ふるさとの手帖

市町村一周の旅

初めての景色がまだまだ続く。【旧市町村一周の旅(大阪府)|1月14日―649日目)】

初めての景色がまだまだ続く。【旧市町村一周の旅(大阪府)|1月14日―649日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【127/171】

127/171
74.27%
訪れた旧市町村の数【1809/2,099】
1682/2099
80.13%
総計【1809/2,270】
1809/2270
79.69%

スーパーカブの総走行距離
41932km

(中央区)→大正区→浪速区→港区→此花区→福島区→西区、の6つ。
今日の旅先のこと
昨夜は神戸から戻ってくると、成人式を終えた若者がたくさんいて、眠らない街になっていた。自分もあの頃は、ふわふわした気持ちがあったことを否定できない。で、また10年経てば、今の自分に対して、“あの頃の自分は〜”、と思うのだろう。生きることはそういう積み重ねだし、その積み重ね方に、その人らしさがあるのだろうとも思う。

中央区ちゅうおうく(0/6)
朝は8時過ぎに宿舎を出た。東梅田駅まで歩いて、谷町線に乗る。今日は連休明けの平日で、さすがに通勤ラッシュの満員電車。それも想定してカメラ以外はぜんぶ置いてきたので、なんとか切り抜けられそうだ。谷町四丁目でどっさぁと人が降りて、ぼくは次の谷町六丁目駅で降りる。

駅からは空堀商店街へ歩いていった。空堀商店街は人にも勧められていたし、自分も気になっていたのだ。途中、商店街のそばに坂道があって、これまで大阪では坂道と出会わなかったことに気付かされる。ああ、粉物の良い匂いがしてきた。朝なので八百屋さんや魚屋さんが準備に追われていて、その間をホワイトカラーの人たちや、自転車に乗ったママさんが通り抜けていく。また午後の賑わった時間にも来てみたいものだ。

それから心斎橋や道頓堀を抜けてなんば駅まで歩いた。途中、初めて「御堂筋」の道路標識を見て、「御堂筋って、この道路か!」とようやく理解した。阪神ファンなのに、御堂筋がどこを指しているのか、今までわかっていなかったのだ。御堂筋線が地下を通っていることも含めて、その場にやってきて、分かることがいろいろとある。
空堀商店街へ向かう。久しぶりの坂道だ。
午後になれば、また賑やかなのだろうなあ。
金曜日ではなく、金𫞂日。
心斎橋へ近づいていく。
御堂筋だ!
朝の道頓堀は、連休明けで嵐の後の静けさかなと感じた。
大正区たいしょうく(1/6)
なんば駅より南へ進めば浪速区に入るわけだが、先に大正区を目指した。お昼になんばで、友だちと待ち合わせをしていたからだ。

阪神なんば線でドーム前駅まで向かい、尻無川を渡って大正区に入ると、すぐに大正駅がある。この立地を地図で見てみると、少し不思議な形をしている。川は尻無川、道頓堀川、木津川が交差点のように交わっていて、その一角に大正駅と市街地が広がっているのだ。なかなか見かけない、水都の大阪らしい地形だ。

駅の周辺は、けっこう新しく整っているように感じる。ただ、駅の裏手に回ると、昔ながらの住宅街も広がっていて、今昔がどちらも混ざっている感じかもしれない。自転車ですれ違うおっちゃんは、ちょっとガニ股で、ゆっくり自転車を漕ぐ感じが、大阪らしいなあと、どこにその根拠があるのか分からないけれど、感じるなどもした。

なかなか徒歩だとむずかしいけれど、もう少し南へ進めば千鳥公園や、IKEAもあるので、車であれば行動の幅がまた広がるといえるだろう。
スーパー玉出のトラックだ。
尻無川。
IKEAだ!
喫茶店も多い。
大正駅。
浪速区なにわく(2/6)
友だちとの待ち合わせまでまだ時間もあったので、先に通天閣を目指した。10時から営業開始らしく、今、大正区で10時を迎える時間だ。新今宮駅に着いてから、ジャンジャン横丁や新世界を歩いた。

そもそも昨日、茶臼山の天王寺公園から、人生で初めて通天閣を見た。それまで、通天閣がどこにあるのかもはっきり分かっていなかった。知っていたのは、ドカベン
の坂田三吉の「通天閣打法」ぐらいである。小学生の頃、なぜかアニメでドカベンを観ていた。

