ふるさとの手帖

市町村一周の旅

日胆地域の山と海を往復して。【旧市町村一周の旅(北海道|8月30日―146日目)】

日胆地域の山と海を往復して。【旧市町村一周の旅(北海道|8月30日―146日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【49/175】

49/175
28.00%
訪れた旧市町村の数【438/2,093】
438/2093
20.93%
総計【487/2,268】
487/2268
21.47%

スーパーカブの総走行距離
12330km

旧早来町→旧追分町→旧鵡川町→旧穂別町→旧日高町→旧紋別町、の6つ。

日胆地域の山と海を往復して。(2023年8月30日(水)―146日目)

朝からびゅうびゅうと風が吹き荒れる。けっこう寒い。8月になって初めて服を着込んだ。東京や本土の気温を見て、最高気温が35度なんて、信じられない。そんなわけがない。と感じるのは、同時に2箇所の気温を感じられないからだけれど。

室蘭市や苫小牧市をはじめとする地域は「胆振(いぶり)」と呼ばれている。平取町辺りからえりも町にかけて、日高山脈の南側に位置する地域は、「日高」だ。それらを合わせると、「日胆」地域となる。

ふたつの地域をまたがってすすむのだから、案外距離がある。今日も300km走った。海岸線沿いだけではなく、日高山脈近くの山間部まで、今回の旅でなければ、知ることのできなかった地域とともに、振り返っていこう。

旧早来町(安平町)

最初にやって来たのは旧早来(はやきた)町。安平町役場も位置していて、まちの中心部だといえる。役場前だけではなくて、民家の玄関の先にも、馬の形をした花壇があった。馬がシンボルであると、地域全体から感じられた。

安平町役場。
馬の花壇だ。
民家の前にも。
元気な看板。
まちの風景。
早来駅。
町役場のポスター、いいね。

おはようございますにゃー。

旧追分町(安平町)

次にやって来たのは、旧追分町。江差追分や新宿追分をはじめ、この地に限らず「追分」の地名はたまに見かける。“追分”とは道が二手に分かれる場所。旧追分町も石勝線と室蘭本線の分岐点であり、長く交通の要所だった。旧早来町と旧追分町は、一度分村したのちに、再び安平町として2006年に合併している。

自然豊かな鹿公園を訪れると、ごく普通にリスがいた。ちゅんくくと鳴いて、木の枝を飛び、芝へ飛び降りて遠くまで駆けていった。そのあともリスを見かけたので、珍しいわけでもないのかもしれない。朝のさえずりを歌う小鳥のように、リスも日常を過ごしていた。

鹿公園へ。
本格的な自然だ。
野生のリスさんおはよう。

追分駅。

不二家だ。

旧鵡川町(むかわ町)

次にやって来たのは旧鵡川町。現在はひらがなの「むかわ」町だけれど、元々は「鵡川」町だ。その名の通り、まちには一級河川の鵡川が流れていて、太平洋へ注ぎ出ている。

道の駅近くで、たい焼き屋を見つけた。むかわ町の北側に位置する旧穂別町は、恐竜の化石で有名なまちである。たい焼きの名物も、恐竜の型だと書かれてあった。

お店に入って見ると、恐竜のたい焼きは粒あんやクリーム、それに変わりダネのチキンマヨがあって、ひとつ180円。そうだなあ、好きなクリーム味で良いかなあ。

「クリームをひとつ……」

と、言ったところで、店主のおじさんに、

「ひとつ!?」

と。店主のおじさんも、悪気なく言ったわけではないものの、たったひとつですか、ひとつしか買わないのはちょっと寂しいなあと、落胆の気持ちがわずかに入り混じっているかのような返事だった。

「あ、粒あんもひとつ!」

結局、一瞬熱い駆け引きが繰り広げられ、ふたつ注文したのだった。店主のおじさんはいい人だったし、自分も最初からふたつ頼んでおけばよかったなとも思ったけれど。

旧鵡川町へ。田んぼは黄金色だ。

恐竜のキャラクター。
穂別では、新種の恐竜も認定されている。
あと二週間!
たい焼き屋さんへ。
お腹いっぱいになった。
朝風呂「始めてました」
たんぽぽ公園に行った。たんぽぽの時期ではないけれど、パンダがいた。

鵡川だ。

旧穂別町(むかわ町)

同じむかわ町でも、太平洋側の旧鵡川町から、山側の旧穂別町まで、約35kmの移動だった。途中、道路脇にはさまざまな動物が登場する。ポニー、ヤギ、馬、牛……。感覚が慣れてしまいつつあるが、他県ではここまでたくさんの動物とはすれ違わないはずだ。

町立穂別博物館へ訪れる。主に恐竜の化石メインの展示で、小さな博物館ではあるものの、地元産の質の良い化石が集められていると紹介されていた。“北海道の背骨”と言われる日高山脈も、かつては海だった。発掘された化石も海洋生物が多く、約6550万年前の白亜紀の終了とともに、多くの恐竜は姿を消してしまったそうだが、その果てしない時間の流れに驚くばかりだ。

