ふるさとの手帖

市町村一周の旅

たたら製鉄の歴史が残る土地。雲南や奥出雲へ。【旧市町村一周の旅(島根県|6月25日―445日目)】

たたら製鉄の歴史が残る土地。雲南や奥出雲へ。【旧市町村一周の旅(島根県|6月25日―445日目)】

今日は飯南町を出発し、雲南市や奥出雲町へ向かっていきます。いずれも島根県の中山間部に位置する町で、特に旧吉田村のたたら製鉄の歴史は、非常にインパクトが強かったです。それでは、振り返って行きましょう。

  • 朝の時間。(旧赤来町)
    朝の時間。(旧赤来町)
  • 出発。
    出発。

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【87/171】

87/171
50.88%
訪れた旧市町村の数【1150/2,094】
1150/2094
54.92%
総計【1237/2,264】
1237/2264
54.64%

スーパーカブの総走行距離
30431km

旧頓原町→旧掛合町→旧吉田村→旧仁多町→旧横田町、の5つ。

今日の旅先のこと
  • 旧頓原町へ。
    旧頓原町へ。
  • 頓原川が流れる。
    頓原川が流れる。
  • 滝のような音だった。
    滝のような音だった。
  • 町並みを歩く。
    町並みを歩く。
  • かつて頓原には陣屋が置かれていた。
    かつて頓原には陣屋が置かれていた。
  • 家の玄関に飾ってある家がすごく多かった。
    家の玄関に飾ってある家がすごく多かった。
  • 頓原ラムネ銀泉。
    頓原ラムネ銀泉。
  • 道の駅とんばらにて。
    道の駅とんばらにて。
  • 古本が100円で。
    古本が100円で。
頓原町とんばらちょう飯南町いいなんちょう(1/5)
飯南町の旧赤来町を出発し、旧頓原町へ向かう。支所に着くと健康診断の健診車が停まっていた。駐車場では猫がゴロンとしている。そのまま市街地を歩いた。頓原川の段差に近づくと滝のような音で、山がたくわえた雨水はまだまだたっぷりある。昔の面影を残した町並みが広がり、カーブを抜けると、ずっと奥までそれが続いていた。かつて町に陣屋が置かれていたというが、立派な町だ。よく見ると、家の玄関に小さな丸いしめ縄があちこちで飾られていた。
移動し、道の駅とんばらに入ると、本棚がいくつか置かれていて、“古本100円”とあった。赤瀬川原平の本が目に入る。欲しいが、今カブにはまだ積読があるので我慢。

  • 八重滝へ。
    八重滝へ。
  • 清流だ。
    清流だ。
  • 竹林も。
    竹林も。
  • 一番手前の猿飛滝へ。
    一番手前の猿飛滝へ。
  • なおしてくれてありがとう。
    なおしてくれてありがとう。
  • 龍頭が滝へ向かおうとしたが、
    龍頭が滝へ向かおうとしたが、
  • 単独行動なので引き返した。
    単独行動なので引き返した。
  • お疲れさまです。
    お疲れさまです。
  • 市街地へ。
    市街地へ。
  • バス停にて。
    バス停にて。
  • 掛合総合センター。
    掛合総合センター。
  • 太鼓だ。
    太鼓だ。
掛合町かけやまち雲南市うんなんし(2/5)
道なりに10km北へ下っていく。広島県では日本の滝100選に選ばれた滝がひとつだけあったが、旧掛合町にはふたつある。ひとつは八重滝で、清流を8つの滝が連続して流れているので、八重滝だ。駐車場にカブを停め、遊歩道を進もうとするも、熊出没の看板が目に入る。駐車場にはほかの車がなかった。この先どれだけ進んでも、誰とも会わない。そこで、駐車場に来るまでにあった猿飛滝を思い出した。駐車場に着く手前だし、近くには工事をしている人たちもいた。さっきは何事もなく通り過ぎたのだった。この滝なら安心できる。猿飛滝の近くへ降りていくと、なかなかの迫力だ。解釈によって、目に見えるものの印象が変わっていて、自分に恥ずかしさも感じた。日常生活なら、もっと気をつけなきゃと。
もうひとつの龍頭が滝にも向かった。同じく遊歩道を進みたいところだったが、階段を降りていく手前で、やはり熊の出没地域という看板が嫌である。しかも、平日なので誰もいないのだ。臆病なので断念させてもらった。その後は市街地を散策する。

