ふるさとの手帖

市町村一周の旅

分水嶺を越えて、郡上市の冒険へ。【旧市町村一周の旅(岐阜県ー福井県)|9月12日―524日目)】

分水嶺を越えて、郡上市の冒険へ。【旧市町村一周の旅(岐阜県ー福井県)|9月12日―524日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【87/171】

87/171
50.88%
訪れた旧市町村の数【1425/2,097】
1425/2097
67.95%
総計【1512/2,268】
1512/2268
66.67%

スーパーカブの総走行距離
36418km

旧高鷲村→旧白鳥町→(旧和泉村)→旧大和町→旧明宝村→旧八幡町、の6つ。
旧和泉村
今日の旅先のこと
今回、岐阜県では計75のまちを巡る計画です。そして、岐阜県の旧市町村の地図を見たときに、特に下呂市、高山市、飛騨市、郡上市の占める面積が、とても広いなあと感じていて。すなわち、これらの地域は「がんばろう!よりいっそう!」ポイントでした。

そんななか、今日は郡上市を中心に散策していきました。途中は福井県大野市にも入り、山を越えながら。最後に八幡町までやってきましたが、宿にチェックインした後、土砂降りの雨も降りました。それでは振り返っていきましょう。
高鷲村たかすむら(郡上市)(1/6)
朝8時過ぎに旧荘川村(高山市)を出発。久しぶりにすっぽりと雲に包まれた朝でした。

まずは国道を下っていき、旧高鷲村へ。小学校のグラウンドには、生徒たちが体操座りをしていて、目の前に赤と白の大玉が置かれていました。周りにテントがあることからしても、運動会が近いのかなあと。

そして、「ひるがの分水嶺公園」を見つけて立ち寄ってみました。なるほど、この辺りが分水嶺になるのかあ。ということはもちろん、ここが標高875mであることにも驚かされます。

公園には「←太平洋 日本海→」と書かれた石のそばを小川が流れています。まさか、たったこれだけのさりげない分岐点が、太平洋と日本海という、大きな分岐点になっているのだなあと。人生って、こういうものなのかもしれない、とも思いました。このとき右に行っていたら、左に行っていたら。辿り着く先は、ぜんぜん違っていた。でも、違っているというだけで、それが正解か不正解か、ではなく。
分水嶺公園。
分岐点って、さりげない。
その後、旧高鷲村の市街地へ。散策を始める頃にちょうど晴れてきました。落ち着いた暮らしと時間が流れていて、見つけた小学校でもグラウンドを囲うようにテントが張られていたので、やはり運動会は近いのかもしれませんね。
湯の平温泉もあります。
市街地へ。
長良川の上流です。
白鳥町しろとりちょう(郡上市)(2/6)
同じ国道を道なりに進み、旧白鳥町へ入りました。最初に気になって訪れたのは、「白山文化博物館」。道の駅のそばに併設されている施設です。館内は撮影禁止で、入口から右手に入ると、雪の白山をイメージした空間が広がり、やがて照明が落とされて、映像が流れました。


ナレーションは付いておらず、神秘的なBGMとともに、白山を中心にした様々な映像が流れました。山の姿のみならず、田園風景、花々、木々、寺社。特に、白山はやはり信仰の地だという印象が強くなりました。

それに、旧白鳥町と白山がどう関係あるのか、ということですが、白鳥を流れる長良川も、白山の恵みを大きく受けており、白山信仰が長く続いてきたと。

博物館を訪れてみて、すぐ近くにある長滝白山神社と長瀧寺にも参拝しました。山岳信仰と神仏習合の形が、つながっていることも知って。

なんだか、いつかは、白山登ってみたいなあ。ぼくは登山経験が少ないのであります。
白山文化博物館。
そばには道の駅。
道の駅の裏にて。
長瀧白山神社へ。
長瀧寺。
長瀧白山神社。とても大きな社殿でした。
その後、白鳥市街地へ。最初に道の駅へ行ってみたものの、あまりまちらしい感じがせず、駅前かなあと思って美濃白鳥駅へ移動したら、こちらがより白鳥らしい雰囲気でした。

郡上おどりといえば、八幡町が代表的ですが、ここ旧白鳥町の白鳥おどりも、今に受け継がれる伝統のひとつです。

つい先日、友人の結婚式の帰りのバスに乗ったとき、隣に座った男の子が同じ大学の同級生だとわかり、さらに出身地が郡上市の旧白鳥町で、踊りの話を聞くと、ほんとうに目をキラキラさせて話をしてくれました。心から、お盆の徹夜踊りを楽しみにしているのが伝わってきて。

ぼくは八幡町の郡上おどりも未経験だけれど、白鳥おどりもいつか絶対に体験したいと、彼に誓いました。それで、まちを歩くと白鳥おどりのポスターや銅像があり、「いやあ、いいなあ!体験したいなあ!」と何度思ったことでしょう。
白鳥市街地へ。
いいなあ! 白鳥おどり。
美濃白鳥駅。
お盆の時期は、19時から5時までの通行規制。まさに徹夜おどりです。
いい雰囲気だなあと。
ポスターもカッコいい。
和泉村いずみむら(大野市)(3/6)
さて、旧白鳥町から、国道を道なりに進めば旧大和町へスッと入るのですが、ここで一度山を越えて、福井県大野市の旧和泉村を目指しました。かなり迷いましたが、旅の行程上、先に巡っておきたかったのです。

県境部には自動車専用道路が通っているものの、スーパーカブでは通行ができないので、横の細い峠道を進みます。けっこう大変でした。そして、峠を抜けて国道に合流し、道なりに西へ西へと。途中は九頭竜湖が広がり、水の豊かさも感じられて。

