今日までの旅メーター
訪れた政令指定都市の区の数 【59/175】
訪れた旧市町村の数【540/2,093】 総計【599/2,268】スーパーカブの総走行距離
16340km
東北最後の旅は、2446段の羽黒山を登り切って。(2023年10月12日(木)―189日目)
東北地方に最初にやってきたのは、6月24日のことでした。福島県で蛍まつりが開かれていた時期で、まだ初夏の兆しだった。それが、今では夏を通り越して、すっかり肌寒くなりました。原付を置いて4回ぐらい旅を中断しているし、北海道一周も3週間ほどかかったので、東北地方にはずいぶん長く滞在したなあと思います。
それも、いよいよ今日が最後。鶴岡市が最後の舞台になりましたが、それもまた、なるほどなと思いつつ。それは、羽黒山の石段詣があったから。石段はのべ2446段あって、ほんとうにキツいので、これを登り切ってこそ、東北の旅も終えられると解釈したわけです。
それでは、振り返っていきましょう。
鶴岡市
鶴岡市には、今年の2月にも訪れました。
雪があたりまえに積もっている暮らしは、ぬくぬくとした瀬戸内気候で育った自分にとってはとにかく新鮮です。今回は荘内神社を中心とした市街地を、散策しました。荘内神社の参道の真上に朝日が昇り、照らされる神社もまちも、はっきりと陰影をつけていました。
旧藤島町(鶴岡市)
鶴岡市街地を北東の方角に抜けていくと、途中で市街地から田園風景の景色に一変します。現在は同じ鶴岡市でありながらも、違うまちへ進んでいく感覚。やがて小さな市街地が現れると、そこが旧藤島町だとわかります。藤島歴史公園には藤の花が全体に広く植えられていて、今の時期は咲いていないですが、藤の花が大切にされていることが伝わってきます。公園の隣には明治時代に創建された、郡庁舎と議事堂を含む東田川文化記念館が青空に映えていました。時間が早くて施設内には入れませんでしたが、ここに多くの人が集まっていたのだろうと想像すると、建物が生きているように感じられます。
旧羽黒町(鶴岡市)
旧羽黒町方面に近づいていくと、徐々に山が近づいてきます。低い山と高い山が連なり、低い山の方はうっすらと霞んでいて、美しくも険しさを感じ、少し身構えてしまう。
羽黒庁舎が位置する市街地を訪れたあとに、羽黒山の出羽三山神社を目指しました。「出羽三山」は羽黒山に加えて、月山と湯殿山を合わせた三つの山を指します。月山はまだ登ったことがないけれど、すでに今年は閉山。湯殿山も湯殿山神社の鎮座する山頂へ行きたい気持ちがありましたが、道中の有料道路が原付通行不可のため、見送ることに。
そして、羽黒山の麓へ。羽黒山の山頂に鎮座する出羽三山神社にも有料道路がありますが、原付は通行不可。参拝するには、2446段の石段を登るしかありません。ここ数日、登ろうかどうか考えました。2446段を軽く見てはいけないのです。5年前に登ったときは軽い気持ちで登って、もう、たいへん痛い目に遭いました。なので、心の準備をして登ったわけですが、すぐに汗が全身たらったら。特に石段が急なときは、何かを考える隙間もない。修験道は、対外的な何かを得るためではなく、自分とただ向き合うものです。
いったん急な石段を登り切って、足が前へ動かずに休憩したとき、鳥の鳴き声と、早まった心臓の鼓動だけが聞こえたのでした。
五重塔までは、スイスイ歩けます。ここからが、本番なんですよね。油断なりません。
旧櫛引町(鶴岡市)
羽黒山を下山したあとも、参詣で満足してはいけません。まだまだここから、ぷるぷるした足で旅を再開します。次にやってきたのは、旧櫛引町。内陸の東側に限らず、西側も山が近づいてきて、鶴岡市街地の平野部とは気配が異なっていました。
庁舎を訪れたとき、どこからか良い匂いが漂っていて、探してみるとラーメン屋さんでした。「えびみそラーメン」で昼食に。明るい女性の店主が切り盛りされていて、ラーメンを食べていると、地元のおじいちゃんが食材を持って店主に贈っていました。いい光景だ。
旧朝日村(鶴岡市)
旧櫛引町からさらに山あいを進んでいくと、旧朝日村に入ります。湯殿山山頂への道も有していて、山頂には湯殿山神社本宮が鎮座します。湯殿山といえば、「語るなかれ」「聞くなかれ」です。写真も撮影禁止、土足厳禁の世界。「どうだった?」と聞くものでもなければ、語るものでもない。すべてが体験の世界。いつか、ね。
今回は市街地を散策しました。
旧温海町(鶴岡市)
何より驚いたのは、旧朝日村の市街地から旧温海町の市街地まで、40km以上離れていたことでした。同じ鶴岡市でも、距離があるのだなあと。もし、このルートで通勤している人がいたら、往復80km走ることになるわけです。
内陸を進むことが多かった1日ですが、最後に旧温海町の日本海側へやってきました。工事中のトンネルを抜けたところで、日本海の青い海と削られた岩盤、その岩にぶつかる白波の世界が現れます。
さらに、眼前に海が広がる国道7号線から、温海川の上流へ進むと、あつみ温泉が現れます。日本海から温泉街までたった2kmほどなのに、いかにも山深い景色に驚きました。目隠ししてここに来たら、ものすごい山間部に来たと勘違いしそう。海まですぐそこなのに。
というわけで、今日の散策はここまで。このあと新潟県村上市に入って、まちも少し巡りましたが、明日まとめて更新します。
これで、東北地方の旧市町村をすべて訪れることができました。初夏から初秋まで、長かった。でも、やっぱりこの散策を今やることができて、ほんとうに良かったと思うのです。自分だけが得るものを増やしたいとは、まるで思いません。出会った景色を、少しでも良い形で、偉そうなことは何もいえない立場だけれど、残しておきたいと思います。
東北地方のみなさん、ありがとうございました。
先日、山形市のY大学の学生が、学年が上がって米沢市のキャンパスに移ることを、「渡米」と表現すると聞きました。
<旅を応援してくださる方々へ&関連ページ>
今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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旅についての心境を、週に一度日記形式で書いています。ブログにまとめきれなかったことも残せたらと思います。
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