今日までの旅メーター
訪れた政令指定都市の区の数 【49/175】
訪れた旧市町村の数【313/2,091】 総計【362/2,266】スーパーカブの総走行距離
7720km
目次
2023年7月9日(日)登米市に残るちいさな町を巡ろう。(日本一周94日目)
昨日は雨だったので、休ませてもらった。
雨の日の過ごし方だけれど、朝はスーパー銭湯で「あ”あ”ー!」と天井を見上げる。そして、マクドナルドに移動して、極限まで存在感を消して作業をする。
でも、しまった。Wi-Fiが1時間しか使えない&電源の無いマクドナルドだった! と、切り替えて読書する。まだ昼過ぎ。もう一度移動を目論む。
別のチェーン店ではないカフェに行く。すると、なんとWi-Fiも電源もある! 落ち着いた洋楽が流れる良い雰囲気! 感動!感謝! と作業が落ち着いたところで、ドラマも数話分観る。
夕食は、昨日も行った鶏そば屋さんに連日のアタック! 昨日は醤油ベースだったので、今日は塩ベースで。うん、旨い!
ここで休むか迷いどころだが、そういえば、レイトショーの映画がまだ残っている! 20時から映画を観る。観客はパラパラと。息をのむ目まぐるしい展開。直球かと思ったらフォークボールが来るようなハラハラした気持ちだ。令和の『怪物』とは松坂大輔ではなく、この映画に関わるあらゆる人々のことを指すのか……。
……と、1日休ませてもらっただけで、体も心もすごく楽になったのであった。
旧田尻町(大崎市)
今日の天気はどうだろうかと外に出た。水溜りはあるが、道路の中央は乾き始めていて、空も部分的に晴れている。よし、旅を進めよう!
というわけで最初に向かったのは、大崎市の旧田尻町だ。連日出会う田園風景の中でも、大崎地域の穀倉地帯は「大崎耕土」という呼び名がついている。それは“世界農業遺産”という素晴らしいブランドだ。
旧田尻町の中心部である田尻駅周辺に向かうと、穏やかな集落が広がっていた。左右は建物が並んでいるが、ところどころ家の隙間からは、広大な田園風景が顔を覗かせている。
とにかく、この辺りの田園風景って、ほかの地域と何かが違う。何が違うんかなあと考えるわけだけれど、この辺りの田んぼは一瞬、歩けそうに見える。田んぼの上を。
片栗粉と水を配分した液体は「ダイラタンシー」と言って歩くことができるけれど、大崎耕土と稲が組み合わさっても歩けるのではないかと、それぐらい緑色がぎゅっーと濃密で、統一された絨毯に見える。
沿道に突如ソテツが現れたときは、東南アジアの田園風景もそんな感じなのだろうかと、異世界を想像せざるを得なかった。
旧米山町(登米市)
次は旧米山(よねやま)町へ。ここから登米市の中を巡っていく。
米山町で気になっていたのは『道の駅米山』だ。何より、道の駅に横綱の銅像があるという情報が気になっていた。
横綱の名は、丸山権太左衛門(まるやまごんたざえもん)。いかにも強そうだ。
さらに注目すべき点は、彼が“第3代横綱”であること。現在の横綱照ノ富士は第73代だが、丸山関はワン、ツー、スリーでいう、スリーですからね。(ちなみに第73代の内閣総理大臣は中曽根康弘だが、第3代は山縣有朋である。)
……という一概に比較できない比較はさておき、もう一箇所、平筒沼にも訪れた。周辺は公園として整備されている。湖でも池でもなく沼なので、使われていない船にも緑が生い茂っていて、沼の魅力と威力も感じられた。
旧豊里町(登米市)
次に訪れたのは、旧豊里町だ。元々は平筒沼の自然学習館に入ろうかなと思っていたが、まだ開館前だ。
よって、行き先を変更して陸前豊里駅に向かった。「陸前」という接頭語がつくことに、「あっ!」と思ったのだ。もしかする、気仙沼や陸前高田が近づいているのではないか……。
実際に、道路の標識でも「南三陸」や「気仙沼」という地名が出てくるようになった。今日は行かないけれど、ここから太平洋も、だいぶ近そうだ。
陸前豊里駅からは、北上川河川歴史公園にある、鴇波洗堰(ときなみあらいぜき)という、北上川と旧北上川の分流の堰を訪れた。
北上川、旧北上川のゆったりした流れも素晴らしくて、かつて水運でまちが発展したことを忍ばせる。
あと道中、右腕の肘あたりにクマバチがパチンと当たって、大きな衝撃だったので、「およぉ!」と声が出た。
