ふるさとの手帖

市町村一周の旅

砺波平野の散居村を抜けて、深い渓谷の利賀村へ。【旧市町村一周の旅(富山県)|10月9日―552日目)】

砺波平野の散居村を抜けて、深い渓谷の利賀村へ。【旧市町村一周の旅(富山県)|10月9日―552日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【87/171】

87/171
50.88%
訪れた旧市町村の数【1483/2,097】
1483/2097
70.72%
総計【1570/2,268】
1570/2268
69.22%

スーパーカブの総走行距離
37872km

旧福岡町→砺波市→利賀村→旧庄川町→旧福野町→旧井波町、の6つ。
今日の旅先のこと
朝まで続いた雨も上がり、8時半に出発。ひとことでいえば、寒い。もう、ネックウォーマーをしてもいい。と思える朝でした。スーパーカブのセルを押し、向かうは高岡市から南砺市まで。振り返っていきましょう。
福岡町ふくおかまち(高岡市)(1/6)
高岡市街地から、国道8号線を金沢方面へ向かって進んでいくと、旧福岡町に入る。この国道に合流できたので、あとは二車線の左側をゆっくり進めば着くだろう、と安心していたら、左車線が分岐点で違う方面へわかれてしまった。大きな国道だったので、また元に戻るのにかなり大回りをした。

それでも無事に旧福岡町に入り、福岡支所から福岡駅にかけて散策する。カブを停めて空を見上げると、雲の動きがとても早かった。福岡駅前は大規模な工事中で、周辺は落ち着いた住宅街。高岡市街地のように密集した感じはなく、ちょっとしたゆとりがあった。
旧福岡町へ。
自由な感じ。
詩みたいだ。
福岡駅。けっこう大きかった。
砺波市となみし(2/6)
次に旧福岡町から南へ進み、砺波市街地を目指す。おそらく途中からは、砺波平野の中心部に差し掛かった。風が強くなったからだ。そして、砺波平野といえば散居村が有名だ。広々とした耕地に、ぽつぽつと住居が点在する風景。ただ、移動中は周辺が散居村なのかどうか、よくわからなかった。安定した道があり、沿道に住居や店が並んでいると、普通の暮らしの場に見えるなあと。

砺波駅まで訪れて、駅の北口と南口をどちらも歩いてみる。北口には商店街があって、県知事選を前にした選挙カーが、自らの党の宣伝のためにアナウンスとともに走っていた。なるほど、10月下旬には投票日のよう。最近は選挙の話題が、いろいろと聞こえてくる。
砺波駅へ。
北口側の商店街。
そして、砺波平野の散居村を見ることのできる展望台がある。ただ、そこへ行くまでに勉強もできたらさらに良いなと、「となみ散居村ミュージアム」へ寄ってみたところ、休館日だった。裏には小さな池があり、鴨たちが気持ち良さげに泳いでいた。
となみ散居村ミュージアム。たぶん開いてなかった。
なので、そのまま展望台へ向かっていく。緩やかに山道を登る途中、あちこちでコスモスが咲いていて、展望台の直前には、巨大なコスモス畑もあり、観光客も集まっていた。一瞬迷ったけれど、今回は散居村を見たいというのがいちばんの気持ちなので、そのまま展望台へ。

小さな展望台だったけれど、見やすいように小高い建物になっていた。標高は433mだという。階段をのぼり、現れたのは黒い屋根の住居が点在している散居村らしい風景だ。望遠鏡もあって覗いてみると、かなり近くまで見ることができた。家と家の間を走る車も、とてもゆっくりに見える。

そして、次の旧利賀村へ向かう前にも再び展望台があり、そこには散居村の四季の写真があった。その写真を見ると、今目の前に広がっている景色は確かに秋だし、隣の冬の雪景色が、もう近づいているのだなあと思った。
展望台から。散居村だ。
望遠鏡を借りて。
展望台にコスモスも咲いていた。
四季折々なんだろうなあ。
利賀村とがむら(南砺市)(3/6)
南砺市の旧市町村巡りでは、相倉合掌造りと、菅沼合掌造りの方面に行くことになる。それをイメージしたとき、かなり遠い場所にあるので、時間配分をうまくできたらなあと思っていた。

ただ、旧利賀村に関しては、山間部にあるようだけれど、あまり気にせずに向かっていった。しかし、想像を遥かに超える秘境だった。途中の砺波市で、あっという間に川沿いの風景から深い渓谷に一変し、細くうねうねした道をどこまでものぼっていく。それがずっと続いていくので、心の中で、「ひぇー!」という声が出続けていた。

どこまでも遠く感じたけれど、中心部まで残り3kmほどになって、ようやく家がぽつぽつと現れはじめた。そして、中心部の「道の駅 利賀」まで到着すると、市民センターと道の駅、郵便局が同じ建物内にある、複合施設になっていた。

