ふるさとの手帖

市町村一周の旅

横浜の中心街へ。野毛のジャズ喫茶で、心が動き出した。【旧市町村一周の旅(神奈川県・33日目)】

横浜の中心街へ。野毛のジャズ喫茶で、心が動き出した。【旧市町村一周の旅(神奈川県・33日目)】
港南区→南区→中区→保土ヶ谷区→西区、の5つ。
2023.05.10

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【34/175】

34/175
19.43%
訪れた旧市町村の数【140/2,091】
140/2091
6.70%
総計【174/2,266】
174/2266
7.68%

2023年5月10日(水)(日本一周33日目)

昨日、金沢区と磯子区で、横浜市の海にようやく出会えたけれど、そのときは嬉しさと同時に、横浜市の旅が後半戦に差し掛かっているという寂寥さもあった。元々、横浜市には18の区があるので、1日に6区ずつ巡り、3日かけて巡る予定だった。だが、横浜市に入った初日、思った以上に時間がかかり、4つの区を巡った。それからは5区(昨日)、5区(今日)と来ているので、1日増やした計算だ。1日増えることは、大したことがないようで、大きな変化になる。常に、日数を増やしていくことは、時間をかけることであり、お金がかかることであり、怖さであるから。

しかし、今日。同時に思った。時間に余白を持たせたことで、寄り道をすることができた。そこで感じた非日常さに、果たしてどのような旅をしたいのかを、問われた気がしたのだった。

横浜市港南区

横浜市港南区
人口約21万5千人

最初に巡ったのは港南区。昨日から港南区で滞在していて、夕食はまちの中華料理屋さんに行った。

前日の夕方。窓の反射。
神奈川県のご当地麺「サンマーメン」。秋刀魚は入っていない。細切りにされたもやしなどの野菜あんかけがかかっている。

サンマーメンも、奥の半チャーハンもコクがあってとても美味だった。

中華料理平安さん。
マジックアワー。
翌朝、スカッと晴れた。
上大岡の高層ビル。
港南区役所も訪れた。

上大岡駅付近には高層ビルがあり、隣の港南区役所付近は、より落ち着いた住宅街であった。

タヌキのいる東樹院さんへ。
昔、東樹院の和尚さんが助けた美しい女性が、たぬきだったという逸話があるそうだ。
久良岐公園へ。磯子区も半分含まれる。

久良岐公園で、辺りを見渡しても公園の自然の中に包まれていたとき、今、自分が横浜市にいるということが、不思議に感じられた。

横浜市南区

横浜市南区
人口約19万4千人

次に訪れたのは南区。弘明寺(ぐみょうじ)を中心とした駅周辺や、横浜橋通商店街を訪れた。

京急弘明寺駅。

弘明寺かんのん通り。

商店街の下には大岡川が通る。

地下鉄もある。

弘明寺も参拝しよう。
立派なお寺だ。

弘明寺公園から。

横浜橋通商店街へ向かう。
よこはまばし。

ちょっと、広島市っぽい。

横浜橋通商店街で聞こえる会話の声は、中国語が多かった。でも、たった1日の、一部分しかいないわけだから、それがすべての情報にはならないし、そういう環境や文化も、横浜という土地が関わっているのだろうかと、想像したのだった。

横浜市中区

横浜市中区
人口約14万8千人

横浜市の中区は、まさに横浜らしい横浜がある場所だ。たとえば山下公園や、中華街、横浜スタジアム‥‥。どうしようかと考えて、自分が行きたい場所にしようと思ったわけだが、今回は原付なので、電車エリアだけではないところに行ってみようと、「根岸森林公園」や「三溪園」を訪れた。同じ中区でも、ゆったりした時間が流れていた。

