ふるさとの手帖

市町村一周の旅

春風。そして、静かな暮らし。【旧市町村一周の旅(群馬県)】

春風。そして、静かな暮らし。【旧市町村一周の旅(群馬県)】
旧東村→
(旧東村→)旧吾妻町→旧六合村→中之条町→旧新治村→旧水上町→旧月夜野町、の計7つ。
2023.04.21

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【10/175】

10/175
5.71%
訪れた旧市町村の数【76/2,091】
76/2091
3.63%
総計【86/2,266】
79/2266
3.80%


2023年4月21日(金)

朝、原付のシートが結露していた。思いのほか冷え込んでいる。5時半の赤城山は春霞に包まれ、山の輪郭だけが淡く姿を見せていた。前橋・渋川バイパスに乗ると、妙義山方面や前橋市の景色がよく見えて、さながらハイウェイドライブである。利根川を越えたあたりで、杖片手にリュクサックを背負い、背中に「日本一周」の看板を掛けて歩く人がいた。普段生活していると、旅人にはあまり出会わない。それがいざ、自分が旅の真似事をしていると、旅人にあたりまえに出会うようになる。新しい出会いがあると、人はよくそれを偶然と呼ぶが、自分が過ごしている環境によって、その偶然出会う人というのは、まるっきり変わる。

朝の赤城山(渋川市)。

旧東村(東吾妻町)

旧東村
2006.03.27吾妻町と合併。

今日は合わせて7つのまちに訪れた。移動距離が長いので、どんどん巡っていく。最初に訪れたのは東吾妻町の旧東村。「東村」と「吾妻町」の名前が現在の町名に含まれている。箱島湧水へ訪れた。

旧東村にて。奥の岩壁は吾妻川を渡り、渋川市になる。

箱島湧水へ。
滝にやってきたかのような、大きな音だ。

箱島湧水は、日量約3万トンという湧出量を誇り、榛名湖の水が湧出するものと伝えられている。水環境の保全状況が良く、日本名水百選にも認定されている。

箱島不動尊。湧水のすぐ脇にある。
箱島湧水。

ぼくも手ですくって飲んだ。手のひらが水中の中でも透き通って見えた。美味しいに決まっていると思って、美味しかった。けれど、どうして美味しいのだろうと考えてみると、この場所に立って、目の前で湧出している光景を見て、音を聞いて、ありがたいと感じられるからだと思えた。

小さな祠も。

湧水は、岩と岩の間から、こんこんと溢れ出ている。それまで川はなく、岩の隙間からほんとうに溢れ出ているという感じだ。見事な湧水だった。

東支所も訪れた。

旧吾妻町(東吾妻町)

旧吾妻村
2006.03.27東村と合併。
次は旧吾妻町へ。今、前橋市でお世話になっているKさんの故郷でもある。今回は岩櫃(いわびつ)城跡を訪れた。
吾妻町へ。
奥には中之条町のまちなみも見える。
立派な木だったのでUターンして撮った。
岩櫃城跡のふもとへ。
岩櫃城本丸を目指す。ひとりだと怖い。

岩櫃城は山の地形を活かした、巨大な山城である。真田昌幸は、岩櫃城にて主君である武田勝頼を徳川・織田軍の軍勢から守り抜くと進言したが、実際は叶わなかった。もしそうなっていれば、歴史は大きく変わっていたと。もし、がないからこそ、今の世の中はあるのだが。ただ、分岐点がここにあったことは、面白い。そして、城跡の起伏激しい小道を歩くと、城という名のラビリンスであった。森であり、ひとりで歩くにはやや恐怖感がある。怖いと感じるとき、前回の旅で怖かった体験がいくつか蘇った。別の山城で迷いかけたときや、薄暮の寺に取り残されそうになったとき…。

だいぶ高いところにいる。
本丸に着いた。
春の芽吹き。
岩櫃山の外観。

旧六合村(中之条町)

旧六合村
2010.03.28中之条町へ編入。
次に訪れたのは、旧六合村。六合(くに)と読む。そして、重要建造物保存地区である、赤岩地区を訪れた。素晴らしい景観の集落であった。
道中の八ッ場ダム。
普通の景色がすごい(長野原町)。
旧六合村へ。桜が見頃だ。

赤岩地区の標高は700m前後。気候も異なり、桜は見頃を迎えていた。

赤岩集落を歩く。

かつて赤岩地区では養蚕農家が多かった。その建物も残されている。

景観ひとつひとつが美しい。

住居の前に咲くチューリップ、水仙、芝桜。庭木は枝も葉も隅々まで整えられ、集落全体がひとつの美しい体裁をなしている。これほど美しい集落が日本にはあるのかと、驚きと感動が交錯した。

