2023年4月8日(土)
朝6時、外に出ると想像していたよりも肌寒くて、ダウンを着込んで高松から出発した。太陽はすでに建物を軽々越えたところにいる。気づかないうちに、日の出が相当早くなっていることに驚いた。こっち(高松)は経度の違いで、東京よりも日の出が24分遅いにも関わらず。
香川から徳島へ向かう道中、何度か原付を停めて写真を撮った。黒い瓦の屋根が点在し、休耕中の畑に生えた草と景色が馴染んでいる。それとプリンのような小高い山を見つけると、香川県にいることを実感する。あのこんもりした可愛らしい形は、日本中を探しても少ないのではないだろうか。
想像していたよりも曇り空だったけれど、順調に徳島港へ到着した。受付は高速道路の料金所みたいなゲートで、窓を開けたお兄さんに予約済みだと伝えると、お兄さんはムッとした表情でぼくの名前を聞いた。まもなく「和歌山行きですか?」と聞かれて、フェリー乗り場を間違えたことに気づいたのであった。そうか、徳島からは和歌山行きの船もあるのか。たまに迷い込む人もいるのだろう。お兄さんはやれやれといった表情で、目的地のオーシャン東九フェリーの乗り場を教えてくれた。
オーシャン東九フェリーは、海外にでも行きそうな巨大な船だった。長距離フェリーは確かに大型のイメージがあるが、久しぶりだからか一際大きく感じる。とはいえ今回の「フェリーびざん」に乗るのははじめだ。「東九」の名前の通り、東京と北九州を結んでいる。その間に、徳島を経由するわけだ。このびざんに乗って、約14時間後に東京を目指す。
そして、実は出航前に、知り合いのご家族がお見送りに来てくださった。ぼくが写真館を辞めてすぐの頃に、撮影の依頼をいただいたご家族だった。だから、お会いするのも2年半ぶり。タラップを渡るのを「5分なら」と乗組員の方が許してくださったので、わずかながら話をすることもできた。奥さんと旦那さんは変わらずお元気そうで、お子さんたちは一気に成長していた。ずっと、それぞれの場所で、生きているのだなあ。あたりまえのことかもしれないが、そのあたりまえが、この世界にはあふれている。ご家族は最後までお見送りをしてくださった。
翌朝、東京に着く。
それでは明日に備えて、おやすみなさい。
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