴子温泉の中でも「中山平温泉」というさらに県境側の温泉を訪れた。あと数分走ったら、山形県に入る立地にある。「しんとろの湯」は自分でも気になっていたし、先輩からもお薦めしてもらった温泉だった。

湯気がもくもく。

……ガラガラガラ。浴場の扉を開けると、湯船とシャワーにおじいちゃんが4人ほどいた。地元のおじいちゃんかどうかまではわからない。それでもしっかり、入ってきた扉を最後まで閉める。うん、別の温泉で地元のおじいちゃんに叱られたことがあるからね。「扉の隙間をあけるな!」って。静かに閉めて、癒しを荒らしませんよ、と小さく宣言するのだ。

ここは源泉掛け流しの温泉だ。でも、源泉は93度ある。えっ、どういうこと? と一瞬思ったけれど、湯船の壁に説明が書いてあった。

「源泉から木の樋で流すことで、温度を適温に下げて浴室に注いでいます」

なるほど、ちょうど窓の外を見ると、長細い木の桶がずらりと順に並んでいて、そこを源泉がリレーしながら流れている。そうやって温度を調整して、加水せずに源泉のまま流しているんだ。湯船はぼくにとってもすごく適温であった。

そして、ぼくはたとえば温泉で肌がすべすべになるって、今までちょっとした幻想だと思っていた。美肌の湯にも入ったことがあるけれど、肌がすべすべになるということが、事実なのか実感なのか思い込みなのかよくわからなかったし。

しかし、湯船から上がって、鏡を見たときに、肌がすべすべのツヤツヤでたまげた。幻想じゃないんだって感じたの、人生で初めてかも。それぐらい、鏡で自分の肌を見て思った。いやあ、なんだか、うさんくさくなってしまう。でも、これはほかのWeb記事や、Googleのレビューを一切見ずに、自分だけの感想で書いている。

これからすぐに服を着て、防具をつけて、また汗をかくかもしれないと思うと、とても切なくなった。ああ、恋しくなるいい湯だった。

あちこちでこけしと出会う。

 

鳴子温泉も歩いた。

最後に大谷川を挟んで、鳴子温泉。

まだお肌が、もちっとしている。ああ、今日だけの肌の輝き。

旧岩出山町(大崎市)

そして、最後は旧岩出山町へ。伊達政宗といえば仙台藩、仙台市のイメージがとても強いけれど、実は岩出山は、若かりし政宗が過ごした土地だった。

あ・ら・伊達な道の駅。

まず、『あ・ら・伊達な道の駅』を訪れた。じゃらんの全国道の駅ランキングで、2020年と2021年に全国1位、2022年に全国3位という、とっても人気な道の駅だ。

平日でも、賑わっていた。
至福の入口。

至福の入口の先は、食事処だけではなくて、地元の農産物売り場、お土産売り場、それも広々とした気持ちのいいスペースで、いろいろと販売されていた。ロイズのチョコも売っててビックリした。

でも、豪華だとか、豊富だとか、充実だとか、そういう場所は、案外どこでもないことはない。だから、なんだろう……。雰囲気が明るくて、過ごしやすかった。お店の方たちがつくり出しているものなんだと思う。すごい、ってことも良いけれど、明るくてたのしい! ってことがうれしくなる。

滑り台が兜をかぶっている。
岩出山の集落へ。
モナリザがヘルメットを被っていた。
岩出山のまちなみ。真ん中を流れる「内川」は、政宗によってつくられた人工の水路だ。

内川は農業用水や生活用水、防火用水の確保のために開削された、人工水路だ。それって、すごいことだよなあ。江戸時代がはじまる前だもの。神田川が同じく人工河川であることを思い浮かべた。

内川の豊かな流れ。

最後に、感覚ミュージアムへ訪れた。

気になって訪れようと思ったのだけれど、具体的なことはわからないまま訪れた。それでいいじゃないか、感覚なのだから。

館内に入る前から、ゲームのメニュー画面みたいな、電子音のような不気味なサウンドが流れていた。

入館料を払って進む。撮影が可能なのは、フロント辺りまでだ。そこには楽器のようなものが置かれていた。いや、それはいろんな形の楽器だった。自由に叩いたり、弾いてもいいとのことで、それぞれ音を鳴らしてみた。わあ、すごく楽しいぞこれ。そうか、感覚ミュージアムというのは、音のミュージアムなんだ! と思って、そこから撮影禁止のエリアに進んだ。

打楽器のように叩くことができた。

「こちらからどうぞ」と案内されて、いざ入場だ。すると、なんと、いきなり暗闇の世界が待っていた。え、え、どういうこと? どうやら手すりを持って進むらしい。そして、何か穴があったら触ってみて、と。お化け屋敷みたいだ。ビビりながら進む。やがておそらく穴を見つけた。触る? うん、触るしかない。うわあっ。人の手だ。動かない、模型だ、良かった。でも、やっぱりお化け屋敷みたいだ。そのまま進む。ジャラーン。わわっ、ピアノの鍵盤だ。今度は光った! えっ、どういうこと!? 

視覚のない世界で、いつの間にか触覚に神経を研ぎ澄ませていた。
 
今度は鏡張りの空間が現れて、しかも眩しいので、ここはどこ? 私は誰? みたいになった。さらに砂浜の影、水面の影、いろんなものが揺れている世界も待っていた。それぞれ、次のステージに着くと、係の方がいつの間にか立っていて、でも、具体的な説明はせずに、「次はこちらです」って、なんだか試されている心地だ。何が起きるかわからない。そして、触覚や視覚だけではなく、嗅覚の世界もあった。最後には瞑想できる広々したドーム型の空間で、仰向けになった。光がゆったり揺れ動く。今自分は何をしているのだろうと、瞑想というよりも「?」マークを鎮めるのに大変だった。
 
そう、ここは、感覚ミュージアム。ぼくもどっぷり、感覚が解放された自分へといざなわれたのであった。面白かったし、一人で来てしまって、なんてもったいないのだろうとも思った。友人や、家族で訪れてたら、すっごく面白いなあと思う。細かいことは調べずに、感覚で訪れて。
最後に、入口のこのマシーン、よく見たら落書きマシーンと書かれてあって、説明通り、マシーンの中に上がって、仰向けの四つん這いになって、手と足でハンドルを回してこの機械を動かした。想像できますか? このとき、係の方にも見られていたけれど、すんごくシュールだったと思う。写真撮ってもらえば良かったけれど、お蔵入りになってしまうに違いない、すごい体勢すぎて。
 
感覚ミュージアム、おすすめです。

というわけで、今日の散策はここまで。肌がすべすべになったり、感覚を解放したり、新しい自分に出会った一日でした。
 
本日のひとこと
今日巡った地域で見かけたドラッグストアは、薬王堂の一強でした。
(終わり。次回へ続きます)

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COMMENTS & TRACKBACKS

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  1. 旅が進むにつれて、文章がほんとうに楽しそうになってきて読むのも楽しい。

  2. 田村さん、ありがとうございます。うれしいです^^

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