ふるさとの手帖

市町村一周の旅

穏やかな日常を感じながら。【旧市町村一周の旅(徳島県)|3月28日―722日目】

穏やかな日常を感じながら。【旧市町村一周の旅(徳島県)|3月28日―722日目】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【170/171】

170/171
99.42%
訪れた旧市町村の数【1988/2,101】
1988/2101
94.62%
総計【2158/2,272】
2158/2272
94.98%

スーパーカブの総走行距離
47316km

旧脇町→旧阿波町→旧山川町→旧美郷村→旧川島町→旧鴨島町、の6つ。
今日の旅先のこと
徳島県の旅もかなり後半になってきた。今朝は雨が多少心配だったものの、出発する頃には止んでくれたので、ひと安心。脇町から阿波市、吉野川市の旧市町村へ。それでは振り返っていこう。


脇町わきまち(美馬市)(1/6)
雨の様子を見ていたので、いつもより遅く9時過ぎに出発した。旧脇町といえば、「うだつの町並み」である。町並み保存区に指定されていて、観光客も多く訪れる人気の場所だ。藍の集散地として栄えたことから、町並みでは栄華の象徴だった「うだつ」を見ることができる。

訪れたのは朝の時間帯だったので、まだ観光客はまばらで、地元の方々の日常がゆっくりと流れていた。通りからはピアノの音が聞こえてきたり、春休みの子どもたちが仲良く歩いていたり。町並みから少し外れたところまで歩いてみると、昭和を感じる昔ながらの町並みも広がっていた。

栄えた歴史があってこそ、今のゆったりとした時間もあるわけで、歴史の流れというものは不思議だなあとつくづく思う。
吉野川だ。
そして、うだつの町並みへ。
うだつが上がるって、いいなあ。
昔の電話かな。
松ぼっくりだ。
オデオン座、ってパリにもあるみたい。
何かが確かに、いた。
阿波町あわちょう(阿波市)(2/6)
次に向かったのは、旧阿波町だ。前回の旅でも訪れた「阿波の土柱」へ向かってみる。駐車場からは土柱の上に立ってみるか、横から見るか、という選択肢があって、前回と同じように横から見てみようと思って進んでいくと、大きな砂の壁面がジグザグと不規則に展開している。前回はもう少し木々に囲まれていたイメージだったけれど、今回はあまりそのように感じなかった。6年経ったうちに変化があったのか、ただ印象が違うのか、どっちなのだろう。すべてが砂というわけでもなく、ところどころに草も生えていて、てっぺんには木々も。ただ、日本は広いといっても、このような砂の景色はここにしかない気がするなあと、あらためて思ったのだった。

阿波支所の周辺も散策してみると、吉野川からは少し離れており、北側の山も遠く、かなり広い緩やかな斜面だった。自動車学校が近くにあるらしく、教習車や検定車がたくさん通るので、地元の方の車も譲り合いや焦らない雰囲気を感じた。
阿波の土柱の駐車場にて。
椿がたくさん散って。
阿波の土柱。やっぱり、ここにしかない風景だよなあと。
阿波町をもう少し散策していく。
田んぼというよりも畑が多いかなと感じる。
山川町やまかわちょう(吉野川市)(3/6)
旧阿波町から吉野川を渡って、旧山川町に入った。ただ、橋の上で浴びる風がかなり強くて、ウィンカーを出して後続車に何度か抜いてもらった。カブだとちょっと身の危険を感じて、ほんとに10キロぐらいしか出せなくて、徐行でゆっくりと。

そして、なんとか無事に橋を渡ることができ、川を渡ってすぐのところにある、「水辺の楽校・バンブーパーク」へ。こんなにも竹林があるなんて、と驚くほど広々とした竹林が広がっていた。また、特に川の近くは風が吹きやすいけれど、そうした風を竹が受け止めるので、竹林の下ではあまり風を感じず、竹林はさわさわさわ〜と揺れる音とともに、大きくしなるのであった。嵯峨嵐山の竹林は観光客が訪れる場所だけれど、ここは地元の方々が憩う竹林で、そうした違いも面白いなあと思う。
バンブーパークにやってきた。
さわさわさわあ、と風に揺れて。
山川地区総合センター。
山も少し近くなって。
高台から。
美郷村みさとそん(吉野川市)(4/6)
最初にまちのことを調べたときには、具体的な地理感覚をつかめなかったけれど、旧美郷村は吉野川流域から少し離れたところにあった。内陸へ進み、トンネルを抜けると、およそ旧美郷村への入口だ。桜が満開を迎えていて、道路沿いを華やかに彩っていた。

