ふるさとの手帖

市町村一周の旅

出会いが土地を教えてくれる。安芸高田市へ。【旧市町村一周の旅(広島県|6月1日―422日目)】

出会いが土地を教えてくれる。安芸高田市へ。【旧市町村一周の旅(広島県|6月1日―422日目)】

スーパーカブを停めていた広島駅から、北東の方角へ38km。安芸高田市を目指しました。今日は自分で巡る旅ではなく、知り合いの方にまちを案内していただけることになっていたのです。

中村健太郎さんと出会ったのは、広島での大学生の頃でした。学生と社会人が自然に混ざり合うカフェで知り合ったのが初めまして。そして、どんな学生にも優しく接してくださる中村さんは誰からも慕われる方でした。当時は東広島市の福富という地域に住んでいた中村さんですが、やがて安芸高田市に移住され、現在はお勤めの傍ら、Yoyon堂(@yoyondow)というお店を不定期で営んでいらっしゃいます。そんな中村さんと、大学生のとき以来5、6年ぶりに再会できたのでした。

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【87/171】

87/171
50.88%
訪れた旧市町村の数【1089/2,094】
1089/2094
52.01%
総計【1176/2,264】
1176/2264
51.94%

スーパーカブの総走行距離
29010km

旧吉田町→旧八千代町→旧高宮町→旧美土里町、の4つ。

今日の旅先のこと
  • 安芸高田市の旧向原町へ。
    安芸高田市の旧向原町へ。
  • Yoyon堂さん。
    Yoyon堂さん。
  • 手描きかな。
    手描きかな。
  • 『どこで暮らしても』と『ふるさとの手帖』ありがとうございます。
    『どこで暮らしても』と『ふるさとの手帖』ありがとうございます。
  • 天井もすてき。
    天井もすてき。
  • 本棚もすてき。
    本棚もすてき。
  • 気になる本がいっぱいあった。
    気になる本がいっぱいあった。
  • そして、店主の中村健太郎さん。
    そして、店主の中村健太郎さん。
Yoyon堂さんにて
中村さんが運営するYoyon堂は、安芸高田市の向原町というまちに位置しています。今日はありがたいことに、中村さんのご自宅(Yoyon堂の近くにあり、ガレージハウスと呼ばれている)に宿泊させてもらう予定なので、荷物を置かせてもらい、ガレージハウスとYoyon堂を見学させてもらいました。ガレージハウスはイベントもできるスペースがあって、秘密基地のような雰囲気いっぱいです。Yoyon堂は古本やリトルプレスが並んでいるのですが、拙著『どこで暮らしても』『ふるさとの手帖』もありがたいことに置いてくださっています。ほかにも気になる本がたくさんあって、たくさん質問しましたし、すごくたのしかったです。

  • 旧吉田町へ。
    旧吉田町へ。
  • 市街地へやってきた。
    市街地へやってきた。
  • 中村さんと巡っていく。
    中村さんと巡っていく。
  • 広島のお祭り「胡子講」は旧吉田町が起源だとも教わりました。
    広島のお祭り「胡子講」は旧吉田町が起源だとも教わりました。
  • 地元の時計屋さんへ。
    地元の時計屋さんへ。
  • 音を鳴らしてくれた。
    音を鳴らしてくれた。
  • ご主人がオーダーメイドでつくる腕時計。かっこいいなあ。
    ご主人がオーダーメイドでつくる腕時計。かっこいいなあ。
  • 隣の喫茶店へ。
    隣の喫茶店へ。
  • パワフルなご主人でした。
    パワフルなご主人でした。
  • 左の顔用に「かつお」と書いてくれて、写真を撮ってもらった。つまり、かつおっ子ちゃん。
    左の顔用に「かつお」と書いてくれて、写真を撮ってもらった。つまり、かつおっ子ちゃん。
  • おしゃれな店内で。
    おしゃれな店内で。
  • 多治比川が流れます。
    多治比川が流れます。
  • 昔ながらの雰囲気だなあ。
    昔ながらの雰囲気だなあ。
  • ソフトクリームも食べました。
    ソフトクリームも食べました。
  • 安芸高田市役所。
    安芸高田市役所。
  • 毛利元就の居城、郡山城跡。
    毛利元就の居城、郡山城跡。
  • そして、農家さんのもとへ。
    そして、農家さんのもとへ。
  • 畑をたくさん案内してくださりました。
    畑をたくさん案内してくださりました。
  • やっほー!
    やっほー!
  • 手捌きがかっこよかったなあ。
    手捌きがかっこよかったなあ。
  • ほんとうに明るくて元気いっぱいのお母さんで。ありがとうございました!
    ほんとうに明るくて元気いっぱいのお母さんで。ありがとうございました!
吉田町よしだちょう安芸高田市あきたかたし(1/4)
さて、中村さんカーの助手席に座らせてもらい、市内を巡って行きます。旧市町村を巡りたい、という趣旨だけ事前にお伝えしていて、あとは中村さんがオリジナルプランを組んでくださったので、どういう出会いがあるのかドキドキです。
最初に連れて行ってくださったのは、吉田町でした。安芸高田市役所も位置していて、市の中心地でもあります。商店街では中村さんがまちのことをいろいろ解説してくださったのですが、ポイントは吉田町が毛利元就もうりもとなりの本拠地だったこと。
そして、商店街で中村さんの知っているお店を巡っていきます。商店でワンちゃんにひたすら吠えられたり、時計屋さんで時計のカラクリを聞いたり、喫茶店でオリジナルの顔看板に顔をはめて写真を撮ってもらったり。
そのあと移動中に、「あっ、農家さんのところにも立ち寄りますよ」と。そのお会いした農家の女性がとっても明るくて朗らかで。野菜もたくさん分けていただきました。中村さんが、「安芸高田市って、ご年配の方々もほんとに元気で若いんです。いつもぼくが元気をもらってますから」と、仰る言葉通りで、ぼくもすこぶるパワーをもらったのでした。

