ふるさとの手帖

市町村一周の旅

かつての宇摩郡の暮らしを訪ねて。【旧市町村一周の旅(愛媛県)|3月9日―703日目)】

かつての宇摩郡の暮らしを訪ねて。【旧市町村一周の旅(愛媛県)|3月9日―703日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【170/171】

170/171
99.42%
訪れた旧市町村の数【1887/2,101】
1887/2101
89.81%
総計【2057/2,272】
2057/2272
90.54%

スーパーカブの総走行距離
45137km

新居浜市→旧土居町→旧伊予三島市→旧川之江市→旧新宮村→旧別子山村、の6つ。
今日の旅先のこと
昨晩、宿のエレベーターで出会って会話をして、すごく優しいなと感じた年配のご夫婦が、朝、お遍路の格好で出発していった。昨日は私服だったのでお遍路さんだとは気づかなかった。感覚の問題だけれど、ああいう人がお遍路さんなんだ、と思うとすごくかっこいいなあと思ったし、この土地にはお遍路さんがいて、日々、どこかを歩いている‥‥と思うと、自分もがんばらなければと思うばかりだ。


新居浜市にいはまし(1/6)
8時前に西条市街地を出発し、新居浜市へ向かう。カラッと晴れた朝で、四国山脈には霧がかかっているように見える。とてもダイナミックな風景である。

そして、新居浜駅周辺に行こうと思っていたところ、「滝の宮公園」が気になって立ち寄ってみた。すると、散歩している方々が多く、地元の方々のゆったりした日常が流れている。小高い丘になっていて、自分も坂を登ろうかと軽い気持ちで進むと、かなりの急坂で、登りきったあとは全身から湯気が出そうであった。

目の前には、素晴らしい町並みの風景が広がった。新居浜市街地を一望できるのだ。登りきったあとにこの景色を見られるのであれば、誰だって満足できると思った。往復の間にすれ違った方たちも挨拶をしてくれて、朝のやさしい日常である。
滝の宮公園へ。餌やりだ。
四国山脈は霧で霞んでいる。
ゴール。町並みすごいなあ。
新居浜駅そばのあかがねミュージアム。
新居浜駅。
土居町どいちょう(四国中央市)(2/6)
次に向かったのは、旧土居町だ。南側に聳える山々の迫力にとにかく圧倒される。新居浜市街地では少し山が遠かったものの、ここではすぐそばにある感じだ。新潟の糸魚川辺りの風景と記憶が重なった。

そして、土居窓口センターへ訪れてみると、隣に暁雨館という地域の資料館があり、建物も昔ながらの雰囲気でカッコよかったので、立ち寄ってみることに。ここで、旧土居町を含む地域は、かつて宇摩郡に属していたことを知った。小中学生の自由研究も展示されており、そのタイトルも「わたしが見た宇摩の歴史と先人たち」と。特に銅山川の疏水事業についてのエピソードはとても勉強になった。なぜ、製紙産業が発展したのかという歴史に大きく関わるからだ。
旧土居町へ。
奥に雪山が。
立派な木々だった。
暁雨館へ。
「わたしが見た宇摩の歴史と先人たち」勉強になった。
周辺を散策しつつ。
疏水がとても尊いということ。
険しい山々だなあ。
伊予三島市いよみしまし(四国中央市)(3/6)
旧土居町から、旧伊予三島市へ。前回の旅では、四国中央市を訪れた際に市街地を巡っていなかったので、今回は歩いてみたいなあと思っていた。伊予三島駅の周辺までやってくると、商店街とアーケード街が広がっていて、とても懐かしい雰囲気である。南側には山々も感じられるし、旧土居町よりも海が近いのも印象的だ。さらに東の方角には大きな工場群が見えて、煙突からモクモクと煙が出ている。製紙工場だと思うけれど、この風景は以前の旅でも眺めていたので、やっぱりこのまちらしい風景だなあと。

ちなみに、四国中央市で製紙業が発展したのは、銅山川から疏水を引く大事業に身を捧げた人がいるからこそであるということを、暁雨館の小学生の展示から知った。今、目に見えることばかりで何かを判断しようとしてはいけないよなあと思う。あたりまえに、今があるわけではない。
伊予三島駅。
商店街へ。
工場からの煙。
このあと、最後に具定展望台にも立ち寄った。
川之江市かわのえし(四国中央市)(4/6)
次に向かったのは旧川之江市。伊予三島だけではなく、川之江も「市」だったのだなあと。まずは、川之江城跡へ。じいじの犬を小さな娘さんがリードを持ち、家族でゆっくり散歩しているところにも出会って、とても微笑ましい。

そして、天守からは市街地がとてもよく見えた。山の麓までぎっしりと住宅地で、その山の奥にはさらに巨大な四国山脈が壁のように聳え立ち、二重、三重と取り囲むような壮大な景色だった。また、東の山の向こう側は、きっと香川県。それも5kmほどの距離で県境だ。行きたいけれど、まだ、まだまだ‥‥。横着せず、ぐるっと一周して向かうんだ、と自分に言い聞かせる。

また、川之江市街地も散策してみた。アーケードの商店街が縦横に通っていて、川之江駅まで通じている。近くの公園で遊んでいる子どもの様子にもほっこりした。
川之江城へ。
今は模擬天守。
海と工場と。
住宅がびっしりだ。
野球場からの声もここまで届いた。
市街地へ。アーケード街。
この飾り物がとても多かった。
さっき訪れた川之江城。
新宮村しんぐうむら(四国中央市)(5/6)
ここからが、今日の旅の山場となってくる。旧新宮村は北側に法皇山脈、南側に四国山脈が走る山腹の村だ。

