今日までの旅メーター
訪れた政令指定都市の区の数 【67/175】
訪れた旧市町村の数【618/2,093】 総計【685/2,268】スーパーカブの総走行距離
18055km
峠と棚田が何度も現れる、自然の中の暮らし。(2023年11月4日(土)―212日目)
旧三和村(上越市)
薄い雲に朝日がぼんやりと姿を見せている。今日も今日とて、白鳥が空を飛んでいる。旧三和村に向かっていく途中、霞んだ山並みが流れていった。手前が濃く、一段ずつ奥になるにつれて、薄くなっていく。
三和区総合事務所を訪れたあと、水科古墳公園へ向かう。トランポリンぐらいの小さくてこぢんまりとした古墳が、公園内にいくつも残されていた。子どもが隠れんぼするにはちょうどいいかもしれないけれど、大人からすれば、どこにいるのかすぐにわかっちゃうかな。
旧牧村(上越市)
次は旧安塚町を目指して進んでいたけれど、先に通過したのは旧牧村だった。急坂を登っていく途中で、「牧ふるさと村自然と憩いの森」を通過する。峠に差し掛かると大月の棚田が現れて、朝日が差し込んで見事な風景だった。手前の水田と遠くの水田、お互いが美しい…。ほかにも峠越えが多くて、その度に大小はあれど棚田に出会い、里山らしい暮らしが広がっていたのだった。
旧安塚町(上越市)
ようやく峠を下って、旧安塚町の市街地が現れた。旧牧村よりも旧安塚町の方がまちの規模としては大きく感じられる。集落には小黒川が流れていて、その上流に向かうと「道の駅 雪のふるさとやすづか」があった。どうやなイベントの準備をしているようで、そのうちの一人のお母さんが気さくに声をかけてくれた。「今日ね、11時から餅つきがあるの。よかったら食べにきて〜!」わあ、現在は9時。全体の行程を考えてみて、渋々断念した。でも、きっと餅つきを囲む幸せな時間が、この日は流れていたのだろうな。
旧清里村(上越市)
やはりこの辺りの地域は里山が多く、ひとつひとつの移動が峠越えで、ちょっと驚かされる。旧清里村の「星のふるさと公園」を目指して、再び急坂をぐんぐんのぼっていった。赤と黄色とススキ、秋の景色をすり鉢状に見渡すことができる。
星のふるさと公園は、天体観測ができる施設かつ、資料館にもなっている。館内を見学していると、「今から星、見ませんか?」と、観測台へ案内してもらえることになった。
係のおじさんが、カメムシをチリトリで集める後ろをついていきながら、望遠鏡のある場所へ。金星を見せてもらい、手持ちの天体付き指示棒で、影の出来方について教えてもらった。
「君、大学生だよね? うん、大学生だ!」
と、否定すら許してくれなかったので、天文好きの大学生として話を続ける。
「昼間でも、ほんとうは星が見える!ほんとうはね!」
とおじさんが熱く語る。そうかあ、昼間でも星が見えるって、哲学的だなあ。
「(うしかい座の一等星)アークトゥルス!」
最後、観測を終えて階段を降りるとき、おじさんがこの独り言を叫んでいた。おじさんは、心底星が好きなのだなあ。
旧板倉町(上越市)
次に向かったのは、旧板倉町。妙高市もずいぶん近くて、まちの雰囲気も今までと少し違ったように感じられる。最初に「いたくら亭」という蕎麦屋さんで、「新そばまつり」をやっている情報を得ていたので、楽しみに向かってみたら、もう、30人ぐらいが店頭で待っていて、こりゃダメだと。確かにボクらは「新そば」と「まつり」のどっちの言葉にも弱いから、引き寄せられちゃいますよね。1時間以上は待ちそうなので、断念。
その後、「ゑしんの里記念館」へ向かう。ゑしんとは、親鸞の妻である恵信尼の記念館である。立派な敷地と庭を持った記念館で、妻の生涯も紹介されているのだなあと。親鸞にとって、恵信尼の存在も大きかったのだと感じられた。最近は「親鸞」や「良寛さん」が気になっている。
上越市
最後に上越市街地へやって来た。どこを訪れるのが良いのだろうと迷いつつ、高田城址公園や高田駅、佐渡汽船の直江津港や上越市立水族館うみがたり、そして居多神社などを訪れた。
高田城址公園は三層櫓への入場券と歴史博物館の共通券を買って、それぞれ訪れる。面白かったのは歴史博物館で、かつて上越(高田)が政治経済の中心地だったこと、直江津は港としての役割を担い、相互に補い合う都市だったことを知った。高田駅の西側は寺町になっていて、木々と住宅街とお寺が広がっていた。
上越市立水族館うみがたりは、訪れているお客さんたちの雰囲気が穏やかで、とても平和な水族館だった。居多神社は小さいけれど静かで清々しく、上越市をこうして巡らせていただいていることに対して、お礼のご挨拶を。
と、上越市街地を巡るだけでも、4時間かかったのだった。
というわけで、今日の散策はここまで。同じ上越市の中でも、やはり暮らしがぜんぜん違うことを感じるし、上越市街地は新潟市や長岡市に並んで、大きなまちであることをより感じた1日でした。
11月4日の日記「山奥で一度カブが止まる。あともう数日がんばってほしい。阪神がオリックスに負けて、3勝3敗。明日の先発は青柳。ぜったいに大丈夫だと思う。」
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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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