今日までの旅メーター
訪れた政令指定都市の区の数 【67/175】
訪れた旧市町村の数【603/2,093】 総計【670/2,268】スーパーカブの総走行距離
17726km
初めての長岡市に触れる旅。(2023年11月1日(水)―209日目)
旧栃尾市(長岡市)
トンネルを抜けて旧栃尾市に入った。まちなみは盆地の風景が続く。市街地には川が二つ流れていた。そして、この旅で旧栃尾市を訪れるまで、「栃尾揚げ」が旧栃尾市の食べ物であることを認識できていなかった。「栃尾揚げ」の名前は聞いたことがあっても、地名だと気づかないままで…。ましてや、現在は長岡市の一部なのだ。そういうことだったのか、と…。
「栃尾揚げ」を食べてみたくて、事前に教えてもらっていた豆腐屋さんに立ち寄ってみる。けれど、油揚げはまだあがっていないとのことだった。基本は冷蔵庫で保存することも知らなかった。後からやってきたおじいちゃんが「油揚げ5枚とおぼろ(豆腐)大一つ!」と慣れた口調で注文する。
お店のお母さんに別の豆腐屋さんを教えてもらった。行ってみると、おじさんが店頭に座っていて、「いいよ。ちょっと待ってて」と栃尾揚げを用意してくれた。細かくお皿に切り分けてくれて、醤油も持ってきてくださって。いわく、「醤油をちょっとだけつけなさい」と。香ばしい油揚げがさらに香ばしくなって、揚げが分厚くて、じゅわっと旨味が広がる。うんめぇな…。おじさん、わざわざ一人のためにありがとう。
そのあとに栃尾城跡も訪れた。見晴らしの良い場所まで歩くと、川とまちなみと山が景色に溶け込んでいる。栃尾の地形を感じることができた。
旧山古志村(長岡市)
栃尾から約25キロ。山道を登って下ってカーブして…の繰り返しを進んでいく。途中は棚田の風景や、紅葉した木々が気持ちいい。やがて、旧山古志村に入ると、山間部に集落が広がっているという感じだった。看板にいくつか「闘牛」の文字が登場していて、有名なのだなあと。実際に、山古志闘牛場があるのだ。行ってみると、山の上に確かに闘牛場があった。まさかのペット席もあった。
旧川口町(長岡市)
旧川口町は長岡市の中では飛び地になっていて、一度小千谷市を抜けてから、旧川口町に入った。メインの市街地は、信濃川と魚野川の合流地点に位置し、かつては水運を中心に栄えたことも想起できる。信濃川を進めば十日町市や津南町に、魚野川を進めば魚沼市や南魚沼市に辿り着く。
川沿いの国道17号線は交通量も多かった。この道をひたすらに進めば三国峠を越えることになり、やがて群馬県へ入っていく。関東と新潟をこの道が結んでいるのだなと思うと、「すごいやん」という気持ちになる。
道の駅で、「おばちゃんの畑の味処」と看板に描かれているけれど、おじちゃんが店頭に立っているお店で、月見蕎麦を食べた。
旧小国町(長岡市)
旧山古志村から旧川口町へ入るときは、小千谷市を北から南へ跨いで行ったけれど、今度は旧川口町から旧小国町へ、小千谷市を東から西へ跨いで向かった。今も山形県や熊本県に小国町の地名があるので、新潟県にもあったのか! と新しい出会いだ。
道中の空が広く、見晴らしいのいい盆地を進み、おぐに森林公園を訪れた。シャリ、シャリッと、落ちたばかりの乾いた葉を踏む音がよく聞こえる。五感を自然に預けるばかり。
旧越路町(長岡市)
次にやってきたのは、旧越路町。長谷川邸と呼ばれる豪農の家を訪れた。茅葺がなんと立派な家だろう。土間も50畳ぐらいありそうだ。受付の方がいくつか話をしてくれた。長谷川家の方が住んでいたのは50年ほど前までで、柱や梁は1716年に建てられた当時のまま。茅葺屋根の大きさは「全国でも5本の指には入る」と学芸員はよく言っていると。
新潟県では豪農に触れる機会が多かった。そして、代が終わるということはどういうことなんだろうと毎回気になっていたのだけれど、長谷川家の場合は11~13代の方が東京で生活し、13代の方にお子さんがいなかったそうだ。なるほどなあ。
長岡市
最後にやってきたのは長岡市の市街地。信濃川の対岸からまちを見ると、マンションやビルがたくさん見えて、大きなまちだなあと感じられる。8月に『長岡花火』で訪れたときは暑かったけれど、今はとても涼しい。
いくつか行きたいところがある中で、今回は目的地を絞って、「河井継之助記念館」を訪れた。河井継之助(つぎのすけ)は長岡藩の武士で、北越戊辰戦争で新政府軍と戦ったリーダーだ。新潟県を巡りながら、北越戊辰戦争の歴史に触れるようになって、“こっち側の歴史”が気になるようになった。要は、幕府への忠誠を守った側だ。しかも、戦いを望んでいたわけでもない。大義も正義も、基本的には勝者の視点で語られるから、展示を見ながらなんともいえない切なさを覚えるのだった。でも、この正義の裏表みたいな狭間で、ぐにゃっとした気持ちを持っている人って、ほんとうは結構いるんじゃないかな。
司馬遼太郎の名著『峠』は、この河井継之助が主人公である。
初めての長岡花火へ。【旧市町村一周の旅(新潟県|8月2日―118日目)】
というわけで、今日の散策はここまで。今まで、「長岡花火は超感動するよ!」って話す機会もあったけれど、今日の散策で「それに、長岡花火以外にもね…!」と、話に続きが生まれた気がするなあ。
最後にたどり着いた長岡市が、巨大都市のように大きく感じられたのでした。
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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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