  • 棚田のある集落へ。
    棚田のある集落へ。
  • 美しいなあ。
    美しいなあ。
  • 元気そうな自転車だ!
    元気そうな自転車だ!
  • 道が生きている。
    道が生きている。
  • レアンカさんへ。
    レアンカさんへ。
  • 娘さんと子犬のマロンちゃん。
    娘さんと子犬のマロンちゃん。
  • 元気いっぱい。
    元気いっぱい。
  • つかまえる。
    つかまえる。
  • 裏手の「仙人の里公園」がすばらしかったです。心を感じるばかりだった。
    裏手の「仙人の里公園」がすばらしかったです。心を感じるばかりだった。
  • 緑とシーソーと。
    緑とシーソーと。
  • 大切な風景だ。
    大切な風景だ。
  • そして、ヴィーガンスコーンをいただきました。
    そして、ヴィーガンスコーンをいただきました。
  • クッキーも美味しかったなあ。
    クッキーも美味しかったなあ。
  • 日常の時間。
    日常の時間。
  • 創作は集中して。
    創作は集中して。
  • 休憩は思いっきり。
    休憩は思いっきり。
  • 棚田を最後に歩いて。
    棚田を最後に歩いて。
  • 八千代市街地へ戻ってきた。
    八千代市街地へ戻ってきた。
  • 八千代支所を通り抜けていく。
    八千代支所を通り抜けていく。
八千代町やちよちょう安芸高田市(2/4)
次に連れてきてもらったのは、八千代町です。「いらっしゃるか分からないけれど、カフェに行ってみましょう」といくつかの集落を抜け、現れたのは小さな棚田の集落。その急坂をぐんぐん登り、集落のてっぺんに。まずはそこから見える棚田の見晴らしが抜群で、口がぽかんとひらいたまま。そして、ちょうどカフェが空いていました。「Reanka 菓子工房」さんは、ヴィーガンスイーツと手焙煎コーヒーのお店です。中に入ってみると、子どもたちがのんびりお絵描きをしています。中村さんは間髪入れずに「やっほー!」おっと、すでに知り合いのようです。オーナーさんのお子さんたちで、とってもかわいい娘さんお二人でした。さらには可愛らしい子犬もいて、なんとのびやかな光景でしょう。今度は子どもたちが庭に飛び出て、「アカハライモリいた!つかまえる!」と虫取り網を持ってやる気満々。
その後、中村さんと裏手にある「仙人の里公園」を散策し、カフェに戻ってからは美味しいクッキーとスコーン、コーヒーをいただいて。この土地に流れる時間とともに、暮らしがある。目に見えない豊かさがたくさんあるように感じられたのでした。