戦時中、鉄鉱石を搬出するために開業した貨物専用線である太子線の、旧太子駅も訪れた。
まだまだ知らない景色が、あるのだなあ。

中之条町

旧六合村からしばらく道を進み、次に訪れたのは中之条町。四万の甌穴群や奥四万湖、四万温泉街へ訪れた。

四万の甌穴群へ。

群馬県の天然記念物、四万の甌穴群。

甌穴とは川の流れが渦巻き状になり、侵食されてできた丸い穴のこと。水量が多く甌穴まではあまり見えなかったが、侵食された地形の自然美があった。

時間をかけて、侵食されていく。

四万温泉街を上から。
先に、奥四万湖へ。
周囲の景色も含めて、壮大だった。
深い青の輝きと、静けさ。

四万温泉街へ。

四万温泉は何度も名前を聞いていたけれど、初めて来た。

有名な積善館。「いつも何度でも」が脳内を流れながら。

積善館は日帰り入浴も可能なので、是非入浴するつもりでいた。ただ、入浴料が1500円で、千円札と小銭しか使えないという注意書きがあり、ぼくは朝千円札を使ってしまって、五千円札と一万円札しか持っていなかった。「お前にはまだ早い」と、積善館さんではなく、お天道さんに言われた気がした、というより、そう思い込むことにしたので、入浴しないことにした。いつか来たるべきときに、ここに来たい。

旧新治村(みなかみ町)

旧新治村
2005.10.01月夜野町、水上町と合併。

あとはみなかみ町の旧町村を巡っていく。最初に訪れたのは旧新治(にいはる)村だ。

一旦、四万温泉から中之条町の中心部に戻って。
霊山たけやま(中之条町)。
峠を越えて、旧新治村へ。

最初にあらわれた集落も、なだらかな地形に家々がのびのびと点在していて、また感動してしまった。

素晴らしいなあ。
須川平のたくみの里へ。

たくみの里は美しい原風景が今も広がっている。

道の駅にて。

奥には宿場町。

春の喜びとともに。ここにいると、歩く速さも、時間の流れも、ゆっくりになる。

旧水上町(みなかみ町)

旧水上村
2005.10.01月夜野町、新治村と合併。

次は旧水上(みなかみ)町。大自然に囲まれ、温泉街もある土地だ。

景色に圧倒される。
道の駅 みなかみ水紀行館。

群馬県北部だけれど、利根川だ。
清流の美しさ。
道の駅にて。
足湯もある。

トラックの荷台がすごい。

橋の上から。スケールが大きい。
水上駅前。

水上駅の電車を見て、高崎から電車で来れることを知った。標高が高く山肌が近いからか、冷たい風がびゅうびゅうと吹きおろしてくるのだった。

旧月夜野町(みなかみ町)

旧月夜野町
2005.10.01月水上町、新治村と合併。

最後に訪れたのは旧月夜野(つきよの)町。もう、ほんとうに美しい名前の地名だと思う。旧市町村一周の旅を始めて、美しい地名に出会う機会が増えた。

月夜野びーどろパークへ。

上越クリスタル硝子という会社さんが運営している、月夜野びーどろパーク。吹きガラスの体験などもできる。今回はちょこっとお伺いした。

ガラスが綺麗だ。

館内のガラスの商品はあまりに見事なので、ゆくゆく揃えたくなってしまった。

施設内のいろんなところにもガラス細工が。
よく見るとバス停も。

工芸品はいつ見てもかっこいい。それを生み出す職人さんも然りだ。

月夜野のまちへ。
名前がかっこいい。
最後は名胡桃(なぐるみ)城址を訪れた。

「歴史を変えた」というコピーの、名胡桃城跡。関わりのある城は、近くの「沼田城」。沼田城を巡り、支城だった名胡桃城も、真田氏と北条氏が争ったのだが、北条氏が豊臣秀吉の裁定に背き、名胡桃城を武力で奪取したことで、豊臣秀吉の怒りを買った。その後、北条氏は小田原征伐を受けてしまう。結果として、名胡桃城の奪取により、北条氏は滅亡したわけだ。

名胡桃城址。

歴史とは動くもの。
まちなみを眺めて、今日はここまで。

訪問者であるから、その土地で暮らすことの苦労を知らないままに、感想を持っている。しかし、今日出会った集落の美しさは、心に深く残るものばかりだった。自分が違う場所で過ごしていたとしても、今日出会ったような景色が、それぞれの土地には流れているということを、心の片隅に、しまっておきたい。

あと、先日は野生の雉とすれ違ったが、今日は野生の猿とすれ違った。

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