さて、通天閣の展望台に上がろうと思ってルートに沿うと、まだ開館から30分後にも関わらず、お客さんはけっこういた。すでに10分待ちと書かれている。平日でこの状態なら、休日はすごそうだなとちょっと震える。展望台にはチケットを買ってスッと上がれるわけでもなく、途中のルートで記念の写真撮影もあって、撮影後にすぐ買える仕組みになっていた。1500円で強気の値段だなあと思ったけれど、海外の観光客はすかさず買っていた。確かに思い出に残るよなあ。

そして、エレベーターも何度かあがってようやく展望台に着いた。大阪の展望台はいつぶりだろうというレベルなので、とっても気持ちがいい。好天も幸いして、大阪の市街地はもちろん、明石海峡大橋も生駒山もはっきり見えた。それに、プラス300円の特別野外展望台にしていて、そちらへ上がると屋外で、風がびゅうびゅうと冷たく、微小な揺れもあって足がすくんだ。でも、これだけの景色が見られてとても満足だ。観光の定番スポットだけれど、一度は来てみるものだなあと。

その後、南海なんば駅まで歩いてみたわけだが、途中は日本橋という地名があって驚いたし、電気街もあって、秋葉原とは似ているようで違うような、どちらの要素も感じられた。なんば駅は巨大すぎて友だちの指定してくれた場所に全然辿り着けなかった。でも、なんとか無事に落ち合えて、久しぶりにいろいろと話すことができていい時間だったことは言うまでもない。
新今宮駅へ。
浪速警察署 新世界交番って、かっこいい。
ジャンジャン横丁へ。
天狗がいれば、
虎もいる。
新世界は射的屋さんがすごく多かった。
通天閣の景色って、こういうことかあと。
展望台へ。
本物のビリケンさん、初めまして。
特別屋外展望台。スリリング。
なんば駅へ向かって歩く。
なんばは巨大だなあ。まだまだ全然分からない。
友だちとも会えたのでした。
港区みなとく(3/6)
さあ、なんばから港区へ向かおう。乗ろうと思っていた路線を勘違いしていて、地下を行ったり来たりした。結局メトロを使って大阪港駅へ。

下車してみると、外国人観光客が多い。そしてたぶん、みんなの目的は海遊館じゃないかなあと思われる。近くの天保山観覧車も異様な大きさで駅からも目立って見えた。ちなみに大阪港駅からもう少しだけ西へ進めば、大阪万博会場の「夢洲ゆめしま駅」に着く。大阪に来て、万博が4月13日からはじまることを知って、ええ、もう3か月ないじゃん! と思うのであった。

その後、弁天町駅まで移動して、その周辺も散策してみる。このとき、あれ、そういえばさっきから、地下鉄の駅なのに、駅が地上にないか? と思った。特にメトロの弁天町駅は、もはやモノレールみたいな高さがある。どうやら地下地盤が軟弱で、高架橋になったらしく、東京のように地形の高低差で地下鉄が地上に出ていることとはまた違う事情なのだなあと。
大阪港駅へ。
天保山の観覧車がよく見える。
海遊館には今回は立ち寄らず。
電車で移動。地下鉄だが地上を走っている。
弁天町駅へ。
懐かしい雰囲気。
キリンだ。
此花区へ向かう。
此花区このはなく(4/6)
此花区にある最も有名なスポットといえば明らかで、そう、ユニバーサルスタジオジャパンだ。まあ、どこの区にあるかということはあまり関係ないだろう。そして、今からユニバに行くのかといえば、むーー、ひとりだから足が進まない。まだ人生で一度もユニバに行ったことがない。いつか、行ける日はやってくるだろうか。

そのユニバへの乗り換え駅でもある西九条駅で降りた。弁天町駅から向かったのだが、出発直後に「まもなく西九条駅〜」とアナウンスが入るほどに駅同士の距離は短い。西九条からは、千鳥橋まで歩いてみる。自転車に乗ったママにたくさん追い抜かされるので、生活の場であることを思った。

千鳥橋からも近い、正蓮寺川公園に立ち寄ってみると、龍のモニュメントが建っているかと思えば、その先に万博のキャラクターであるミャクミャクの像が建っていた。こんなところで遭遇するとは。ちなみにGoogleマップにはこのミャクミャクのスポットが登録されていたものの、まだ口コミはひとつもない。たぶん、地元の人たちしかまだ知らないのではないだろうか。ミャクミャクの中央部を覗いた先では、のんびりと散歩している人たちがちらほらといた。
西九条駅へ。
生活の感じ。
龍を発見。
ミャクミャクも発見。
千鳥橋駅近く。
日の丸がドンと。
波のってく?
福島区ふくしまく(5/6)
千鳥橋駅から福島駅へ向かう。西九条駅で乗り換えたとき、ホームでマリオとルイージの帽子を被ったカップルの後ろに並んだ。ユニバ帰りの人たちだけれど、西九条駅はこれも当たり前という雰囲気で、派手な格好が全然浮かないのもいい。

