ふるさとの手帖

市町村一周の旅

北原白秋のふるさと、水郷柳川へ。【旧市町村一周の旅(福岡県|12月4日―242日目)】

北原白秋のふるさと、水郷柳川へ。【旧市町村一周の旅(福岡県|12月4日―242日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【74/175】

74/175
42.29%
訪れた旧市町村の数【692/2,094】
692/2094
33.04%
総計【766/2,269】
766/2269
33.76%

スーパーカブの総走行距離
19870km

旧瀬高町→旧山川町→旧高田町→旧大和町→柳川市→旧三橋町、の6つ。

北原白秋のふるさと、水郷柳川へ。(2023年12月4日(月)―242日目)

8時に出発。肌寒い朝も、雲ひとつない快晴の空を見ていれば、うれしくなるばかりで、疲れなんてへっちゃらだ。久留米市街地へ向かう車線が、かわいそうなぐらい渋滞している中、反対方向のみやま市へ進んでいく。朝、軽トラックや長距離トラックの助手席に高校生が座っていた。この日常が長く続くようであっという間なんだろうな。日常はさりげなくて美しい。

旧瀬高町(みやま市)

矢部川を渡って、旧瀬高町の市街地へやってきた。最初に向かったのは「長田鉱泉場」。住宅街の中にポンと現れたレトロな外観の中に、蛇口が用意されていた。名前の通り、温泉水を取水できる場で、実際に飲んでみると「なんだこれは!」炭酸のようで、でも、味はない……これは塩気なのか……? と、独特の鉱泉水を味わった。

みやま市役所の周辺には、「あいさつ日本一」と書かれたのぼりがあって、市役所の近くで「おはようございます〜」と、東京なら絶対に素通りするであろう、出勤途中の30歳ぐらいの男性が、ごく自然に挨拶をしてくださった。すごくうれしかった。みやま市いいな、挨拶いいな。

長田鉱泉場。

おっはよー。

みやま市役所。

清水寺にも訪れた。

旧山川町(みやま市)

JAの山川支店を通り過ぎようとしていたところ、思わずストップ、ストップ。JAの前にみかんの大きなオブジェがあったのだ。さらに、よく見ると奥に人だかりができていて、行ってみるとみかんの詰め放題をやっていた。地元の方々で賑わっている。今はみかんの時期とぴったりだ。JAの建物内では機械がガシガシ動いていて、箱詰めもジャンジャン行われているようだった。

10時を過ぎても月が出ていた。高速道路も近く、緩やかに山に囲まれた地形だった。

みかんの直売所だ。

町の通り。

スーパーもみかん色?と思った。

旧高田町(みやま市)

旧山川町から西へ7キロ移動し、旧高田町を訪れた。高田濃施山公園に向かうと水がきれいで、小さな滝から流れ出る音が心地いい。展望台まで行って、市街地を見渡すこともできた。その反対側に見える、山並みと茶色い木々の景色も見事で。

高田濃施山公園へ。
水がとてもきれいだった。

美しいなあ。

市街地。奥は平野だ。

市街地へ降りてきて。

高田支所。
起路免喜って、すごい地名だ。

旧大和町(柳川市)

元々、矢部川を渡ってすぐにある、西鉄中島駅に行ってみようかなと思っていたところ、矢部川沿いにいくつもの漁船が停泊していて、その光景に心を奪われた。さらに、人の気配を感じ取って、駅ではなく気になる方へ進むことに。

すると、地元のおじいちゃんおばあちゃんたちを中心に、朝市がひらかれていた。茶色のタイルの細い路地に、魚や野菜を売る人たちがいて、「お疲れさまー!」「またねー!」と明るい声が聞こえてくる。色鮮やかなタイムスリップ先にいるみたいだった。

お魚を売っていたおばあさんと挨拶をして、「あんたどこから来たとね?」と話しかけてくれて、いろいろぼくも聞いてみた。さっきの矢部川沿いで見た船は、有明海に出ていく海苔の養殖船だとも教わった。

「これ、エビの刺身だから、そのまま食べて」

と、お代は断られたまま、エビの殻をむいてくださった。ひんやりした食感が口のなかで広がって、噛むと甘みが広がって最高だった。うれしいなあ、おばあさんありがとう! 思い出ができました。

矢部川と漁船。

朝市だ。

エビだ!
おばあさんが、エビを分けてくださった。

大和庁舎。
六騎殿の伝説かな。

柳川市〜散策編〜

いよいよ、柳川市街地へやって来た。最初に向かったのは、町中に位置する「うなぎ料理 若松屋」だ。ずみママ(@zumichans)に、「柳川に来たら、うなぎよ!」と教えてもらっていたのだ。

若松屋さんで整理番号をゲット。3組待ちだ。ほどなく呼ばれて席に向かうと、ひとり席も用意されていた。

早速メニューを拝見。

「上鰻せいろ蒸し」……3,930円
「蒲焼定食(竹)」……3,600円

洗濯が10回できる……。銭湯に5回は入れる……。と、やましい考えがよぎる。

しかし、その先に鰻があるのだ。

4000円ぐらい、飛んでいけ!