すなわち、川之江から向かうにあたって、法皇山脈を越える必要がある。これがとっても険しいのだ。いや、実際のところ、四国横断自動車道を利用すれば、なんてことはないのかもしれない。ただ、下道は非常に険しい坂道を長く登っていくので、かなり緊張した。ようやく最後にトンネルを通過し、旧新宮村へ。

トンネルを抜けてからはかなり長い坂を下って、新宮窓口センターのある地域へ。目の前にも急峻な山地があるし、振り向けば法皇山脈の険しさもすごくて、ものすごい地形の中にいると思った。住宅のほかには茶畑も広がっていて、道の駅の名前には霧の森とある。きっと、霧が発生しやすいのだろうなあと。これだけ険しい山に囲まれていたら、それも頷ける。

ちなみに、この道の駅に「霧の森菓子工房 新宮本店」があることを知らなかった‥‥。霧の森大福は、一度だけ食べたことのある超大人気の大福である‥‥。くぅ!!
旧新宮村へ。茶畑だ。
ものすごい険しい山に囲まれた感覚。
新宮窓口センター。
道の駅 霧の森、行けばよかったなあ。
朱色の橋。
銅山川と。
別子山村べっしやまむら(新居浜市)(6/6)
とにもかくにも、今日の旅の最大の山場は、旧別子山村だった。まずは雪である。愛媛県の道路のライブカメラを見ていて、おそらく愛媛県の中で、かなり雪が積もりやすいところだと思った。気温もいつもどの地域よりも低くて、雪も簡単に積もっていたから。

だから、旧別子山村へ向かう道に雪が残っていたらむずかしかったけれど、訪れる日と、ここ数日の天気と、ライブカメラを見て、おそらく大丈夫なはずだと進んでいった。

次に、距離である。むちゃくちゃ遠い。たとえば、別子という言葉を聞くと、「別子銅山」を思い浮かべる人もいると思うけれど、別子銅山は新居浜市の地域で、旧別子山村ではないのだ。旧別子山村は法皇山脈を越えた先であり、もっと遠い。

というわけで、旧新宮村から旧別子山村へ。法皇山脈内の道を通るか、一度市街地へ出て、山へ入り直すかの二択で、最初だけ前者を選んだけれど、うねうねの激しい道が30kmも続きそうだったので、一度北側の平野部へ出ることにした。道も細くて運転にものすごく体力を使うと思ったから。何度も山道の往復になってしまうのは、カブにとっての負担も考えると申し訳ないけれど、安全に大回りに。

伊予三島の具定展望台をさらに越えていき、トンネルを越えて、旧新宮村の地域へ入り、さらに西進して旧別子山村を目指す。標高は徐々に上がっていき、途中からは路肩に少しずつ雪が見え始めた。背の高い雪山も近くに。そして、とにかく遠く、やっと、やっと旧別子山村に入った。景色は険しい山に囲まれた谷の風景である。

ようやくの思いで支所につくと、建物の周辺には雪が残っていて、日陰の道はまだ除雪されていないところもあった。そして、体が冷え切っており、奇跡的に公衆トイレがあったのでお借りしたあとで、パトカーもやってきていて、お巡りさんに職質というよりも、どうして別子山へ? という流れになって、そりゃあそうだとも思ったし、「とにかくここへ来ることが念願で、それ以上の理由はなくて、ただありがたいです‥‥」と素で答えた。すると、お巡りさんは「下の遊歩道もありますよ」と教えてくれて、雪に気をつけながら降りていくと、銅山川の美しい流れと、残雪のある岩肌は特別な景色だった。お巡りさんありがとう! 空気がものすごくおいしくて、思いっきり深呼吸をした。
ものすごく遠かったけれど、やっと旧別子山村へ入った。
別子山公民館。
そして、支所。
雪がたくさん残っていた。
銅山川のそばへ。
美しいなあ。
ここにも暮らしがある。
旧別子山村からは、明日の旅路のルートを考慮して、東温市まで向かった。まずは旧別子山から法皇山脈を抜けるにあたって、大永山トンネルを抜ける道がいちばん雪が多いとお巡りさんに聞いて、何より安全第一で、来た道を戻る。そうして東温市まで向かうと、100kmの移動になった。無理なく、焦らず‥‥。まずはようやく伊予三島へ抜けたとき、具定展望台が通り道だったので立ち寄った。以前の旅では、「具定展望台は遠いな‥‥」と思って訪れなかったけれど、今回は、具定展望台に訪れるならすぐじゃないか‥‥ここよりも山間部がどれだけ遠いことか‥‥という気持ちになった。ともかく景色は絶景で、ありがたいと感じるばかりであった。
具定展望台へ。
大絶景だ。
瀬戸内海はすごいなあ。
その後、ゆっくりゆっくりと進み、無事に東温市まで到着することができ、ほんとうにホッとした。夜はオンラインで小さな打ち合わせもあって、疲れた表情が出てしまっていたかもしれず、その点は大反省である。
東温市へ。無事に着いてよかった。
本日のひとこと
旧別子山村では、訪問した後にも雪が数回積もっているので、訪れたタイミングとして、ほんとうにありがたかったと感じるばかりです。
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(終わり。次回へ続きます)

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