最近は、縄文時代に触れることが多かった。当時の数千年前の暮らしでも大昔の話だと思っていたが、恐竜の時代はまた年数の規模感がまったく変わるので、ほんとうに今を生きる2023年が、髪の毛一本のような細さであることを、感じるばかりだ。

旧穂別町へ。
恐竜のお出迎え。

アンモナイトの銅像。穂別でも、アンモナイトの化石が多く出土している。
中村記念館。故中村平八郎氏は、穂別町開拓の先駆者だ。
ほかにも館内の写真を見て、この建物が愛されていることを感じた。

町立穂別博物館。
入口に鎮座する、ホベツアラキリュウ(クビナガリュウ)。国内産のクビナガリュウとして、全身骨格が復元されたのは、国内2番目で北海道では最初。北海道指定天然記念物である。
穂別で発見された化石がたくさん展示されている。
本物の化石の大きさにギョッとする。
フォスフォロサウルス。

日高町

日高町も飛び地になっているまちだ。山奥の日高町と、太平洋に面する旧門別町。あいだには、平取町が位置している。山間部同士、旧穂別町から日高町までの距離も50kmあって、ずっと山道なので遠く感じられた。富山県から五箇山に行くときのような、トンネルの多さで。

ようやく日高町に着いた。面積は東京23区分もあるまちだが、中心部は小さなまちだった。散策しているとき、全力で自転車を漕ぐ小学生とすれ違う。「こんにちは!」と強い挨拶をしてくれて、真っ直ぐ進んで行った。

地元の掃除のおばさんにも話しかけられた。「今日は寒いですね」と言ったら、「もっと寒くなるわよ」と、まるで脅されたようだった。

日高町へ。山が近い。
日高町役場日高総合支所。

こんにちは!
野球グラウンドもあった。

バスだ。

日高山脈博物館にも、入ってみた。プレートがぶつかって日高山脈が上昇しはじめたのが約1300万年前。果てしない年月だ。

旧門別町(日高町)

同じ日高町なのに、旧門別町へ出るまでは約60kmあって、これまた長い移動であった。

旧門別町には門別競馬場があるらしく、おとずれてみる。競馬場の外観を見たら移動してもいいかなぐらいに思っていたのだが、駐車場に誘導員が三人もいて、流れるままに、しっかり駐車せざるを得なかった。あの、ぼくレースは見ないかもしれないんですけれど、と聞いたら、誘導員のおばさんは、それでもいいですよと。

で、会場に向かっていくと、ちょうど先のレースが終わって、次のレースに向けた準備が進んでいるところだった。15分後ぐらいから始まるらしい。思えば、ぼくの競馬歴は5年前に帯広で一度見た「ばんえい競馬」しかない。あのレースはぐるっと馬が周回するのではなく、ずんぐりした馬が起伏のある直線上のコースを駆け抜ける、独特のものだった。

だから、馬がぐるっと周回して駆け抜けていくレースは、今まで見たことがなかったんだ、と思って、一度だけやってみるかと、気持ちが変わった。

出走する馬がウォーミングアップをしているエリアがあって、観客もそこに集まっていた。新聞を抱えているおじさんもいれば、若い女性もいる。年齢層に広さに驚く。ぼくはとにかく完全な素人のわけだが、オッズも気にせずに、馬を眺めてみた。どれが、強そうだろうか……。

「うーん、7番じゃないかなあ」

明らかに7番が優秀に見えた。ほかの馬は気が散っていたりもしたが、7番だけは落ち着きが抜群にあって、余裕そうな気配を感じた。そして、それからオッズを見ると、7番が群を抜いて一番人気なのであった。

単勝に7番と、7番からの三連単。それぞれ500円ずつ買ってみた。

それからレースが始まって、終わるまでは一瞬だ。

迎えた最終コーナー、圧倒的に速い馬がいて、よく見ると、7番だ。来た!的中!

ただ、三連単は外してしまって、払戻金は850円。つまり、150円のマイナスだった。ちなみに三連単は、70倍が付いた。もし当てていたら、500円が35000円になるのだ。つくづく、気をつけなきゃなあと思ったね。ハマっちゃうからさ。

そして、そのあと日高町役場周辺を散策して、今日の旅は終わりである。

門別競馬場へ。
地方競馬場って、いいな。
テレビカメラ。

馬をチェックしている。

最終コーナー、きた。
一頭だけ速いぞ。よく見たら7番だ。
おお〜〜!
そして、旧門別町のまち。

日高町役場。阪神の門別投手も、新日高町出身なんだ。まさに名前の通りだ。
キッチンカーがあった。

今日の散策はここまで。途中雨が降ることもあったし、寒くなってきたし、北海道の気候らしさが戻ってきた感じもする。できるだけ疲れを溜めないようにしながら、しっかり走って、少しずつ旅を進めていきたい。

本日のひとこと
旧穂別町と日高町のあいだ、平取町の二風谷アイヌ文化博物館にも立ち寄りました。森羅万象に神が宿っている自然観、装飾品、服装、刀剣、祭祀の文化は、美しいなあと思うばかりです。
(終わり。次回へ続きます)

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