ただ、道の駅に食事処はなくて、お昼の時間なのでほかにお店がないかなあ、なかったら、お昼ごはん抜きでもいいけれど、と思いつつ周囲を散策していると、食事処を見つけた。しかもお蕎麦屋さんだ。しかも、看板には営業中の文字。やった! 店内は大きな梁が複数見えて、天井の高い立派な建物だった。

サービスランチのそば定食で、秋鮭フライとごはん、冷たい蕎麦を注文。蕎麦は温かいのと冷たいの、かなり迷った。もう、冷たい蕎麦は最後かもしれないと思って、冷たい蕎麦にした。細くてコシのある蕎麦が、ツルッと体に沁みた。揚げたての秋鮭フライも美味しく、ごはんもふわふわだった。旧利賀村への運転が緊張したので、ほっとする。

南砺市もつくづく広いのだなあとしみじみ感じた訪問だった。
旧利賀村へ。遠かった。
サービスランチをいただく。
わあ!
秋鮭フライ!絶品でした。
ほんとうに谷深い地形。
日本も広いなあと。
庄川町しょうがわまち(砺波市)(4/6)
旧利賀村から、旧庄川町まで、来た道を戻っていく。往路は圧倒的に登りだったので、帰りの方が運転しやすかったし、落ち着いて走れば大丈夫と言い聞かせたけれど、ガードレールがないのでほんとうに気をつけようと、ゆっくり戻って行ったのだった。

ようやく渓谷を降りきったところで、庄川水記念公園へ。お土産屋さんやレストランもあり、地元の方も観光客も利用しやすそうな場所で、駐車場には車もたくさん停まっていた。庄川沿いの遊歩道も整備されていて、自然に包まれた道を散歩するのも気持ちいい。

その後、庄川支所から周辺を散策した。庄川からも少し離れると、落ち着いた住宅地という感じがする。この辺りから、砺波平野にまた戻るのだなあと思った。
庄川水記念公園へ。
高いところに立っている。
庄川だ。
庄川支所。
福野町ふくのまち(南砺市)(5/6)
次に向かったのは、旧福野町。旧庄川町からの移動中、平地を走っていると分かりづらいけれど、周囲が散居村だなあと感じることもあった。空から見れば分かりやすいのだと思う。でも、やっぱり平地だと角度がなくて見えづらいなあと。

福野駅周辺は、街灯のある商店街もあり、ところどころで昔の雰囲気を感じつつ、昔すぎない戸建ての住宅地も多く。市民センターの沿道に石で造られたリスが何匹かいた。リスが彫ってあるってなかなか珍しい。
福野市民センター。
かっこいい。
福野駅近く。
リスだ!
井波町いなみまち(南砺市)(6/6)
最後に向かったのは、旧井波町。市民センターへ向かっていくと、直前で懐かしい景観の通りが現れた。これはもう、歩くしかないだろうという気配だった。

そして、歩いていくと右を見ても左を見ても、木彫りの作品たちが展示され、木彫りの看板を掲げるお店も非常に多く、たった今、大きな作品を彫っている人もいた。旧井波町へ観光へ来る人は、旧井波町が木彫りの里だと、ほとんど知っているだろう。ぼくはそれを現地で知った。木彫りの有名な土地は他にもあるはずだが、旧井波町の規模はその中でもかなり大きいのではないかと思えるほど、お店の数も多かった。

また、歩いている途中、ふと池波正太郎の文字が目に入った。「池波正太郎ふれあい館」とある。もちろん入るに決まっている。池波さんって、東京のイメージだったけれど、館内で展示を見ていくと、池波正太郎の父方が、井波の出身だったそうだ。そのエッセイを読むだけでも面白かった。

いろいろ展示を見ていく中で、万年筆も欲しくなった。いや、旅の途中まで持っていたけれど、無くしてしまっていた。安くなかったから買えずにいたけれど、池波正太郎の万年筆への供述を読むと、また欲しくなった。それに、彼の影響で、この記事も久しぶりに常体で書きたくなった。影響を受けやすいタイプである。
旧井波町へ。
彫刻処。
昔ながらの気配だ。
バス停の看板にはいろんな彫刻が施されていた。
八日町通り。

池波正太郎ふれあい館に立ち寄った。
その後、井波別院瑞泉寺にも訪れた。古い町並みの突き当たりにある寺だ。「木彫りの里」のほかに、「信仰と木彫りの里」という紹介もあり、お寺のことかなと予想していたけれど、池波正太郎ふれあい館で瑞泉寺が登場して、このお寺か! とつながった。堂内は撮影禁止。西日が差し込み、畳が部分的に輝いていた。本堂の中心に並ぶ金箔をおいた彫刻も光を浴び、極楽浄土の煌びやかな世界があった。
瑞泉寺の山門。
本堂。堂内も立派でした。
というわけで、今日の散策はここまで。砺波市と南砺市、それぞれまだまだ知らない世界に出会った一日でした。
本日のひとこと
寒いから大丈夫かなと日焼け止めを塗らなかったら、けっきょく肌がヒリヒリします。寒くてもしばらくは塗ろうかな。
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(終わり。次回へ続きます)

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