ふるさとの手帖

市町村一周の旅

小さな暮らしと宿場町を歩いていく。【旧市町村一周の旅(長野県)|10月18日―561日目)】

小さな暮らしと宿場町を歩いていく。【旧市町村一周の旅(長野県)|10月18日―561日目)】

今日までの旅メーター

訪れた政令指定都市の区の数 【87/171】

87/171
50.88%
訪れた旧市町村の数【1528/2,097】
1522/2097
72.87%
総計【1615/2,268】
1609/2268
71.21%

スーパーカブの総走行距離
38787km

旧佐久町→旧八千穂村→旧長門町→旧和田村→旧武石村→旧丸子町、の6つ。
今日の旅先のこと
昨日は軽井沢町の西に位置する御代田町で滞在していました。佐久市で滞在できたらいちばん良かったけれど、宿泊場所がなくて。朝は御代田町から、佐久穂町、長和町、そして上田市の旧市町村へ。それでは振り返っていきましょう。
佐久町さくまち(佐久穂町)(1/6)
だいたい朝8時に出発しているので、朝の気温の違いで今日の天気はどうだろうかと感じる。今朝は昨日よりも風が冷たくて寒い気がした。でも、このあと日差しが差し込むと、普段よりも暑く感じられたわけだけれど。

さて、御代田町から佐久市街地を通過して、佐久穂町へ。標識には「佐久穂町 標高728m」とあって、もはや長野県の中では標高が高いのかどうかわからなくなる。
市街地を散策していると、「高野町宿」の陣屋跡を見つけた。事前に調べたときには見つけられなかったから、小さな宿場町なのかなと考える。そして、昨日巡った旅路から、「ここは何街道だろう」と推測して、「佐久甲州街道なんじゃないかな」と思ったら、合っていた。

佐久甲州街道は、中山道と甲州街道の脇往還。普段の生活でも、「大きな道を進めば確実だけれど、ちょっと大回りで時間がかかるから、こっちの脇道から行きたい」みたいなことがあると思う。その意味で、中山道と甲州街道の間のショートカットコースになっているようだった。
佐久穂町役場。
静かな暮らし。
高野町宿だ。
また、「佐久穂町元気が出る公園」にも向かってみる。とにかく名前が気になった。坂を登っていくと駐車場に車がたくさん停まっていて、幼稚園の先生がいる。どうやら園児さんたちが集まる日のようだ。その奥では、お年寄りの方々がゲートボールに興じている。まさにどの年代も、元気が出る公園かもしれない
台地の上へ。
元気が出る公園と病院。
元気が出る公園。園児と年配者がいた。
八千穂村やちほむら(佐久穂町)(2/6)
次に向かったのは、旧八千穂村。旧町村名を見ていると、旧佐久町と旧八千穂村の地名が合体して、佐久穂町になったのだなあと気づく。

細い道を通って八千穂駅に着いた。周辺を散策してみる。稲のはさがけを見ていると、三角形タイプなのだけれど、飯綱町あたりで見た三角形タイプのはさがけとは、似ているようで違うように見えた。三角形の辺が脚みたいになっていて。
白樺青空南風。いいな。
三角形だけれど足がある。
また、八千穂駅からも近い「奥村土牛記念美術館」にも訪れることに。立派な日本建築の外観だなあと思っていたところ、紹介文を読むと、かつては会社の建築物だったと。そして、奥村土牛がこの建物のはなれへ疎開したことが、美術館創設の縁につながっているようだ。

奥村土牛について事前に知っていたかといえば嘘になる。現場で「こういう偉人がいたんだ」と知ることの方が多い。ゼロから説明文を読んで奥村土牛に触れていく。

東京都出身の日本画家であること。もっといえば、日本画家の代表的な人物であること。そして101歳まで生きたこと。

館内は撮影禁止で、土牛の作品や企画展で別の方の作品が展示されていた。

特別展示では土牛が85歳で描いた「富士」という作品が展示されていて、ものすごく品のある作品だなあと思った。いや、こんな簡単な言葉でまとめていいものなのか、と思うわけだけれど、完全に土牛オリジナルの富士であり、確かに富士であり。ぼくにはまだ、富士をこのように捉えることはできないと感じた。そして、もしこういうふうに富士山を写真で表現できたら、すごくうれしいだろうなあと。

土牛の作品を見ていると、淡さの中に強さがあり、その淡さがまったく誤魔化しではない。色のやさしさも、ただの雰囲気ではない。その強さに惹かれた。「吉野」「醍醐」「城」といった代表作もほんとうに見事だ。