  • 魔女こと、土井さんのご自宅へ。あたたかく迎えてくださった。
    魔女こと、土井さんのご自宅へ。あたたかく迎えてくださった。
  • フェルトがちょうど届いたそう。
    フェルトがちょうど届いたそう。
  • フェルトだねー!
    フェルトだねー!
  • 作業場の雰囲気が、ほんとうに素敵だった。
    作業場の雰囲気が、ほんとうに素敵だった。
  • ワンちゃんもたまらんです。
    ワンちゃんもたまらんです。
  • 節々から。
    節々から。
  • 作業の様子を見せてくださった。
    作業の様子を見せてくださった。
  • 手捌きが滑らかで。
    手捌きが滑らかで。
  • 音が心地良い。
    音が心地良い。
  • すごいなあ。
    すごいなあ。
  • いろんな作品たち。
    いろんな作品たち。
  • スリッパもすんごくあたたかかった。
    スリッパもすんごくあたたかかった。
  • すてきなご縁をほんとうにありがとうございます。
    すてきなご縁をほんとうにありがとうございます。
  • さらに、移動していきます。
    さらに、移動していきます。
  • 川根地区にいらっしゃる、佐々木さんのもとへ。
    川根地区にいらっしゃる、佐々木さんのもとへ。
  • 橋だ。
    橋だ。
  • 佐々木さんの畑を見せてもらいました。
    佐々木さんの畑を見せてもらいました。
  • 野サボテン。
    野サボテン。
  • アーティチョークという日本では珍しい野菜。
    アーティチョークという日本では珍しい野菜。
  • まきがいっぱい。
    まきがいっぱい。
  • 民具もいいなあ。
    民具もいいなあ。
  • 足元にある生活をたくさん感じた。
    足元にある生活をたくさん感じた。
  • そして、ミニチュアホース!びっくり!
    そして、ミニチュアホース!びっくり!
  • おうちの器も佐々木さんの作品でした。
    おうちの器も佐々木さんの作品でした。
高宮町たかみやちょう安芸高田市(3/4)
次にやってきたのは、高宮町です。「これから、魔女に会いに行きます」と中村さんが真顔で仰るので、「まじょ?」としか言葉が出ません。想像するじゃないですか、大きな鍋でぐつぐつ何かを煮込んでいる姿を。でも、お会いした魔女こと土井妙子さんは、ほんっとうに心に曇りのない、明るい女性でした。魔女という言葉がわかったのは、ご自宅に上がらせていただいたときです。あまりにすてきな空間だったので、そういうことか!と。まるでジブリの世界そのもの。いや、ジブリのようなではなく、そこにはただ、土井さんの世界があり、たくさんの心の豊かさが詰まっているようでした。羊毛で糸を紡ぎ、作品をつくっていらっしゃるとのことで、実際にその様子も拝見させてもらい。糸車のカラカラと小刻みに鳴る音や、流れるような手捌きは、うっとりするばかりで。しかも、土井さんが糸紡ぎを始めたのは50歳を過ぎてからだそうです。すごいなあ。土井さんの生き方が、糸紡ぎにそのまま表れているような気がして、土井さんのことが大好きになりました。
そして、さらに川根という小さな集落で作陶をされている、 作陶家の佐々木りつ子さん(@bocuca_kobocuca)にもお会いしました。実は、どうやらお伺いの集合時間をオーバーしてしまっていたらしく、ちょっと急ぎながら向かって。その道中、中村さんの知り合いの方が遠くで田植えをしていて、「時間がないのでごめんなさい!」と、車を停めずに通り過ぎたんですね。距離もあったので、田植えの方も気づいていないだろうとぼくも思っていたら、どうやら気づいていたみたいで、「通り過ぎましたね」と。こういうところ、さすがです。それに、あとあとわかったことですが、今日、中村さんのご縁でお会いさせていただいた方々は、中村さんをのぞいてすでに情報共有があったみたいで、なんだかもう、お騒がせして、すみません……!
さて、少しお待たせをしてしまったのですが、佐々木さんにご挨拶をさせていただき、まずはおうち近くの畑を見せてもらいました。作陶家でありながら、ほんとうにいろんな作物を育てていて、すごくかっこいい。「アーティーチョーク」という野菜も初めて見ました。そして、畑をひととおり見せていただいたあと、中村さんがあらたまって、「そろそろ見せていただけますか、佐々木さんの真骨頂を」と言わんばかりのアイコンタクトで、佐々木さんも「そうですね」という阿吽の呼吸を見て、「なんだ、なんだ……!」とソワソワしたのち、「こちらへどうぞ」と案内してもらうと、そこにはなんと、馬が! 正確には、ミニチュアホースという馬で、ワンサイズ小さい可愛らしい馬です。一緒に暮らしているのだと。いやー、すごいなー、佐々木さんの良い意味での変態さに次々と触れられて、すごくカッコよかった。その上で、ご本業のうつわも見せていただき、付随するお話もたくさん聞いて、やっぱり、作品という表現には、生き方が表れるような気がするなあと、今回お会いできてすごくよかったなあと、思うばかりなのでした。