道中の山元町。昔ながらの建物も残っていた。

根岸森林公園へ。

奥に見えるのが、「旧根岸競馬場一等馬見所」という日本で初めてつくられた、競馬場の一等馬見所だ。西洋式で、建物だけが現存している。その姿を見て、「行きたいが、ここからは遠い…」と思った。歩いて帰ってくると、まあまあな距離がある。迷ってまずは駐輪場の原付に乗り直し、もっと近くに駐輪スペースがないかと探したが、スペースはなかった。こうなると、また戻るのが面倒である。しかし、面倒なことをサボってはいけないのだ。もう一度同じ駐輪場に戻って、あらためて一等馬見所まで歩いた。

横浜には、自然豊かな公園がたくさんある。
土に水が。

広い根岸森林公園。
そして、旧根岸競馬場一等馬見所に着いた。
公園に残る、不思議な空間だった。

次は三溪園へ向かう。新しいマンションと斜面。

三溪園へ。

受付で並んだぼくの前の人は、「JTBです〜」と、バスツアーで来ていた。全体的に年齢層はご高齢の方か、子どもたちが多かった。

素晴らしい庭園。
庭師の方には頭が下がる。

入り口で見つけた休憩処で、お昼ご飯を。

ざるうどん、大盛り。

ざるうどんの中にも氷を入れてくださっていて、とても美味しかった。

今度は中心街へ。
横浜スタジアムだ。
今年のベイスターズは強い。

まだ、横浜スタジアムの中には入ったことがない。東京ドームも入ったことがないし。そろそろ12球団の球場へ入ってみたい歳ごろだ。

横浜市保土ヶ谷区

横浜市保土ヶ谷区
人口約20万5千人

保土ヶ谷という名前も、普段からよく聞く。だから、どのような場所なのだろうと気になっていたけれど、中区や西区には近く、住宅地でありながら、自然もあり、商店街や郊外のショッピング街も整っているように見えて、あるものはすべてあるのではないかと思われた。

保土ヶ谷公園へ。こんにちは。
野球場やサッカー場、ラグビー場にテニスコートなど、スポーツ施設の場でもあり、楽器を持った人たちも歩いていた。
近くには住宅街。
次は、洪福寺松原商店街へ。
「ハマのアメ横」と呼ばれている。確かに安い。

ブランド靴。

今日は商店街もたくさん出会った。横浜市には郊外の静かな住宅地や、大きなショッピングモールに限らない、商店街もたくさんあって、すごいなあとつくづく思う。

横浜市西区

横浜市西区
人口約9万8千人

今回は巡っていないけれど、横浜駅は西区にある。そして、面積が小さいことや、横浜の中心地であることも関係すると思うけれど、西区は横浜市の中では一番人口が少ない。野毛山動物園と伊勢山皇大神宮、加えて、横浜ランドマークタワーを訪れた。

野毛山動物園。なんと無料だ。

今回の旅で行かなかった横浜市の動物園もあるし、「横浜市はほんとうに動物園が多いなあ」と思って調べてみたら、動物園の数が日本で一番多い自治体だった。

野生のリスだ!

どうやら、野生のリスがこの辺りにはいるらしい。

ライオンの眼。
ホンドタヌキ。
キリンだ。

ダチョウだ。

ぼくは、個人的に、砂漠さん(@eli_elilema)が飼っていらっしゃる、エミューちゃんと接する機会が多かったのだけれど、ダチョウはエミューちゃんよりも大きいと思った。あと、『ダチョウはアホだが役に立つ』という本も、とっても面白い。

伊勢山皇大神宮へ。

横浜総鎮守の伊勢山皇大神宮(いせやまこうたいじんぐう)も訪れた。「関東のお伊勢さま」として親しまれ、明治初年に国費で創建された神社だ。駐車場にはカッコいい高級車も何台か停まっていて、さすが横浜の総鎮守。

とても立派な神社だった。

横浜ランドマークタワーも行こう。

日本丸。
ランドマークタワーの展望台は初めて。

ランドマークタワーの展望台へ。

展望台の高さは地上273m。
横浜の歴史に関する動画。やっぱり、横浜は小さな村から始まったということを、覚えておこう。
真ん中には横浜スタジアム。
今や、大都市だ。