座右の銘として、横山大観にもらった書「天霊地気」が記されており、天には霊がいて、地には気があるというオリジナルの言葉なのだと思うけれど、この精神は、写真を撮る人間も大切にしなければならないと思う。
奥村土牛記念美術館。
庭の松も美しい。
長門町ながとまち(長和町)(3/6)
次に旧八千穂村から大きく移動して、長和町の旧長門町へ向かった。立科町を通過し、最後に峠を越えると旧長門町のまちなみが見えた。まだ稲穂がかなり残っていて、黄色の景色が鮮やかだ。山の裾野側に住宅地が多く広がっているように見えた。

道の駅や長和町役場の周辺を少し歩いたのち、「長久保宿」があった地域を散策してみた。平地ではなく坂道に広がる宿場町で、多くは一般の住居になっていたけれど、その家の玄関には木製の大きな看板で、長久保宿であることと、屋号のような言葉がかかれていた。それを見ると確かに宿場町なのだと感じられる。ここも中山道だ。
長和町役場。
道の駅で足湯を見つけた。
長久保宿へ。
木製の看板がそれぞれの家の前にもあった。
脇本陣跡。
和田村わだむら(長和町)(4/6)
長久保宿から、同じく中山道の和田宿を目指していく。道の駅の名前も「和田宿ステーション」で、宿場町としての色が長久保宿よりは大きく残っているのかもしれないと思った。

「中山道 これより和田の里」と大きな石に文字が刻まれており、いよいよ旧和田村へ。坂道を登っていく中で、右手にはずっと家並みが続いていた。

道の駅にカブを停めて、和田宿に向かう。道の駅からは歩行者用の歩道橋もかかっていて、小さく設置された案内板も利用させてもらいながら。

メイン通りに入ると、大きな提灯に「和田宿」の文字がかかれ、なつかしい雰囲気が広がっていた。宿場町らしい雰囲気も感じるし、今の暮らしの姿も感じた。

「和田宿 本陣」は、宿場町の本陣としての面影を残す建物だ。門をくぐると堂々たる雰囲気でかっこいい。館内で入館料を支払ったあと、係の方が建物の説明をしてくださった。

「元々道路の向こうまでこの建物はありました。残っているこちらは居住棟です。和宮様がお越しになられる前に大火があり、急いで再建するために、良い建物の方を売り、居住棟を残したわけです」

まだ江戸の頃に、朝廷から宿場町へ訪れるということがあったのだなあと。そういうことも知らなかった。
道の駅 和田宿ステーション。
和田宿の通りへ。
和田宿 本陣。
江戸時代の文書。本物。すなわち、紙と書がこれだけ綺麗に残っているんですねえ、と教えてくれた。
色は浮世絵師さんが色付けしたと。すごい。
立派な建物だった。
周囲も散策する。
武石村たけしむら(上田市)(5/6)
次に向かったのは上田市の旧武石村だ。上田市は旧真田町と上田市街地へ先日訪れていた。この2つのまちでも広いなあと感じていたので、上田市全体がとても広く感じられる。

今回は武石市街地へ。高原にまちがある感じで、市街地も緩やかな傾斜地になっており、遠くに景色がひらけて山が見える。住宅地の庭の剪定がとても丁寧であることが印象的だった。葉のフチが綺麗に整えられて、四角い形の庭木も多い。カチカチと手入れをしている人もいた。

それに、来週末は駅伝大会があるみたいで、交通規制の看板も置かれていた。そういえば、今日、小学生がプチマラソンしている姿も見かけた。やっぱり都道府県対抗駅伝で長野県が強いのは、こういうところにあるのかもしれないと思った。
旧武石村へ。
静かな暮らし。
庭木はどれも綺麗で。
丸子町まるこまち(上田市)(6/6)
最後にやってきたのは、旧丸子町。丸子公園に訪れてみて、公園内は工事中だったけれど車はたくさん停まっていて、休憩している人も多い。依田川を渡るとスクランブル交差点があった。歩行者は押しボタン式で、ぼくひとりでスクランブル交差点を渡ったので、ちょっと車に申し訳ない気持ち。

市街地の街道には、「木曽義仲挙兵の地」と。木曽義仲は源頼朝のライバル。鎌倉殿の13人でも登場した。真田氏のゆかりの地である上田市も、いろんな時代に名を残した人物がいたわけだ。

市街地は傾斜地も多くて、その段差を埋めるための石積みも多いと感じた。商店街の通りも昔からの雰囲気があってなつかしい。最後に和洋菓子店で買い物をして離れた。最後の移動中にあった「焼肉の家マルコポーロ 丸子店」は、ダブル丸子を狙っているのかどうかはわからない。
丸子公園に神社があった。
依田川。
丸子町のスクランブル交差点。
石積みが多かった。
なつかしい雰囲気。
木曽義仲挙兵の地だと。
というわけで、今日の散策はここまで。長野県は峠でも平地でも、どこへ訪れるにしても標高が高く毎回びっくりさせられます。
本日のひとこと
道の駅で松茸を売っていたのですが、高いと2本で1万円ぐらいで、後ずさりしました。
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(終わり。次回へ続きます)

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