  • 水戸家のみなさんのもとへ。
    水戸家のみなさんのもとへ。
  • カメムシの色が、先日変わったんですよ!と教えてもらった。いいなあ。
    カメムシの色が、先日変わったんですよ!と教えてもらった。いいなあ。
  • お父さんに、きのこ園へ案内してもらう。
    お父さんに、きのこ園へ案内してもらう。
  • 初対面なのに、優しく教えてくださりありがとうございます。
    初対面なのに、優しく教えてくださりありがとうございます。
  • きのこの原木だ。
    きのこの原木だ。
  • 森と土と。
    森と土と。
  • 生活の中に、森がありました。
    生活の中に、森がありました。
  • 娘さんのシルエット。
    娘さんのシルエット。
  • 気づくものがいっぱいある。
    気づくものがいっぱいある。
  • 自家製の茶葉、すごい!
    自家製の茶葉、すごい!
  • 97歳のおばあさん。どっしりされていて、すごくかっこよかった。
    97歳のおばあさん。どっしりされていて、すごくかっこよかった。
  • 食事をご馳走になったのでした。ほんとうにありがとうございます。
    食事をご馳走になったのでした。ほんとうにありがとうございます。
  • 舞茸の炊き込みご飯、すごく美味しかった。
    舞茸の炊き込みご飯、すごく美味しかった。
  • てんちゃん。たくさん吠えてもらいました。
    てんちゃん。たくさん吠えてもらいました。
  • 手作りのお菓子もいただいた。すんごく美味しくて!
    手作りのお菓子もいただいた。すんごく美味しくて!
  • うれしい時間だなあ。
    うれしい時間だなあ。
美土里町みどりちょう安芸高田市(4/4)
そして、最後にやってきたのは美土里町です。向かう先は「ミズトさん」のところ。実は、今日お会いした方々と中村さんの会話で、「ミズトさんのところに行くのね」というやり取りを何度か耳に挟んでいて、ぼくは想像を膨らませていたわけです。とにかく、ぼくにとっては情報が「ミズトさん」だけだったので、ミズトさんという固有名詞が、レストランなのか、誰かの愛称なのか、誰かの本名なのか分からず、ぼくはレストランなのだと直前まで思っていました。中村さんの知り合いの方が営んでいらっしゃるお店で、わざわざ予約してくださったのだと。そしたら、なんと、ミズトさんは水戸みずとさんという名字であり、水戸みずと家のみなさんがお出迎えしてくださったのでした。そう、ご家庭でお食事をさせてもらうという流れでびっくり…! 中村さんは「たまに、食事時もお伺いしてるんですよ」と。ただ、水戸家のみなさんにとっても、中村さんだけではなく、急に誰かわからない人間が来てしまうわけで、申し訳ない気持ちが溢れんばかりです。
しかし、ご家族のみなさんがほんとうに優しく迎えてくださって、もう、とにかく頭が上がりません……。おうちに上がる前には、お父さんに森の中にあるきのこ園へ茂みを歩いて連れて行ってもらったり、自家製の茶葉を見せてもらったり……。ここにある豊かな土地の暮らしをそのまま感じる時間で。
そして、おうちに上がると保護犬出身の「てん」ちゃんが「ワンワンワン!!!グルルルゥゥ……!!!」と、あたたかく出迎えてくれました。なんと、てんちゃんと水戸家の生活は、扶桑社の「カラふる」というメディアでも紹介されています。ぜひ読んでくださいね。そして、食事がほんっとうに美味しくて、いろんな話をさせてもらって、とにかく楽しい時間でした。最後にはお姉さん手作りのお菓子までいただき…(しかも、すんごく美味しかった!)。家族で食卓を囲む、そのささやかな時間が、どれだけの豊かさを持っているか。団欒という言葉で簡単にまとめてしまいたくないような、もっと尊いものが流れているような気がしました。

というわけで、今日の散策はここまで。中村さんに安芸高田市で、たくさんの方々との出会いのきっかけをいただきました。一人で旅をしていたら、どの方ともお会いすることができていません。そして、それぞれの場所でご挨拶させていただいたわけですが、みなさんにも予定があるわけで、わざわざ時間を空けてくださったわけです。中村さんとみなさんの関係性がすてきだからこそ、こうしてたくさんの出会いをいただけたのだと思うばかりです。中村さん、ほんとうにありがとうございました。何より、安芸高田市のことがずっと好きになりました。どんな人が暮らしているのか、土に手で触れて初めて気づくことがあるように、この手触りを忘れません。みなさん、ほんとうにあたたかい方たちでした。そしてみなさん、心にすごく、大切なものを持っていた。都会だから、田舎だから、というくくり方をするつもりはありません。ですが何より、自分の軸をシャキッと持ち、豊かさの尺度を知っている人たちはとてもつよくしなやかで、美しい。
本日のひとこと
安芸高田市には今も神楽団が22もあるとのことです。すごいなあ。

旅を応援してくださる方へ

「どこで暮らしても」の商品ページに飛びます。

今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
写真集の商品ページはこちら

(終わり。次回へ続きます)

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