マリオカートで前方から緑甲羅を当てられたときの気持ちを学んだ。
堰の近くで船釣りをしている人たちがいて、ちょうど大きな魚を釣り上げていた。スマホで記念写真撮ってて、よかったなあと、誰目線やねんと自分に言いながら。
旧津山町(登米市)
旧津山町で最初に訪れたのは、柳津虚空蔵尊(やないづこくうぞうそん)だ。「日本三所の秘仏」と呼ばれていて、参拝者も後を絶たない。
仏像には詳しくないので、その場の雰囲気を毎回感じるのが楽しみ、といったところではある。
そして、柳津虚空蔵尊では仏像がご本尊だけれど、入り口は鳥居だったり、本堂もしめ縄があったりした。「神仏習合なのかな?」と思わせる。
参拝客の中では、本堂の目の前に「これを唱えてください」というお経が書かれてあるのに、二拍手して参拝する方もいた。
拍手問題が発生するのは、いつも神社ではなくてお寺の方だ。だから、ご本尊はそのときどんな気持ちなのかなあって、知りたい。
「あー、拍手しちゃいましたか!」とか「拍手、かまへんですからね!」とか。
そのあと、「道の駅津山」も訪れた。昨年末にリニューアルしたとのことで、店内も新しい。
ペン、箸置き、ストラップ、お皿……。すごくいろんな「木の工芸品」があって、見ていて楽しかった。ぼくも2000円分ぐらい買い物してしまった。節約しなきゃ。
ぼくが生まれた岡山県には、津山市がある。B'zの稲葉さんの故郷だ。去年のM-1王者ウエストランドも津山市出身だ。津山は熱い。
でも、いつか同郷の人たちと津山の話題が出たら、「宮城県の津山」も全力で推したい。
旧登米町(登米市)
さて、登米市の歴史を語る上で、旧登米町は欠かせない。
まず、読み方から違う。登米市(とめし)だけれど、登米町(とよままち)だから。
登米(とよま)という地名は、1220年前から確認されているのだそうだ。隈研吾氏が設計した「登米懐古館」の展示で知った。
そして、この地域はかつて北上川を交通の起点として、江戸時代も栄えた。現在も「みやぎの明治村」として、江戸や明治の建築物が数多く残っている。
最初に訪れたのは「みやぎの明治村」のひとつである、『伝統芸能伝承館 森舞台』で、ここが隈研吾氏の設計だと知って気になっていた。
見学の仕方はふたつあって、単体の入場券を買うか、「みやぎの明治村」の施設に全部入れる1000円の共通券を買うか。
時間の制限もあるし、ぼくは森舞台と登米懐古館の、ダブル隈さん建築の見学にしようと最初は思っていた。合計600円なので、単体の券をそれぞれ買う方が安いのだ。
でも、森舞台の受付の方が、「ほんとうに単体でいいんですか?」って、粘り気はないんだけれど、シンプルに残念そうにおっしゃるので、よし! と共通券を買った。
ちなみに森舞台では野太い声が聞こえていて、今日、何かの舞台があるのかと思ったけれど、地元の方々による練習だった。月に一度集まっているという。「登米能」という伝統芸能が残っているのだ。本番は9月とのことで、かっこいいなあ、いつか見てみたい。ほんとうに。
そのあと登米懐古館の建築と展示を見た。館内の展示スペースは撮影禁止だが、建物全体に木の温もりがあって、素晴らしい空間だった。あとは共通券を買ったので、水沢県庁記念館と、前回の旅でも訪れた教育資料館に向かった。
共通券で巡ることのできる、全部の施設に行けたわけではないけれど、これはですね、共通券を買うべきだ。
それは、水沢県庁記念館も素晴らしい建物だったし、2回目だった教育資料館もすごくワクワクしたから。
みやぎの明治村では、ぜひ最初に1000円の共通券を買いましょう。
油麩丼は登米市の名物、はっと汁は宮城県北の郷土料理だ。
親子丼、カツ丼、天丼、いろいろあるけれど、実家のようなやさしさが油麩丼である。ヘルシーでさっぱりしている。
はっと汁は和風ベースにワンタンのような具材も入っていて、家庭的な味だった。
旧東和町(登米市)
先ほどの旧登米町から北上すると、旧東和町がある。同じく北上川沿いに位置していて、かつては水運で栄えたそうだ。
その繁栄の象徴として残っている、「不老仙館」という場所を訪れた。江戸時代の宿泊所として利用された大きなお屋敷だが、見事だった。
