朝6時台の長崎市街地。路面電車はすでにたくさんの人が肩を合わせている。その路面電車を横目に、早足で港へ急ぐ。長崎港を出航する、高島行きの船に乗るためだ。
道を間違えて冷や汗をかいたが、出航時間に無事間に合った。ちょうど船が到着したところで、人が降りてきている。ブレザーや学ラン姿の高校生ともすれ違った。路面電車だけではなく、船にゆられて通学することも、長崎という街が持つ、ささやかな日常の一部かもしれない。
ここからおよそ30分の船旅。目指すは高島だ。
今日までの旅メーター
訪れた政令指定都市の区の数 【81/175】
訪れた旧市町村の数【776/2,094】 総計【857/2,269】スーパーカブの総走行距離
21930km
軍艦島とともに、炭鉱で栄えた高島。ー旧高島町(長崎市)
高島炭坑について調べていると、「北渓井坑跡(ほっけいせいこうあと)」は国指定史跡かつ、世界文化遺産の構成資産なのだが、Googleマップでは検索しても出てこなかった。これは旅を通じて初めてのことだった。どれだけ時代が進んでも、Googleマップでピンされていない場所はあるのだ。一例だが、自分の足で訪れることにも意味があるかもしれない。そう思えた。
長崎市街地を巡ろう。ー長崎市
さあ、高島から長崎市街地へ戻ってきた。ここからは、徒歩と路面電車で長崎市街地を巡る。有名どころが多いけれど、行きたい場所がいくつかあって、とにかく時間の許す限り、巡ることにする。
入口の少し先で、三世帯の家族連れがいて、写真を撮ろうとしていたところ、全員が写らないので声をかけて撮ってあげた。「実は……」と言われて伺ってみると、一緒にいたおじいさんとおばあさんは、50年前にここで、結婚式を挙げたそうだ。
「だから、50年経った、ビフォーアフターの写真なんです」と。
なんて大事なタイミングだ。教会とご家族を、なんとか無事に撮れたと思う。
教会の中は撮影禁止だ。そして、同じ敷地内に博物館があって、日本とキリスト教の歴史に触れることができた。たとえば、信徒発見から禁教が完全に解かれるまで、20年ほどの歳月があることに気づいた。この20年間、今想像すれば何も感じなくても、当時を生きていた人々からすれば、とても長かったはずだ。そういうことを、ほかにもいろいろと感じた時間だった。
その後、昼食をどうしようかと思っていたところ、ちゃんぽんと皿うどんの発祥のお店である「四海樓」を見つけた。とても有名なお店のに、ほんとうに、偶然近くで出会った。
立派な建物の5階へ進み、平日だったので待たずに案内してもらえた。しかも、窓際のいい席に。すごく広いし賑わっている。スーツ姿のお客さんも多かった。隣の席には、日本人美女とインドのイケメン俳優みたいな人がいた。
ちゃんぽんと皿うどんのどちらにするか迷って、ちゃんぽんにした。太麺でクセがなく、キャベツも食べやすい大きさで、すんごく美味しくて感動した。やさしい味だ。何度でも食べたくなる。
昼食の後、今度は路面電車に乗って、平和公園へ向かった。長崎に何度か来たことがあっても、平和公園や長崎原爆資料館へ訪れたことがなく、ずっと心残りだった。
路面電車の路線で迷っていたら、地元のおばさんが様子を見て察して、「あなたこっちよ!」と案内してくれた。地元の人がやさしい。
平和公園に着くと、人で溢れかえっていて、7割ぐらいがおそらく中国の人だった。さっきの豪華客船の人たちなのかな。時間帯や日によっても、全然違うのだろう。混み合っているので、サッと離れることにした。
そして、昨日と同じくROUTEさんに宿泊した。振り返れば振り返るほど長い1日だった。
夜はROUTEのオーナーさん、スタッフさんと一緒に皿うどんをいただいた。皿うどんは家庭用で当たり前のごとく売られているそうだ。袋に入った麺を少し手で割って皿に盛り付けて、餡をかけるのが地元流だと。
やってみたけれど、結構ぎこちない。それからは一緒にいろんな話をして、とても楽しい夜でした。ありがとうございました。
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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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