ふるさとの手帖

市町村一周の旅

「最高の卒業旅行」”青ヶ島”冒険日誌(3/3)

前へ戻る「一か八かの上陸作戦」(2/3)

自然の美しさ、人の優しさ、美しい夜空。

これまで色々と青ヶ島へ行くことのリスクを書いてきて、だったらどうして行く必要があるのと。僕自身そう思ったときもあったけれど、そんな思いは青ヶ島へ上陸したそのときから消え去りました。

真ん中右に見えるトンネルからカルデラの中へ入って行く。
島から見る三宝港。

 

港へ上陸して、キャンプ場の受付をすませるためまずは村役場を目指します。宿としては民宿もしくはキャンプ場があって、民宿だと送迎であったりレンタカーの貸し出しがあるみたいなのですが、キャンプ場の場合レンタカーが借りれないとのことで、役所まで歩いて向かいます。だいたい1〜2時間ほど歩くみたいで、大荷物なのですが気合いを入れます。

すると早速、、

 

まだ歩き始めて5分ほどでしょうか。1台の車が僕らのそばに止まってくれました。そう、乗っていきなと。

八丈島から仕事で来られた2人の男性でしたが、親切に乗せていただいて島に住む方々の温かさというものを身に染みて感じました。国内の卒業旅行でこんなこと中々ないだろうなぁと。実際役場までの道のりは急勾配で車でも20分ほどかかりました。徒歩だったらヘトヘトだったと思います。

おじさんたちありがとう。

 

さて、受付を済ませたところでお昼の時間、お腹が空いたのでお店を探します。といってもここ青ヶ島にお店はほとんどありません。買い物をするには商店がたった一つ。ので、まずその商店へ向かいます。

ちなみに信号も島に一つ。
商店に着きました。十一屋商店。
美味しそうな手作りパン。
サンドウィッチ。

 

商品の品数は意外と多く、手作りのパンもあって驚きでした。しかし後に分かったことですが青ヶ島にパンが届いたのは久しぶり、すなわち今回の船の運航で久しぶりに届いたということでした。

食料は本当に島にとって貴重なもの。
お昼ご飯、カップ麺にお湯を入れてくださいました。

 

商店のお母さんはとっても話しやすく優しくて、お菓子を分けてもらったりお湯を入れてくれたり、これ以上ない温かさに触れて心に染みます。ちなみにお母さん曰く青ヶ島にくる学生は京大とか医者とか変人が多いらしい。確かに僕らも変人だ。

お昼休憩。

お昼を食べて、今度はちょっとした観光の時間。青ヶ島の地形の特徴は何と言っても神秘的な「二重カルデラ」でして、ヘリコプターで上陸する際には見られることが多いのですが、僕たちは船でやってきましたのでまだ見れていません。「大凸部 (おおとんぶ)」というお母さんオススメの見晴らしの良い展望台を目指すことに。プチ登山と言った感じなのですがありがたいことに旅の荷物をお母さんが預かってくれました。本当に温かい。

島の集落は一箇所しかない。すなわち番地も存在しません。無番地。郵便物は全て名前のみで届けられる。
冒険。

大凸部に向けて1時間ほど歩くと、だんだん道が拓けてきました。

 

とっても気持ちいい。

 

そしてついに、

大凸部に到着!
まさに青ヶ島。
絶景だ。

 

外のカルデラは直接海との断崖絶壁になっており、中にはもう一つのカルデラが広がっています。火山活動により形成された地形ですが、肉眼で見ても本当に美しかったです。忘れられない絶景でした。

最高だった。
下山後、商店にてお荷物を取りに伺った際に一枚撮らさせていただいた。本当に親切にしていただきありがとうございました。

 

時間もそろそろ夕刻、歩いてキャンプ場へ向かいます。しかし、キャンプ場は集落から離れているのでまた1時間ほどの歩きを覚悟。

青ヶ島本道。

 

歩いて10分ほどでしょうか、実はまた車に乗せていただきました。今度は島の方に。

写真はありませんが、結果として往復3時間ほどかかる徒歩をみな車で拾っていただいて、、

本当にありがたかったです。

乗せてくれたおじちゃんが自分の畑に連れてってくれた。
そこはトマト畑。青ヶ島でもトマトができるんですね。
声が特に素敵なおじちゃんでした。本当にありがとう。

 

おじちゃんの畑からキャンプ場は徒歩圏内でして、そこからキャンプ場へ。

いただいたトマト。

 

あとはゆっくりの時間。

近くにある「ふれあいサウナ」地熱でサウナに入れます。

 

お風呂場すらアツアツだった。

夜は枝を拾って自分たちで火起こし。
キャンプで食べるご飯は格別。


夜空、実はこの日は満月で、周りに光源は一切無いのですがめちゃめちゃ明るかった。光のない昔の生活を感じた。

 

青ヶ島は星空が綺麗、ということでも有名なので、いつかはまたそれを見てみたいです。でも満月の夜空もとっても美しかった。

そして翌朝。

 

木々からこだまする鶯や小鳥たちの鳴き声、とっても春らしくて爽やかな朝。

おはよう。
幻の焼酎とも言われる「青酎」僕らにはまだまだ苦かった。

 

朝の散歩。
昨日は上から島を見ましたが、キャンプ場は真ん中にある。パノラマでみると全て山に囲まれています。

 

そして、最も気にかけていた「船の運航」が朝決まりました。

帰れる、帰れるよー!!

めちゃめちゃ嬉しかったです。本当に幸運の一言に尽きる。

この瞬間、僕らにとって青ヶ島は最高の卒業旅行先となった。

帰れ道、まだ2月半ばだけど桜はすでに葉桜になる頃だった。

桜とススキ。同じ日本でもまるで違う世界。
最後にトンネルを抜ける
車一台分のトンネルの広さで大型トラックがバンバン突っ込んでくるので早く逃げないと潰されて死ぬ、の図。
港へ帰ってきた!


出港時間まで遊んでた。海は凪で、クジラもいっぱい跳ねてました。

おそらく超レアなプレートナンバー。
そろそろ出港の時間。人も集まってきました。
あおがしま丸に乗ってお別れ。
出港。
クジラの次はイルカが姿を見せてくれた。なんて贅沢なんだろう。
ありがとう青ヶ島。

 

絶対に行くべきでない、最高の卒業旅行先。

改めて話を戻すと、青ヶ島は卒業旅行として絶対に行くべきでない、そして最高の卒業旅行先でした。冷静に考えて、卒業旅行として行くのはあまりにハイリスクです。行くのであればせめて往復でヘリの利用もしくは行き船、帰りヘリ、もしくはしっかり余裕をもって船で往復する、といったところです。今回の僕たちの旅は島への行程、島での過ごし方においてつくづく天候や島の方々との出会いに恵まれて成立したものでした。
しかし、そういったことを差し引いて青ヶ島は本当に素晴らしい島でした。島の自然、人々の温かさ、カルチャーショックを受けてしまいそうなほど一つ一つに純粋な美しさがあった。この感覚とやらは実際に直接肌で感じるしかないと思うんです。

2019年2月の運航実績。


ちなみに2月に船が二日連続で出たのはたった2回(そのうちの一つが僕らの行ったタイミング)。日付が1日ずれていたら、あと2日間は島から出られない(いつ出られるかも分からない)という状況になっていました。

だからこそ、行くことができて本当に本当に嬉しかった。卒業旅行って、良いですね。

(完)(八丈島編、北海道の流氷編もまた更新します)

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

RECENT ARTICLES

Follow me