  • 旧吉田村へ。
    旧吉田村へ。
  • 田部家土蔵群だ。
    田部家土蔵群だ。
  • 白が眩しい。
    白が眩しい。
  • 知らなかったなあ。
    知らなかったなあ。
  • 彩り。
    彩り。
  • 鉄の歴史館へ。映像の和鋼風土記がとても良かった。
    鉄の歴史館へ。映像の和鋼風土記がとても良かった。
  • 真砂砂鉄。
    真砂砂鉄。
  • 菅谷たたら山内。製鉄所である高殿。大きな建物だった。
    菅谷たたら山内。製鉄所である高殿。大きな建物だった。
  • 元小屋。「たたらの事務所+支配人の住居+鉧を砕く作業場」
    元小屋。「たたらの事務所+支配人の住居+鉧を砕く作業場」
  • すごい文化だなあ…。
    すごい文化だなあ…。
  • こけら葺きの屋根。
    こけら葺きの屋根。
  • 高殿の中に入った。
    高殿の中に入った。
  • ここで玉鋼がつくられる。
    ここで玉鋼がつくられる。
  • 解説してもらった。事前に見ていた映像と合わせて理解が深まった。
    解説してもらった。事前に見ていた映像と合わせて理解が深まった。
吉田村よしだむら(雲南市)(3/5)
鉄の歴史博物館を目指して進み、最後に細い道へ入ると、景色が一変した。コンクリートの道から、白い石畳の道へ。白壁の土蔵が並び、反射で眩しい。ここは田部家というたたら製鉄を家業にした鉄氏が築いた町並みが、まだ色濃く残っている。
博物館に入り、最初に「和鋼風土記」という映像を観た。50年前につくられた映像である。その50年前、すでにたたらの技術は途絶えていた。しかし、当時80歳から90歳のおじいさんたち数人が、たたらの知識を持っていた。彼らを中心に、原料となる砂鉄の採集から製鉄にいたるまでの再現に挑んだ映像記録だった。とにかく、この映像は衝撃だった。これまでたたら製鉄の遺跡を旅で見る機会もあったが、実際の様子までは掴めなかった。しかし、この映像にはほんとうにゼロから、どうやってたたら製鉄をおこなっていくのか、つぶさに残されていた。それも、「ちょっと再現してみました」のレベルではない。「ほんとうに、こうやってつくる」というもので、ここまで大変な作業だとも思わなかった。
唯一、たたら製鉄の地区が保存されているのが、菅谷たたら山内である。ここで、係のおじいさんに解説してもらいながら、地区を散策した。さっきの映像で見たことがより実像として掴めて、特に高殿と呼ばれる製鉄場は日本でここにしか現存していない。いろいろなことを目で感じた。「もののけ姫といえば、たたらですね」とおじいさんが言ったけれど、解釈は複雑だ。たたらがもたらした恩恵があれば、森を大きく破壊した一面もある。森を再生し、棚田を築いた側面もある。簡単な答えを出すことはできない。歴史の功罪は、常に表と裏が隣り合わせだ。

  • 大きな仁多庁舎。
    大きな仁多庁舎。
  • 市街地を歩こう。
    市街地を歩こう。
  • 斐伊川と。
    斐伊川と。
  • 鬼の舌震へ。
    鬼の舌震へ。
  • 遊歩道を進もう。
    遊歩道を進もう。
  • 奥の橋まで降りる。
    奥の橋まで降りる。
  • 山をずんずんと。
    山をずんずんと。
  • 岩が見えてきた。遠目からでも巨大。
    岩が見えてきた。遠目からでも巨大。
  • 清流と岩と。
    清流と岩と。
  • ほんとうに大きな岩がたくさんあった。
    ほんとうに大きな岩がたくさんあった。
  • 自然はすごい。
    自然はすごい。
仁多町にたちょう奥出雲町おくいずもちょう(4/5)
30分ほど移動し、旧仁多町へ訪れる。斐伊川沿いに再び市街地が現れた。立派な仁多庁舎に、日本農業遺産認定と、世界農業遺産を目指す横断幕がある。町を歩いていると、糸原という名称が多いことも感じた。この後訪れる予定の、絲原記念館で確かめられるだろうか。
鬼の舌震したぶるい、という強烈な地名の観光地にも向かった。どうやら山を歩くらしい。再び嫌な予感がよぎるも、ほかにも観光客が来ていたので、行けると思った。橋から見下ろす谷は深く、足がすくむ。点のような川底まで、1kmほど歩いて降りていった。川には巨大な岩がゴロゴロと転がり、見たことのない景色が広がっている。往復する間、頭が蜘蛛の巣だらけになった。

  • 絲原記念館へ。
    絲原記念館へ。
  • 立派な土地。
    立派な土地。
  • 絲原家の歴史に触れる。
    絲原家の歴史に触れる。
  • 敷地内に立派な建物だ。
    敷地内に立派な建物だ。
  • 出雲横田駅へ。太いしめ縄。
    出雲横田駅へ。太いしめ縄。
  • 庭のよう。
    庭のよう。
  • そろばんもあった気がするんだよなあと歩くと、見つけた。
    そろばんもあった気がするんだよなあと歩くと、見つけた。
  • 市街地を散策しよう。
    市街地を散策しよう。
  • ローソン+ポプラではなく、ポプラオンリーで嬉しい。
    ローソン+ポプラではなく、ポプラオンリーで嬉しい。
  • 斐伊川と。
    斐伊川と。
  • 教会もあった。
    教会もあった。
  • 町並みに歴史を感じるなあ。
    町並みに歴史を感じるなあ。
  • 自転車屋さんもあった。
    自転車屋さんもあった。
横田町よこたちょう(奥出雲町(5/5)
絲、という漢字があることも知らなかった。絲原記念館で展示を見る。旧吉田村では田部家がたたら製鉄を営んでいたが、ここでは絲原家がそうだったと。だから、周辺に糸原の名前が多かったことも理解した。名字が糸原の友人も、確か旧横田町出身だったから、そういうことかと。今度会ったら聞いてみたい。
その後、横田市街地を歩く。出雲横田駅には大きなしめ縄が掛けられていて、出雲国がを感じる。そろばんもあったような……と歩いていると、大きなそろばんを見つけた。旧横田町でつくられている雲州そろばんは、全国的にも有名だ。
ほかにも歩いていくと、木造の教会、木でできた灯籠、昔のセブンスターのポスター……。ゆったりとした時間が流れ、小学生たちが元気に下校していた。

というわけで、今日の散策はここまで。前回の旅よりも町の解像度が上がって、歴史ともつながって、この旅をしてよかったとつくづく感じます。
本日のひとこと
鉄の歴史博物館で和鋼風土記(28分)を観て、菅谷たたら山内で高殿(たたらの製鉄所)を見学して、もののけ姫をもう一度観ると、たぶん映画の見え方がすごく深くなります。もののけ姫をもう一度見たいな。

旅を応援してくださる方へ

「どこで暮らしても」の商品ページに飛びます。

今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
写真集の商品ページはこちら

(終わり。次回へ続きます)

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