「みさと屋 美郷物産館」にも立ち寄って、お昼ごはんをいただくことに。お蕎麦にしてみたけれど、うどん麺ぐらいの太さでびっくりした。たぶん、今までの蕎麦人生の中で、いちばん太い。やっぱり太いぶん、簡単にちぎれる。でも、味は蕎麦なのである。お出汁もやさしくて美味しかったなあ。隣の席では地元のお母さんたちがゆったりとおしゃべりしながらご飯を食べていた。「桜、満開やなあ。あっという間に散るでなあ。でも、新緑も綺麗だわな〜」と。

また、「高開の石積」という場所にも向かってみた。市街地を抜けて、ものすんごく急な坂道を、ものすんごく登っていくので、不安もよぎったものの、やがて木々を抜けて景色がひらけて、そこに天空の石積の世界が現れたのだった。一面が石積で覆われていて、ひっそりとした暮らしが広がっている。お墓の名前も高開さんだったので、高開さんが築いていった土地なのかもしれない。もしそうならば、すごい根性である‥‥。こういうところに、知られざる暮らしがあるのだなあと。
美郷物産館へ。
写真もいい。
お蕎麦がうどんぐらい太かった。
高開の石積みへ。
眺望もすごい。
ほとんどが石積みだ。
そして、ひとつ手前の集落にて。
川島町かわしまちょう(吉野川市)(5/6)
再び旧美郷村から吉野川沿いの暮らしへ戻って行こう。次に向かったのは旧川島町。道路沿いの雰囲気も少しずつ徳島市に近づいてきた感じもする。

そして、川島庁舎の周辺を散策したのちに、川島城跡へ向かってみた。川島城は中世の山城で、現在は模擬天守が建っている。その近くに「岩の鼻展望台」なるものがあるみたいで、場所を探すもののなかなか見つからず、行ったり来たり。ようやく神社の奥で展望台へと続いていく道を見つけて進むと、目の前に壮大な吉野川が現れた。

緩やかで巨大な川の流れが、ちょうど右側へ大きくカーブしているところだった。川幅の広さを見ていると、「これは、人間業じゃないなあ。自然でしか成し得ない美だ」と、脳裏には屋久島の太鼓岩からの景色が思い出されるのだった。一見大きく違うように見えるけれど、共通点があるように感じる。岩の展望台から、自然のつくりだす圧倒的なものを眺めて。
旧川島町へ。
吉野川沿いの道。
川島城。
中には入れなかったけれど、雰囲気があった。
岩の鼻展望台へ。
自然は偉大だなあと。
鴨島町かもじまちょう(吉野川市)(6/6)
最後にやってきたのは、旧鴨島町だ。「江川・鴨島公園」に立ち寄ってみると、“鴨島”というのは地名そのもので、“江川”はこの公園を流れている川の名前だということが分かった。そして、地元の人たちがこぞって花見をしているのだ。大人たちは会話に花を咲かせていて、子どもたちはたのしそうに遊び回っている。カップルはベンチに座ってゆっくりと。屋台も並んでおり、たこ焼きや綿菓子屋さんと、地元の人たちの春のひとこまが流れていて、とってもいいなあと。

その後、鴨島駅周辺も歩いてみると、昔ながらの商店街が残っていた。もちろん営業しているお店もあって、鴨島には鴨島の時間があるのだなあと。少し歩いて国道沿いまで出ると、やはり今どきのチェーン店が並ぶ光景に変わるので、地元の人かどうかによって、見えている景色も少し違うのかもしれないと思ったのだった。
江川・鴨島公園へ。
江川もまた綺麗だ。
鴨島駅まで。
懐かしい雰囲気。
というわけで、今日の散策はここまで。夜は徳島市で知り合いのご家族のおうちに一泊させてもらいました。実は振り返ってみると、今回の旅の初日、徳島から東京に乗る便の船をわざわざ見送りに来てくださったのが、そのご家族でした。2年前のことで、ようやく今になって、あらためて徳島県を巡ることができてご挨拶することができ、ほんとうにありがたく嬉しかったです。

翌日は結婚式があり、移動もあるので2日間休ませていただきました。
本日のひとこと
たいていのことはなんとかなりましょう。そして、実際になんとかなっているならば、それは、とてもありがたいことだと感じます。
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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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(終わり。次回へ続きます)

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