門をくぐると、不気味な曲が鳴り始めて、「人がやって来ましたよ」というのがすぐさま伝わる。ちょっと怖いなと思ったが、館内には係のおばあさんが一人。そして、おばあさんがひととおり館内を案内をしてくださった。ただ、
「ここ、猫や虫が入るのよねえ」
と言って、実際に虫が入ってきた。
すかさずおばあさんはキンチョールで、
「ぶしゅうー!」
と解き放つ。とはいえ、動きを弱めて逃すという心ある裁量で、結果的にそのキンチョールを最後まで抱えたまま、案内をしてくださった。
そして、今まで昔のお屋敷を見る機会もそれなりにあったとは思うけれど、不老仙館はその中でも忘れたくない(=頑張ってくれ、記憶!)な建物であった。建物内は広大で、襖や欄間、隅々まで豪華さと迫力があり、圧倒された。
旧中田町(登米市)
そして、最後にやって来たのは旧中田町だ。「ナカタ」と読みたいところだけれど、ぼくの大学の同級生と同じく、「ナカダ」と読む。
最初に「かがの公園」という住宅地にある公園で、「浮石」という丸い石を見た。
大きな丸石が回っている。しかも、下からは水が噴水のように湧き出ている。さらに、大きな丸石は世界最大級(1.9トン)らしい。
どうやら、パスカルの原理(=わかっていない)を使って、浮かんでいるのだそうだ。
と、不思議な石を見たあと、「石ノ森章太郎ふるさと記念館」を訪れた。漫画家、石ノ森章太郎氏のふるさとが、旧中田町なのである。
最初に同記念館の企画展で、西岸良平さんの『西岸良平画業50周年記念展』があり、そちらは撮影も可能だった。ぼくはほんとうに不勉強なので、西岸良平さんが、あの『三丁目の夕日』の作者であることすら、知らなかった! 雪崩方式的に、三丁目の夕日が、漫画の原作だということも知らなかったし、映画が三部作であることも知らなかった!
呆れられても、仕方ないだろう。不勉強なりに、現場で勉強します……。
そして、そのあと石ノ森章太郎さんの常設展を見た。まず、石ノ森章太郎さんって、最近すごく聞いたことがあるのだ。どこで聞いたかな…。
と思った矢先、最初にトキワ荘の写真が出てきて、
「トキワ荘だ!」
と記憶がつながった。そう、豊島区のトキワ荘マンガミュージアムにも行ったじゃないか。
さらに、もう、果てしなく不勉強なので、石ノ森章太郎さんが、『仮面ライダー』の作者だってことも、知らなかった。
カルチャーショックレベルである。
……と、数々の偉業を拝見し、不勉強が浮き彫りになったばかりだが、それでも来れてよかったという気持ちで、記念館を後にした。
今日の散策はここまで。今まで登米市は、旧登米(とよま)町のイメージがおおきかったわけだけれど、ほかにもいろんな町に触れることができた。
あと、年下の知り合いの子で、登米市が出身だという子がいる。
旧町は9つあるけれど、どこの出身なのだろうって、すっごく気になる。
コメダ珈琲店で記事を書いた。ただ、先ほど店員さんが、「これ、サービスです」ってカフェオレを持って来てくれた……。そんなことあります……!? コメダさん…!? 感謝…!!!
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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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旅についての心境を、週に一度日記形式で書いています。ブログにまとめきれなかったことも残せたらと思います。
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旧市町村で気になったまちのことについて、月に一度まとめています。本文は『戸籍時報』でも連載中です。
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トレンドニュースサイトのSTRAIGHT PRESS(ストレートプレス )にて、旧市町村をひとつずつまとめた記事を連載中です。
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