桜木町駅も気になったので訪れた。

野毛と横浜中華街。

これで、今日訪れる5つの区はすべて巡ることができた。そして、友だちが以前、桜木町駅の近くにある「野毛は良いよ」と言っていたことをふと思い出し、知っているお店があるか聞いてみた。彼は『ダウンビート』というJAZZ喫茶がいいよ、と教えてくれて、そこへ訪れたのだが、これまでの旅では、毎日が目一杯で、午後に寄り道をする時間は皆目なかった。正直、夜も失神するように寝ていた。でも、旅を始めて1ヶ月経って、今、ほんとうにそれでいいのか、と気持ちが揺れている。そんなときに、1日に巡るペースを少し減らして、時間ができ、JAZZ喫茶へ行くことができた。そこには別世界が待っていて、心が動き出した気がした。

野毛へ。
ダウンビートさんで、アイリッシュコーヒー。旅でカクテルは今まで飲んでもいなかったから、沁みた。

JAZZに精通しているわけではなく、曲名やお店に飾られている人物も、わからなかった。でも、今までの普段通りに旅をしていたら、出会えなかった世界に、ようやく出会った気がした。ほかにいたお客さんは単身の男性が多く、目を閉じていたり、お酒をゆっくりグラスに注いだり、各々のスタイルで空間を味わっていた。そこに、今、自分もいる。そのことに、ビックリした。曲に合わせて自分も頭を揺らしていた。解放された何かが確かにあった。何かとは、「旅はこうした出会いではないのか」という、自問自答への解だ。

知らない世界に、少しだけ繋がることができた気がした。そして、マスターに食事のおすすめを尋ねてみたら、野毛ではなくて、横浜中華街のローカルなお店を教えてくださって、そこへ行くことにした。

ビルの4階に上がる。
美楽一杯さん。

紹興酒はぼくには厳しいので、梅酒のソーダ割りで乾杯した。正確には中華屋さんだけれど、旅先の居酒屋で一人でお酒を飲むのは、初めてだった。

春巻き、美味しくてビックリした。

カリッとジュワッの先にも、世界がある。具の旨みが、圧倒的だ。

豆腐の唐揚げ。熱々で、シンプルな味付けなのに、炒められた野菜と合わせて、とっても美味しい。
海鮮と春雨の土鍋煮込み。きくらげ、椎茸、ブロッコリーに、エビやイカの海鮮がたっぷり。

ぜんぶ美味しかったし、ほかの常連さんとママは仲良しだし、ぼくにも優しく接してくださった。先のマスターに教えてもらわなければ、来られなかった。やっぱり、旅の実感が、湧き始めたような気がした。


ぼくがどのようなペースで旅をするかは、見てくださっている方々すれば、あまり気にならないかもしれない。でも、たとえば、1日に巡るペースを、7つから5つに変えたら、最低でもゴールは4ヶ月伸びる。すると、4ヶ月分のお金も発生する。それがどれぐらいの金額になるか、自分は知っている。だから、失うものが多いように感じられて、怖いのだ。しかし、今日の寄り道は、ぼくにとって、必要な時間だった。旅であった。今までの1ヶ月間のように、ハードワークで行程を進めることは、自分に保険をかけることでもある。今、真っ当な社会人らしい生き方をしていないことを、隠したい気持ちが多少あるからだと、ほんとうはわかっている。海外ではなく日本の土地が舞台だから、余計に周囲の様子が見えて、普通ではない過ごし方をしている自分が、孤独から逃げようとしているからだと、わかっている。それでも、中途半端にカッコつけようとしてもダメだ。ぼくはぼくなりに、この旅に、後始末をつけなければならない。そのためには、目標の達成を目指すことと同時に、今を怖がってはいけない。この旅の先にあることを、信じることだ。

(次回へ続きます)


<旅を応援してくださる方々へ&関連ページ>

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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。

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二見書房編集部noteにて、「旧市町村日誌」も更新中です。

旅についての心境を、日記形式で書いています。ブログにまとめきれなかったことも残せたらと思います。

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