ようやく市街地へ辿り着き、「道の駅 九頭竜」へ。恐竜が二匹いて、インターバルごとに動くようで、ちょうど動いている様子を見ることもできました。吠える音声も入っているので、なかなか臨場感があって、ほかのお客さんも楽しんでいました。

静かな集落も少し歩きましたが、旧和泉村と同じ大野市の市街地とはそこそこ離れているので、ここにも暮らしがあるのだなあと。
九頭竜湖。
旧和泉村の市街地が見えてきました。
九頭竜も恐竜の土地なのだなあ。
「動けます、吠えます」
九頭竜湖駅。
大和町やまとちょう(郡上市)(4/6)
再び旧和泉村から旧白鳥町へ道を戻っていきます。この道中が長く感じられましたが、旧白鳥町まで戻ってきてからは早くて。

さて、旧大和町では「古今伝授の里フィールドミュージアム」に向かいました。古今伝授とは何ぞや、という疑問も含めて、見学しながら見ていきましょう。

まず、東氏記念館へ入りました。東氏は鎌倉から室町時代にかけて約340年間、郡上を治めた領主一族です。東氏にまつわる展示の中には、薪能「くるす桜」の映像が流れていました。記念館からも近い明建神社で、毎年8月7日の例大祭後に、この「くるす桜」が上演されるのだと。東氏9代目・東常縁とうのつねよりをモデルとして書かれた謡曲を興してつくられた能です。
そして、東常縁が「古今伝授の祖」といわれていて、和歌の「古今和歌集」の内容を中心に、弟子に伝授したと。

その後、和歌文学館へ。広々とした空間に、日本古来の雰囲気を持つ壁画や、歌人の解説、和歌文学通史の紹介などがありました。和歌が成立した7世紀ごろから現代に至るまで、柿本人麻呂、大伴家持、紀貫之、和泉式部、藤原定家、東常縁、松永貞徳、香川景樹、与謝野晶子、斎藤茂吉…と、それぞれの時代ごとに代表的な歌人が取り上げられていて、そうかあ、和歌もこうやって連綿とつながって今に至るのだよなあということを、あらためて。今は現代短歌という分野も聞きますし、ハードルが高い印象を自分で打ち破って、挑戦してみたいなあとも。
古今伝授の里フィールドミュージアム。いろんな施設がありました。
東氏記念館。
入口のドア。風流だなあ。
自然がそばにある空間。
和歌文学館へ。
時代ごとに歌人が紹介されていました。
大和町市街地へ戻っていく。
落ち着いた集落。
明宝村めいほうむら(郡上市)(5/6)
旧大和町から、旧八幡町を通り、北東の方角へ進んで、旧明宝村を目指しました。せせらぎ街道と呼ばれている道を進みます。

市街地に着いた14時半ごろ、黄色の交通安全の旗を持ったパパが二人、小学校の近くにやってきてお互いに挨拶をしていました。下校を見守るのだろうなあと思うと、とてもほっこり。

その後、明宝歴史民俗資料館へ。約80年前につくられた学校が資料館になっており、とにかく1階と2階に、ありとあらゆる民具が展示されていて、量に圧倒されました。これらひとつひとつに、人の手による物語があるのだろうなあと思うと、民具は手触りのあるものだよなあ。

また、明宝ハムの本社もありました。聞いたことのある会社名だったけれど、明宝といえば確かにここだし、そういうことだったのかと。
旧明宝村へ。
バス停。
明宝歴史民俗資料館。
いろんな道具がありました。
昔の卒アルって、いいですよね。
八幡町はちまんちょう(郡上市)(6/6)
いよいよ郡上市の中心部である旧八幡町へやってきました。前回の旅では、短く巡ることしかできなかったけれど、今回は少しでもゆっくり巡れたらいいなと、ここで一泊の予定です。

最初に郡上八幡城へ向かいました。模擬天守は、木造再建城としては日本最古で、1933年に建てられたもの。城内は資料館にもなっていました。

郡上八幡城の沿革を見て、すべてをはっきり把握できたわけではないけれど、いろんな出来事に巻き込まれているなあという印象です。もちろん、どの城も城下町も簡単ではないわけですが。特に郡上一揆というのが、改易にまでなっていて、民衆の胆力も感じるなあと。
雲が、湧き上がっているぞ〜。
立派な石垣でした。
郡上八幡城。
そして、郡上八幡城を出る頃には、空が怪しい雲行きで、早めに宿舎へ。宿を探すなかで、少し値段が安いけれど、遅い時間のチェックインになるお宿と、少しだけ値段が高いけれど、早い時間にチェックインできるお宿で、今回は後者を選んでいて、雨が降る前にチェックインさせてもらうことができました。

結局、16時半には土砂降りになりまして、雨のなか、夕食と散策で外には出たものの、バイク用の服装ではないし、かなり体の負担を減らして歩くことができて、ありがたかったです。
郡上八幡を歩こう。
雨の風景のなか。
というわけで、今日の散策はここまで。ひとことに郡上市といっても、いろんな暮らしがあるということが、なかなか実感しづらいけれど、旧市町村を巡っていると、ほんの少し、そういう部分に触れやすいきっかけをもらっていると感じられて、とてもありがたいです。
本日のひとこと
夕方、ラーメン屋さんに入ったら、女子高生がテーブルに10人ぐらい座っていて、びっくりしました。替え玉も元気に頼んでいたし、みなさん学校おつかれさまでした。
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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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(終わり。次回へ続きます)

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