さて、福島駅の周辺を散策した。かなり背の高いビルが密集していて、それもオフィスビルっぽい雰囲気なので、都市部らしさも伝わってくる。それでも歩いていくと、昔ながらの細い路地に店が軒を連ねており、おでんのいい匂いがしたり、コーヒーの香りがしたり、知れば知るほどいいお店と出会えそうでワクワクした。

また、公園では子どもたちが元気いっぱいに遊んでいる。自転車もたくさん停まっていて、つまり、子どもが自転車で来れる範囲に住んでいるということである。住宅街もあるけれど、ビル群だって目の前だ。これは、東京とは少し違う構造だと感じる。東京は住む場所とオフィス街が棲み分けられている傾向にあるけれど、大阪はもっとお互いに距離感が近い。だから、大阪は土地に親しみが湧きやすいし、のびのびと過ごせるような気がした。知らんけど。
福島区へ。
ビルも並ぶ。
福島天満宮。
ABCテレビ。
広い土地が更地だった。何かができるのだろう。
西区にしく(6/6)
福島区からそのまま徒歩で西区へ入った。朝、京セラ付近で一瞬西区にも入ったけれど、場所的にはぜんぜん違う。梅田とは離れる一方で、心斎橋やなんばに近づいていくので、福島区と同様にビル群が続く感じだ。

そんな都市部にも、広い公園がある。うつぼ公園はなかなかの広さで、同じ都市部でものびやかな雰囲気だった扇町公園とは違い、さらに洒落た雰囲気があった。うさぎもいたので、靭公園にはうさぎもいるのか!? と一瞬思ったものの、うさぎを飼っているおじさんが少しケージから出しているだけだった。

その後、レザー専門店の「スナワチ」さんに訪れた。オウナーである前田将多さんのことを遠巻きながら知っていて、著書も拝読していた。なので、お店にいらっしゃればご挨拶したいという気持ちで。

巨大な高速道路の交差点を抜けた先にお店はあった。ちょうど前田さんもいらっしゃって、云々と事情を説明させてもらう。前田さんは学生時代をアメリカで過ごし、広告代理店でのキャリアを持ち、その後、カナダではカウボーイとしても働いていらっしゃる。そして、今ではレザー専門店を。きっとぼくがまるで知らない世界をたくさん知っていらっしゃるだろうけれど、前田さんは、しどろもどろしたぼくの言葉に対しても、目を合わせて「なるほど、そうですか」と真摯に答えてくださった。それがありがたくうれしかったのは、言うまでもない。

この旅を通して恵まれていることは、誰かとの会話を通して、新しい何かに気づかされることだ。いや、どんな仕事をしていても、それは誰にでもあるとも言える。友人との会話で気づかされることもある。ただ、ぼくが印象に残っている出来事は、旅という不確かな道の先で出会った人との会話や、言葉であることが多いのだ。年齢も、バックグラウンドも、生き方も考え方も異っていて、それでも、自分の大切にしたいものと繋がっているかもしれない小さなカケラが見えたとき、ハッと目が覚めたような心地になる。前田さんとお話をさせてもらった中でも、新しく気づかされたことがあった。
西区へ。
靱公園。
生きてると思ったら作りもの。
夕日だ。
最後にスナワチさんへ。
とてもかっこいい店内だった。
店長のジョージくんだ。そして前田さん、ありがとうございました!
というわけで、今日の散策はここまで。この3日間で18の区へ訪れることができました。でも、もちろん大阪のことはまだまだ分からない。やっぱり住んでみないとなあ。地元の岡山にいた頃は、みんな関西圏に憧れていたし、自分もそのひとりでした。今になって、その理由が分かるような気もします。
本日のひとこと
大阪の街を歩いていると、Y字路が多いなと感じます。なんでだろう。
旅を応援してくださる方へ
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今回の旅をはじめる前に、自費出版の写真集「どこで暮らしても」を製作しました。東京23区を1200kmほど歩いて巡り、撮影した一冊です。売り上げは旅の活動費として、活用させていただきます。
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(終わり。次回へ続きます)

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