と、上鰻せいろ蒸しを、あたりまえですよというような顔で注文したのだった。

そして、ついにやってきた朱色の木箱。蓋をひらくと、直視できない眩さがあった。まだじぶんには早いと思いながら、父と母と兄にごめんと思いながら、ひと思いにいただいた。

鰻を支えるご飯はまんべんなくタレが絡まっていてたまらない。鰻はせいろで蒸されているので、ふっくらと柔らかで……みたいなことはわからないまま、ひたすらに「うまい……ああ、4切れが無くなってしまう……」と、頭が空っぽのまま、味わったのだった。

食べている間、隣に外国の方がやってきて、メニューを店員さんに尋ねていた。

「セイロ イズ スチーム。カバヤキ イズ バーベキュー!」

と店員さんが説明していて、なるほどなあと。せいろ蒸しは、ひと手間かかっているのだ。

若松屋さんへ。

きた。
ああ!

次に向かったのは、柳川藩主立花邸。1000円を支払って、邸内を散策した。柳川を最初に治めたのは田中吉政、それ以降は立花宗茂を藩祖とし、明治維新に至るまで立花家が治めている。立花宗茂から400年、立花家がずっと治めていたことは、すごいことだなあと思う。資料を見る中でも、宗茂が人徳者だったという記載が多くて、実際にそうなのだとしたら、立花家の藩祖の意志が、引き継がれている気がする。

福岡の旅で出会った、筑豊御三家の安川敬一郎も、秋月藩を治めた黒田長興も、そして立花宗茂も、大きなポジションに就く最初の人物が人徳者だ。権力のある立場で、それをどのようにして生きるのか。そこに民衆の幸せも大きく関わっていると、ぼくは感じてならない。

そして、北原白秋の生家と記念館にも訪れた。記念館で19分間の映像を見て、白秋の生涯に触れる。邪宗門をはじめとした鮮烈な作品を残した一方で、貧しい生活も短くなかったこと。故郷柳川が詩歌の原点だとして、いよいよ故郷に戻った際、熱い歓迎を受けたこと。今でも柳川では白秋の命日を偲び、水上パレードの白秋祭がひらかれている。やっぱり、偉大な人物だ。

柳川藩主立花邸。

北原白秋生家。奥に記念館がある。

旧三橋町(柳川市)

時間も限られていたので、船は迷っていたけれど、旧三橋町の松月乗船場で、ちょうど乗船の時間と重なったので、川下りの船に初めて乗った。北原白秋の映像を見たときに、船に乗りたい気持ちも人一倍強くなっていたから、ものすごくいいタイミングだった。乗り場は旧三橋町で、そこから堀割に入っていくと、柳川市に入るので、写真は分けることにする。

1時間ほどの川下りの後、立花邸で降りてもう一度松月乗船場に戻り、三柱神社へ参拝し、三橋庁舎辺りを散策した。

松月乗船場。
靴を脱いで。
陽気な船頭さん、お世話になります。
この川を左へ曲がると、やがて川から堀に入る。続きはあとで。
川下りの後、三柱神社へ参拝。

西鉄柳川駅。

三橋庁舎。

柳川市〜川下り編〜

初めての川下り。冬だからこたつ船になっていた。韓国や台湾のお客さんが数人、半分が日本人といった具合で、船頭さんは陽気なおじさんだ。歌を歌ってくれたり、ダジャレを挟んでくれたり、もちろん柳川のまちのことを教えてくれた。賑やかで楽しい時間だった。「あれは北原白秋先生の弟子、宮柊二の歌碑です」という紹介があったときは、「魚沼市で、宮柊二記念館に行ったなあ!」と小さな話がつながってうれしくなった。

やっぱり、川から見る景色はまた違っていて、刹那的な時間だ。

サギだ。
この細い水路も進む。

慣れてて、飛んでいかない。
川面のゴミなどを回収する方々。

船頭さんが話をストップすると、すごく静かで、それもとても良かった。
船を下りて、最初の船着場まで戻る。古着屋の西海岸だ。
放課後。

というわけで、今日の散策はここまで。このあと柳川市から福岡市街地まで移動して、夜を迎えました。カブなので2時間半ぐらいかかったかな。明日は午前中の船に乗って、壱岐島へ向かう予定です。

本日のひとこと
園児さんがお出かけしている姿ってよく見かけるけれど、柳川で先生たちと一緒に5人の園児が川釣りをしていた。釣りは初めて見た。
(終わり。次回へ続きます)

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